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「雨のあとに虹」 コミュニティコミュの雨のあとに虹 その146

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「そうだったのか?」
俊之はパスタを食べている千晴に言った。
「以前から離婚の話は出ていたよ。」
千晴は言った。少しざわついた店であったが周囲に話が漏れなかった。俊之が珈琲を口にするのを千晴は見ていた。
「純一くんと静江は離婚が避けられないのかい?」
俊之が言うと
「お母さんはすでに印鑑を押したから無理だよ。」
千晴は言った。
「純一くんの事業が不振だったとは知らなかった。」
俊之が言うと
「おじさんが気にする必要はないよ。」
千晴は言った。
「僕でよければ何でもするよ。」
俊之が言うと
「あれはお父さんが天狗になったから人がついて来なかったのよ。」
千晴は言った。
「今からでもやり直しは出来るよ。」
俊之が言うと
「お母さんは税理士として自立するから心配ないよ。」
千晴は言った。
「純一くんは大変な状態だから何とかしてあげたいね。」
俊之が言うと
「遅いと思うよ。」
千晴は言った。
「簡単に答えを出していいのかな?」
俊之が言うと
「お母さんは簡単に答えを出したよ。」
千晴は言った。
「ふたりは高校の同級生だよ。」
俊之が言うと
「私も知っているよ。」
千晴は言った。
「長年一緒に過ごした年月が純一くんと静江の絆を強くしなかったのだろうか?」
俊之は不思議そうに言った。
「高校の同級生だったからダメになったのよ。」
千晴が言うと
「同級生だからだめになったというのかい?」
俊之は言った。
「お父さんは大人になってから失恋の経験がないから相手のあり難さが解らないのよ。」
千晴が言うと
「そうかもしれないね。」
俊之は言った。
「お母さんはあとになってからいろいろな人と出会ったら今では後悔しているみたい。」
千晴が言うと
「静江が純一くんと結婚したことを後悔したのかい?」
俊之は言った。
「うん。」
千晴が言うと
「困ったね」
俊之は言った。
「今ではふたりの溝は埋まらないよ。」
千晴が言うと
「寂しい話だね。」
俊之は言った。
「お父さんがおじさんにした仕打ちがお母さんも私も許せなかったみたいね。」
千晴は強い口調ではっきりと言った。
「千晴は冷静に物事を見ているね。」
俊之は微笑みながら言った。

「俺たちが一緒にいたら高村が変な誤解をするかな?」
矢島は冗談を言った。矢島が常連客である料亭は今日も繁盛していた。
「俊さんなら冷静に分析すると思います。」
久美子は言った。
「久美子さんもあいつをよく理解しているね。」
矢島が言うと
「俊さんはあまり感情に走らないですね。」
久美子は言った。
「あいつは高校の時からそうだったよ。」
矢島は日本酒を手にして言った。
「もう少し感情を外に出してもいいと思います。」
久美子は言った。
「あいつもまだ精神的な部分が回復していないね。」
矢島が言うと
「精神的な部分は回復に時間がかかると聞きました。」
久美子は箸を置いて言った。
「私とふたりの時には普通だよ。」
矢島が言うと
「私が心配しているのは今回の件です。」
久美子は言った。
「今回はかなりの荒療治だね。」
矢島が言うと
「俊さんは大丈夫でしょうか?」
久美子は心配して言った。
「大丈夫だよ。」
矢島は言った。
「精神的な負担が大きいと思います。」
久美子は矢島に言った。
「高村なら克服するよ。」
矢島は久美子の目を見て言った。
「はい。」
久美子は言った。高校時代から俊之の親友である矢島が言った言葉が久美子を少しだけ安心させていた。

「ここを出て行く当てはあるのか?」
純一が言うと
「私は税理士として生計を立てます。」
静江は言った。
「千晴の養育費は払えないぞ。」
純一が言うと
「解っています。」
静江は言った
「一方的に言うなよ。」
純一は大きな声で言った。純一は自宅の居間が自分の家ではないような錯覚を覚えていた。
「養育費がなくても私にはきちんとした収入があるから心配はいりません。」
静江が言うと
「もう少し話し合わないか?」
純一は言った。
「私もOL時代のように広い世界を見て見たいです。」
静江が言うと。
「俺と一緒では広い世界は見られないと言うのか?」
純一は言った。
「心の狭い男には何の魅力もないわよ。」
静江は純一に言った。純一は心の中で何かが音を立てて崩れていくのを感じていた。
「やり直せないのか?」
純一が言うと
「私はやり直したくないです。」
静江は感情を出さずに言った。

 俊之はひとりで道を歩いていた。遅い時間ではないため少し遠回りをして夜のすんだ空気を吸った。俊之は寒さに少しだけ震えながら考えていた。あと1ヶ月で久美子がカナダに行ってしまうのだ。自分はどうしたらいいのだろうか俊之は真剣に考えていた。考えても答えは簡単に出て来なかった。久美子の将来を考えれば可能性を自分が潰すのもいけないと心の中で葛藤があった。今の静江がそうであるように久美子にも後悔する時が来るような気がした俊之である。俊之が歩く道は人少なかった。俊之が歩いていると人相が悪い6人組みの若者たちが立っていた。
「おじさん。」
若者のひとりは俊之に言った。俊之は無視して歩き続けた。
「待てよ。」
違う若者が言うと
「僕はおじさんと言う名前ではないよ。」
俊之は立ち止まって言った。
「ふざけるなよ。」
最初に声をかけた若者は言った。若者は俊之に殴りかかろうとしたが俊之は瞬時に身を交わした。
「年上の人間に対しては敬語を使わないといけないよ。」
俊之は冷静に言った。
「落ち着いていられるのも今のうちだぞ。」
さらに違う若者は言った。
「僕に何の用だい。」
俊之は男若者の目を見て言った。
「金を出せよ。」
若者はナイフを取り出して言った。俊之が見るとナイフが街灯の明かりで光った。
「断るよ。」
俊之が言うと
「おじさんは怪我をしたいみたいだな。」
最初に声をかけた若者は怒りを顔に出して言った。
「残念ながら君たちにお金を払う理由はないからね。」
俊之が言うと
「おとなしく出さないと後悔するぞ。」
若者のひとりは言った。別の若者は俊之に殴りかかってきた。俊之は軽く避けると若者の腹部に拳をあてた。その拳は若者の腹部に激痛を感じた。
「素人を相手に本気になるのはいけないのだが仕方がない」
俊之が言うと
「痛てえ!」
我慢していた若者は大きな声で言った。
「こちらも生命がかかっているからね。」
俊之は表情を崩さずに言った。いつもの俊之なら手加減をしたのだが今の俊之は拳に力が込められていた。
「この野郎。」
別の若者は言った。俊之に殴りかかって来た若者は俊之が避けると足を絡ませて転んだ。俊之は別の若者の足を絡ませて転ばすと腹部に拳をあてた。
「覚悟は出来たかい?」
俊之が言うと
「痛てえ!」
若者は言った。すぐに若者は気を失った。残る4人が俊之を睨みつけていると関口と関口の仲間の10人が慌てて走って来た。
「高村さん。」
関口は慌てて言った。
「関口さんは彼らに近づかないでください」
俊之が言うと
「僕もこいつらには負けないですよ。」
関口は4人の若者を見て言った。
「彼らはナイフを持っているよ。」
俊之が言うと
「大丈夫です。」
関口は言った。
「気をつけてください。」
俊之が言うと
「覚悟しろよ!」
関口は大きな声で言った。
「覚悟するのはお前だよ。」
ひとりの若者は言った。
「頭が悪い奴らだな。」
関口は言った。関口たちは4人に対して一気に殴りかかっていった。

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