「雨のあとに虹」　コミュニティコミュの雨のあとに虹・Part３　その１１０

「大川教授に被害が及ぶ可能性は低いはずです。」
翔太は言った。
「それを聞いて安心しました。」
久美子が言うと
「僕たちに任せてください。」
翔太は言った。久美子が通学する北西大学に近い大通りを久美子と翔太は並んで歩いていた。
「大川教授は不安だと思います。」
久美子が言うと
「青い龍とマクマホンファミリーは僕たちの動きを試しているのかもしません。」
翔太は言った。
「笹川さんちを試すとはどういう意味ですか？」
久美子が言うと
「高村さんと僕たちの力を分析しているように思えます。」
翔太は言った。
「恐ろしいことをしますね？」
久美子が言うと
「大丈夫ですよ。」
翔太は言った。
「笹川さんも気つけてください。」
久美子が言うと
「はい。」
翔太は言った。
「百瀬店長の旦那さんも絡んでいるのですか？」
久美子が言うと
「絡んでいると思います。」
翔太は言った。
「複雑ですね？」
久美子が言うと
「相手が凶悪ですから慎重に対応します。」
翔太は言った。

「到着しました。」
田崎は言った。矢島が頷くと田崎は先に乗用車から外に出た。矢島が田崎に遅れて乗用車から外に出て来るとふたりは歩き出した。
「工事が順調に進んでいるみたいでよかったよ」
矢島は工事現場を見上げて言った。
「予定通りに完成するはずです。」
田崎が言うと
「作業員にも挨拶をしておくよ。」
矢島は言った。
「解かりました。」
田崎は矢島を見て言った。ふたりが工事現場の入口に来るとたき子と莉子のふたりが反対の方向から歩いて来た。４人はそれぞれの思いを乗せて違うと田崎が先に工事現場の中に入った。矢島がネクタイを調えてから工事現場の入るとたき子と莉子は横に並んで駅の方角へと歩いて行った。
「みんが頑張ってくれたおかげで俺は安心して見ていられるよ。」
矢島が言うと
「安全のためにヘルメットをつけてください。」
田崎は言った。たき子は歩きながら深谷のことを考えていた。
「どうかされましたか？」
莉子が言うと
「何もないわよ。」
たき子は言った。
「武田さんは元気がありませんね？」
莉子が言うと
「そんなことはないわよ。」
たき子は言った。
「私は高村社長がいい人だと思えるようになりました。」
莉子が言うと
「私は最初から高村さんの味方よ。」
たき子は言った。俊之と深谷のふたりを比べれば人間としての魅力は俊之の方が上であることは明らかである。たき子は深谷に対する恨みが少しずつ増していった。

「お世話になったね。」
大沢は言った。
「こちらこそお世話になりました。」
理佐が言うと
「国見さんがいなくなるのは寂しいよ。」
大沢は言った。
「私も寂しいです。」
理佐は笑顔で言った。
「これからの仕事は決まっているのかい？」
大沢が言うと
「友人の会社を手伝うことにしました。」
理佐は言った。
「この会社によりはやりがいがありそうだね？」
大沢が言うと
「大沢さんもお元気でいてください。」
理佐は言った。
「ありがとう。」
大沢は笑顔で言った。
「近くに来ることがあったら顔を出します。」
理佐は言うと
「うん。」
大沢は言った。
「失礼します。
理佐は大沢を見つめたままで言った。大沢には守衛室から理佐が歩いて行く後姿を黙って見ていた。

「この理論は近年になってから認められてきました。」
大川教授は大きな声で言った。久美子は大川教授が大きな声で講義を進めているのを見て少し安心した。大川教授が元気を取り戻しているのは明らかであった。
「大川教授は元気になったみたいだね。」
純子は小さい声で言った。
「うん。」
久美子が言うと
「悩みごとが解決したのかな？」
純子は言った。
「これは難しく考えないでください。」
大川教授は大きな声で言った。大川教授の講義は久美子が真剣に聞いていても難しい内容である。
「理科系の講義は難しくて嫌だわ。」
純子が言うと
「ひとつひとつを落ち着けて考えれば簡単です。」
大川教授は周囲を見ながら言った。
「私は苦手だわ。」
純子は言った。
「静かにしなさいよ。」
久美子は純子に言った。
「うん。」
純子が言うと
「これは次回の講義でもう一度説明します。」
大川教授は言った。学生たちが安心したように教科書を閉じると
「次回は真剣に大川教授の話を聞かないとダメよ。」
久美子は純子と視線を合わせて言った。
「解かったわ。」
純子は言った。