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「雨のあとに虹」 コミュニティコミュの雨のあとに虹・Part4 その6

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「この先にある交差点を渡ったら降ろしてください。」
俊之は言った。
「かしこまりました。」
田中が言うと
「社用車が邪魔にならないように止めてください。」
俊之は言った。田中は交差点を通過すると静かに社用車を止めた。周囲の交通量は多いが
「ここなら邪魔になりません。」
田中はバックミラー越しに俊之を見て言った。
「ありがとう。」
俊之が言うと
「お疲れ様でした。」
田中は言った。俊之はゆっくりとドアを開けて外に出た。田中が会釈をすると
「お疲れ様でした。」
俊之は笑顔でドアを閉めながら言った。一呼吸置いてから田中が運転する社用車は静かにスタートすると俊之は足早に大通りを歩きだした。

「関口さん。」
久美子は言った。
「いつもありがとうございます。」
純子が言うと
「これが僕の仕事ですよ。」
関口は言った。若いホスト風の男は関口に腕を掴まれて顔を苦痛に歪めて純子を掴む腕を放した。関口はそれを見ると更に腕に力を込めた。
「痛い!」
若いホスト風の男は大きな声で言った。
「これで許してやるよ。」
関口が言うと
「この野郎!」
若いホスト風の男は言った。
「意外と弱いわね。」
関口の後ろで若い女性は大きな声で言った。久美子は聞き覚えがあるその声に視線を移すと塚原泰子が立っていた。
「泰子さん。」
久美子が言うと
「私の出番がなくなったよ。」
泰子は笑顔で言った。
「お前たちは何者だ?」
若いホスト風の男は言った。
「お前のような馬鹿ではないのは確かだよ。」
関口が言うと
「あなたはひ弱だわ。」
泰子は言った。

 俊之が足早に大通りを歩いていた。街路樹から落ちた葉が時々風に舞う光景は初冬になったことを実感させてくれた。初冬になると夜になるのも早く感じられる。俊之が着ている紺のスーツが夜の闇に同化したように見えるのもそのためである。大通りを通行する自動車が放つヘッドライトの光が俊之の姿を大きく映しているのは都会の夜を象徴していた。俊之は突然に街路樹の前で立ち止まった。周囲に人の姿はなく静寂であったが
「翔ちゃん。」
俊之は言った。すると物陰から長身の青年が姿を見せた。その好青年は笹川翔太であった。俊之が頷くと
「高村さんに報告があります。」
翔太ははっきりとした口調で言った。
「翔ちゃんに何か頼んでいたかな?」
俊之が言うと
「立花さんのことです。」
翔太は考えるように言った。
「詳しく聞かせてくれるかい?」
俊之は言った。
「余計なことかもしませんよ?」
翔太が言うと
「それでも翔ちゃんが気になることなら聞かせてください。」
俊之は言った。

「おはようございます。」
陽子は会釈をして言った。
「おはよう!」
俊之は笑顔で言った。陽子が珈琲を入れるために席を立つと俊之は席に座ってパソコンの画面を見た。総武企画の社長室はいつもと変らない朝を迎えていた。
「昨日はあれから珍しい光景を目にしました。」
陽子は珈琲を入れながら言った。
「川嶋さんにとって珍しい光景とは何だろうね?」
俊之が言うと
「立花さんのことです。」
陽子は言った。
「立花さんがどうかしたのかい?」
俊之が言うと
「立花さんは意外な一面があるのですね?」
陽子は言った。
「翔ちゃんからも同じことを聞いたよ。」
俊之が言うと
「笹川さんもご存知でしたか?」
陽子は俊之の前に珈琲カップを置きながら言った。
「立花さんは既婚だったね?」
俊之は言った。
「それなのに浮気をするのはいけないですわ。」
陽子が言うと
「今の時点で浮気と決めつけたら立花さんがかわいそうだよ。」
俊之は言った。
「はい。」
陽子が言うと
「今は様子を見ていましょう。」
俊之は冷静な表情で言った。

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