「雨のあとに虹」　コミュニティコミュの雨のあとに虹・Part２　その５０

「北京には初めて来たけれど涼しい所だね。」
俊之は北京の街中を見て言った。
「映画に出ていた風景がそのまま目の前にあるのが夢みたいですね。」
久美子は言った。
「向こうにも行ってみませんか。」
立花は言った。
「街全体がとても広いですね。」
直子は嬉しそうに言った。
「あまり遠出はダメだと笹川さんが言っていましたよ。」
陽子は冷静に言った。
「昼間でも危険なのでしょうか。」
直子が言うと
「五輪を開催しているのだから大きな危険はないと思うよ。」
俊之は言った。
「それならもう少しだけ遠くに行きませんか？」
久美子が言うと
「せっかくだから行ってみましょう。」
直子は歩き出して言った。
「行ってみよう。」
俊之は言った。俊之が歩き出すと
「すみません。」
大輪は英語で俊之たちに言った。
「はい。」
俊之は英語で言った。
「この先にご用ですか？」
大輪が言うと
「用件はないのですが見物しようと思っています。」
俊之は言った。
「この先は治安が悪くなっています。」
大輪は言った。
「私たちが行くと危険なのですか？」
陽子は英語で言った。
「五輪開催中は事前に申請をして警察が護衛につかないと先に行けません。」
大輪は言った。
「話の内容が解りますか？」
直子が言うと
「僕は英語が苦手です。」
立場は言った。
「私も英語を話せません。」
久美子が言うと
「解りました。」
陽子は大輪に言った。
「ご親切にありがとう。」
俊之は大輪に言った。
「気をつけてください。」
大輪は丁寧な口調で言った。

「どうしてミスター高村に教えたのですか？」
健春は戻って来た大輪に言った。
「高村をミスターと認めたわけではないよ。」
大輪が言うと
「それにしては親切でしたね。」
健春は言った。
「李先生からの支持に従っただけだよ。」
大輪が言うと
「この先はマフィアの青い龍の縄張りで日本人の被害者は多いですね。」
健春は言った。
「私は日本人が嫌いだよ。」
大輪が言うと
「ミスター高村は悪い人に見えないですよ。」
健春は言った。

「明日の準決勝は自分のペースで試合をすれば必ず勝てるはずだ。」
朽方は育子とゆき乃に言った。
「はい。」
ゆき乃が言うと
「負ければそれで終わりですね。」
育子は言った。
「これ以上は不必要に自分を追い詰めるなよ。」
朽方が言うと
「ここまで来たら金メダル獲りたいですよ。」
ゆき乃は言った。
「私も金メダルを夢見てここまで来ました。」
育子が言うと
「リラックスしないと精神が持たないぞ。」
朽方は言った。
「私は今から緊張しています。」
ゆき乃が言うと
「五輪には独特の雰囲気がありますね。」
育子は言った。
「高村社長なら金メダルを獲れなくても京野の努力を認めてくれるはずだよ。」
朽方は優しく言った。

「総武は中国にホテルも百貨店もないのはどうしてなのかと疑問だったよ。」
俊之は言った。ホテルのラウンジで珈琲タイムのひと時である。
「それはコネクションがないからです。」
立花は短く言った。陽子は俊之の横で黙っていた。
「国内ならホテルは１位で百貨店は３位の規模だね。」
俊之が言うと
「国内は創業者である初代社長が強力なコネクションを駆使して事業をはじめました。」
立花は言った。
「うん。」
俊之が言うと
「２代目社長が確実に事業規模を広げた結果に今の総武があります。」
立花は言った。
「さらに３代目の社長と４代目である正樹オーナーが確実に事業を展開してきたからだね？」
俊之が言うと
「そうです。」
立花は言った。
「欧米やオセアニアではいくつか店舗があるね。」
俊之が言うと
「逆にアジアや中近東には同業他社に遅れをとっているのが現状です。」
陽子は言った。
「海外より国内を地固めした方がいいね。」
俊之は立花に言った。久美子と直子は一緒にラウンジに戻って来ると
「施設内を見るだけでも迷子になりそうですよ。」
久美子は言った。
「意外と日本語が通じる係員が多いのには驚きましたよ。」
直子が言うと
「日本の報道陣がいる場所では安心出来ます。」
久美子は言った。
「施設内は２４時間いつでも賑わっているから時間の感覚がなくなるよ。」
俊之が言うと
「そろそろ夕食にしませんか。」
立花は言った。
「言われればお腹が空いたね。」
俊之が言うと
「今夜は中華コースにしましょう。」
立場は嬉しそうに言った。