「雨のあとに虹」　コミュニティコミュの雨のあとに虹・Ｐａｒｔ５　その５１

「ごめんなさい。」
理佐は言った。伝票が落ちて一面に広がると
「気にしなくていいわよ。」
真澄は優しい口調で言った。
「すぐに片付けます。」
理佐が言うと
「ゆっくりでいいわよ。」
真澄は言った。理佐が書類を素早く片付けると真澄はパソコンの画面を見た。一瞬の隙を見て理佐は書類のひとつを素早く自分のポケットにしまった。
「余計な仕事を増やしました。」
理佐が言うと
「気にしないでいいわ。」
真澄は言った。理佐が真澄と視線を合わせるとふたりの動作が止まった。理佐の眼力で真澄が動けなかった。無言の真澄に
「あなたには協力してもらいます。」
理佐ははっきりした口調で言った。

「お腹がいっぱいになりました。」
詩織は言った。
「少し食べ過ぎよ。」
久美子が言うと
「食欲が旺盛なのは良いことだよ。」
俊之は笑顔で言った。
「あまりお行儀が良くないわよ。」
知子は言った。
「今日は特別よ。」
詩織が言うと
「楽しんでもらえてよかった。」
俊之は言った。
「とても楽しかったですよ。」
詩織は笑顔で言った。
「まだデザートがあるわよ。」
久美子が言うと
「デザートは別腹よ。」
詩織は言った。
「仕方がないわね！」
知子は笑顔で言った。４人はイタリアンレストランで遅い昼食を終えて楽しい時間を過ごしていた。

　魯文仁が北京市内の大通りを歩いていた。行き交う人が多く自転車が魯を追い越して行く。交差点の信号が赤になり立ち止まると
「面倒なことになったな。」
魯は短く言った。交差点では信号待ちの人が退屈した表情で待っていた。すぐに信号が青に変わると周囲の人たちは一斉に歩き出した。魯も歩き出すと
「おい！」
林元精は言った。魯がすぐに顔を向けると林が立っていた。
「私ですか？」
魯が言うと
「ハンカチが落ちたぞ！」
林は言った。
「私は落としていないですよ。」
魯が言うと
「他の人が落としたのかな？」
林は言った。魯が笑みを浮かべると林は素早く魯の胸ポケットにメモを書いた紙切れを入れた。
「私は行きますよ。」
魯が言うと
「うん。」
林は短く言った。
「失礼します。」
魯は言った。
「誰かがハンカチを拾って逃げたみたいだな？」
林が言うと
「警部補も演技が上手になったな！」
魯は小さい声で言った。

「予定通りにお願いします。」
俊之は言った。
「私どもに任せてください。」
深水が言うと
「人材は厳しくチェックしています。」
ひとみは言った。
「それは頼もしいです。」
立花が言うと
「あまり厳しすぎてもいけないですよ。」
俊之は珈琲カップを置くと言った。
「今は少しでも甘い顔をすると手を抜く人が多いです。」
ひとみは言った。
「それはどこの業界でも同じですよ。」
恵子が言うと
「総武さんでも同じ悩みがありますか？」
深水は言った。
「正社員には問題はありません。」
恵子が言うと
「一部のパートタイムの方には困った人もいます。」
立花は言った。深水が珈琲カップを置くと
「人材は企業にとってとても大事です。」
俊之が言うと
「私も出来るだけ人材を教育しようとおもっています。」
深水は言った。俊之はひとみと視線を合わせると笑みを浮かべた。深水が珈琲カップを持つと
「来春に西武遊園地の中心にオープンするアトラクションホールにもご協力をお願いします。」
俊之は優しい口調で言った。

「お前が直接電話をくれるのははじめてだな？」
大輪は携帯電話の向こう側にいる角源周に言った。
「健春が忙しいからたまにはいいだろう？」
源周は言った。
「動きがあったのか？」
大輪が言うと
「まだだよ。」
源周は言った。
「何があっても自分のやるべきことを確実に実行するよ。」
大輪は短く言った。
「あまり無理をするなよ。」
源周が言うと
「大丈夫だよ。」
大輪は言った。
「健春も日本に行かせるよ。」
源周が言うと
「すまないね！」
大輪は言った。
「私は援護射撃しか出来ないよ。」
源周が言うと
「青い龍も出て来るのか？」
大輪は言った。
「北京警察の林警部補が手中に入れているよ。」
源周が言うと
「それなら心配はいらないな！」
大輪は言った。
「ミスター高村によろしく伝えてくれ！」
源周が言うと
「うん」
大輪は言った。
「お前はミスター高村に会えるから羨ましいよ。」
源周は懐かしそうに言った。大輪は通話を終えると天門と視線を合わせた。天門が頷くと大輪は携帯電話をポケットに入れた。

To be continued