「雨のあとに虹」　コミュニティコミュの雨のあとに虹・Ｐａｒｔ５　その８１

「ご苦労だったね！」
和平は携帯電話に向こう側にいる大輪に言った。
「いいえ！」
大輪は言った。
「俊之たちと一緒に戻って来るのだろう？」
和平が言うと
「健春と一緒にミスター高村の護衛をします。」
大輪は言った。
「うん。」
和平が言うと
「白い虎の動きが心配ですね？」
大輪は言った。
「その件なら青い龍に任せてあるよ。」
和平は笑顔で言った。
「青い龍ですか？」
大輪が言うと
「青い龍はわしたちを敵に回す気はないようだ。」
和平は言った。
「それはよかったです。」
大輪が言うと
「俊之たちと元気に戻って来なさい。」
和平は優しい口調で言った。大輪は通話を終えると大きく息を吐いてから青空を見上げていた。

「建設工事は予定通りに進んでいます。」
高根沢は言った。久美子と育子は高根沢の話を聞いていた。
「来春のオープンが楽しみだね？」
立花は確認するように言った。
「はい！」
高根沢が言うと
「このアトラクションは人気が出るはずだよ。」
立花は言った。
「私も期待しています。」
高根沢が言うと
「久美ちゃんが建物をデザインしたのね？」
育子は言った。
「久美子さんにはアトラクションの企画もお願いしました。」
立花が言うと
「それは凄いね！」
育子は驚いたように言った。
「私は今でも自信がないですよ。」
久美子は言った。
「大丈夫ですよ。」
立花が言うと
「少し自信を持たないと駄目だよ。」
育子は言った。
「建物のデザインは素敵ですよ。」
立花が言うと
「設計のご担当者はご苦労されたと思います。」
久美子は言った。
「時には斬新なアイディアも必要だと思うよ。」
俊之は言った。久美子と育子が俊之を見ると俊之は笑顔で歩いて来た。
「社長もいらしてましたか！」
高根沢が言うと
「お待ちしていました。」
立花は言った。
「中国に行く前に工事の進捗状況を見ておきたかった。」
俊之が言うと
「アトラクションは人気が出ると思います。」
高根沢は言った。
「うん！」
俊之は頷きながら言った。
「来年の春が楽しみです。」
久美子が言うと
「僕も楽しみにしているよ。」
俊之は言った。育子が笑顔で頷くと立花も頷いた。
「珈琲でも如何ですか？」
高根沢が言うと
「お願いします。」
俊之は言った。
「ケーキも持って来させなさい！」
立花は言うと
「かしこまりました。」
高根沢は言った。総武遊園地の建設現場では作業人が休憩を終えて作業を再開しようとしていた。俊之は見上げると観覧車の横をジェットコースターが走っていた。

「桐生くん！」
児玉は言った。桐生が視線を向けると児玉が笑顔で立っていた。
「次席検事！」
桐生が言うと
「すぐに珈琲を入れます。」
桃子は言った。
「忙しいのにすまないね！」
児玉が言うと
「次席検事がこちらにいらっしゃるのは珍しいですね？」
桐生は言った。桃子が素早く珈琲をセットすると
「同じ建物に居ても決った部屋しか行かなかったよ。」
児玉は恐縮した表情で言った。
「次席検事は特捜部や公判部を回るので手いっぱいでしたね？」
桐生が言うと
「これからは捜査部にも顔を出すよ。」
児玉は言った。桃子が珈琲を持って歩いて来た。
「美味しいとは限らないですよ。」
桐生が言うと
「松村くんが入れてくれたのだから美味しいよ。」
児玉は笑顔で言った。
「次席検事には美味しい珈琲を飲んでほしいです。」
桃子は言った。
「ありがとう！」
児玉が言うと
「少し暑いです。」
桃子は言った。児玉が珈琲をひと口飲むと
「美味しくないかも知れないですよ。」
桐生は冗談交じりに言った。
「桐生検事は冗談がきついですよ。」
桃子が言うと
「美味しいよ。」
児玉は言った。
「本当ですか？」
桃子が言うと
「うん。」
児玉は言った。
「それはよかったです。」
桃子が言うと
「これからは捜査部にも頻繁に顔を出すようにしよう！」
児玉は小さい声で言った。
「何かおっしゃいましたか？」
桐生は言った。
「何でもないよ。」
児玉が言うと
「僕には珈琲を入れてくれないの？」
桐生は言った。
「ご自分で入れてください。」
桃子が言うと
「いつも冗談がきついね！」
桐生は言った。児玉はそんなふたりを羨ましそうに見ていた。

To be continued