「雨のあとに虹」　コミュニティコミュの雨のあとに虹・Ｐａｒｔ４　その８１

「カウンターになさいますか？」
さやは言った。
「はい。」
恵子が言うと
「好きな席に座っていいよ。」
小路は言った。
「失礼します。」
恵子は座りながら言った。佐代子が見るとさやは恵子の横に歩いて行った。恵子がメニューを見ると
「お待たせ致しました。」
さやはお絞りを置きながら言った。
「にぎり１人前をお願いします。」
恵子が言うと
「俺はにぎらないよ。」
小路は言った。
「またはじまるのかしら？」
佐代子が言うと
「お客様に失礼ですよ。」
さやは言った。
「俺がにぎった物を黙って食べるのだったらにぎってもいいぞ！」
小路が言うと
「あなたはお客さんの好みを聞かないのですか？」
恵子は言った。
「俺がにぎった物が一番うまいはずだ！」
小路が言うと
「社長がおっしゃったとおりですね？」
恵子は言った。
「社長がおっしゃったとおりだわ！」
恵子は言った。
「社長さんとはどなたのことですか？」
さやが言うと
「私の上司は総武企画の高村です。」
恵子は言った。
「あなたも総武の社員さんでしたか？」
さやが言うと
「私は総武企画の薬師寺と申します。」
恵子はさやに名刺を出しながら言った。
「ご丁寧にありがとうございます。」
さやは言った。
「あんたはあいつの部下なのか？」
小路は驚いたように言った。
「高村社長を侮辱するような発言は許しませんよ。」
恵子は大きな声で言った。
「すみません。」
さやが言うと
「あなたが謝ることはないわ。」
恵子は言った。
「俺に何か用なのか？」
小路が言うと
「用件がなければもっと美味しいお寿司を食べに行くわよ。」
恵子は言った。
「俊之さんは優秀な部下を持って幸福だわ！」
佐代子は小さい声で言った。

「こんにちは！」
俊之は言った。
「高村さん。」
田崎が言うと
「新年おめでとうございます。」
みどりは言った。
「すっかりご無沙汰しています。」
俊之が言うと
「もっと頻繁に顔を出してくださいよ。」
田崎は言った。
「うん。」
俊之が言うと
「珈琲をお持ちします。」
節子は言った。俊之が椅子に座ると
「高村！」
矢島は歩きながら大きな声で言った。
「ご無沙汰してすまなかった。」
俊之が言うと
「お前は矢島建設の顧問だったのを忘れたのかと思ったぞ！」
矢島は言った。
「僕は忘れないよ。」
俊之が言うと
「お前が忘れるはずがなかったな？」
矢島は言った。
「忙しくても顔を出してください。」
みどりが言うと
「ありがとう。」
俊之は言った。
「今年はオーストラリアに総武ホテル開店させるからお前も大変だな？」
矢島が言うと
「矢島にも手伝ってもらうよ。」
俊之は言った。
「俺は総武グループとは関係ないぞ！」
矢島が言うと
「ホテルの建設には矢島建設にも手伝ってほしいと思っているよ。」
俊之は言った。
「俺はいつでも協力するぞ！」
矢島が言うと
「懐かしい声が聞こえたと思ったら高村さんだったのね？」
早苗はドアを開けると言った。
「お邪魔しています。」
俊之は言った。
「これから総武と矢島建設のパイプがもっと太くなるぞ！」
矢島が言うと
「私が珈琲をご馳走したくらいでは足りないわね！」
早苗は言った。