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如意法師様にきいてみよう!コミュの転がる石は自分でとめる

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「懲役12時間」

今やってる印刷工場のバイトの求人情報のコピーを書き換えるならばこうあるべきた。俺ならそうする。

2009年の11月6日。ちょっと笑える話だが、俺が死んだ日。
しかしみんなにはいつもの1日で、俺に構わず人生を謳歌してくれ。

話は11月6日の早朝五時から始まる。
五時はバイトの休憩時間で、パックのジュースとパンが1つ支給される。「チーズデンマーク」がなくなっていたから「ハムちゃんマヨネーズ」を食べる事にした。
工場の真ん中には喫煙所があり、喧嘩がどうとか車がどうとかパチンコで勝ったとかみんなそんな話ばっかりしている。
生まれつきの奴隷根性は全くの幸せだ。

ショートホープに火を点けるとバカ谷がやってきた。いつもニヤニヤしていて、話すと口の端に唾が溜まる。

「なあ神山、知ってるか?」

「分からん。本題を話せよ」

「社員の近藤が今度工場長になるらしいぜ。何でか分かる?」

「分からんよ。どうでも良いし」

「近藤が社長の娘と結婚するらしいんや。将来的には跡取りやろうな」

本当にどうでも良い。
そんな未来までここで働くつもりか?

それからさらに3時間ちょっと、俺はひたすら出てきた印刷物を結束して、パレットの上に乗せる。刷り上がり流れてきた印刷物をペダルを二回踏んで結束し、90度動かしてまたペダルを踏む。するとカタカナの「キ」の字に固定されるのだ。

今日は激安店のチラシ。
全部燃えれば良い。


バイトが終わり、俺は封筒を受け取り1万円だけを財布に入れた。
財布の中身はこれで1万8千円になる。
早速、帰りに中洲に行き早朝ヘルスに向かう。
10時までなら4千円でプレイ出来るのだ。

問題なのは露骨に女の子の品質が悪いこと。
おまけに選択肢が皆無に等しい。
今日の女は暗闇で顔を背けているが、どう考えても40過ぎに見えた。

フェラは割と上手い。最後は自分でしごいて出した。出す直前だけはこの女の高校時代を想像して抜いた。

「お客さん、何歳?」

「何歳に見える?」

「20くらい?」

馬鹿か?俺は33歳だ。お前ほどサバを読んで生きてねえぞ、コラ。

「何時くらいまで仕事するの?」と聞くと、「今日は4時までかな」ってその間、何人のちんぽをしゃぶるんだろう?
きっと口の細胞と筋肉だけは、脳味噌と直結してないのだ。
ただ「キ」の字で固定されて顎を動かす。

快適な1日は朝に始まる。

さすらおう
この世界中を〜
転がり続けて歌うよ
昔の歌を〜


歌いはしないが、歩くとリフレインされる。
太陽が上がって来た。
もちろん眩しいし、もちろん目が痛い。
今日の夜は休みだ。

俺はコンビニでシーチキンおにぎりとスーパーカップの豚キムチを買ってアパートに帰った。
カーテンは閉めているから電気をつけた。
テレビのリモコンを適当にいじると「あかんたれ」の再放送があっていた。若い時の志垣太郎は美男子だが、それだけだ。誠実そうな人柄だけじゃなかなか深みというのが出ないように思う。

お湯を沸かしてスーパーカップに入れる。線の3センチくらい下には見えない線がある。
濃厚なる化学インスタント的な物質は俺の体の一部になる。今朝方、そいつを吐き出したからあの婆は今頃化粧が禿かけていることだろう。

ふいにチャイムが鳴った。ドアを開けるとスーツを着た男が立っていた。そして胸から警察手帳を出した。

「先月、井尻であったコンビニ強盗事件はご存知ですか?」

「この辺じゃ有名なニュースだから分かりますよ」

「10月3日の早朝だったんですが、その時間に不審な人間や車を見ませんでしたか?」

僕は部屋に戻り、スーパーカップを持って来て蓋を開けた。

「それで、どこの所轄の方ですか?」

「南警察署です」
男は再び警察手帳を開いて見せた。

「これ、本物ですか?」

「はい、もちろん」

「警察手帳とか僕らは普段見ないじゃないですか?あなたが単なる警察マニアじゃない証拠はありますか?」

男は眉をひそめた。
ややこしい奴だなといった表情だ。
それは当たり前の話で、普通の営業マンはそんなややこしい社会の中で契約を上げて生活しているのだ。

「じゃあご主人、今から南署に電話して確認してくださいよ」

「僕はしませんよ。電話代がもったいないじゃないですか?」

そんなやり取りを20分ほど繰り返し、最後に「いや〜。その時間はバイトで見てないですね」と答えた。
「あかんたれ」の予告編すらも既に終わっていた。

それからとりあえず美由紀に電話してみた。
美由紀はスナックで働いてるからこの時間は暇な筈だ。

美由紀は寝ていた。
非常に不機嫌そうな声で俺は笑った。

「まあまあ、とりあえず起きらんか〜。大ニュースだ!」

「どうしたの?」

「ここだけの話だから誰にも言うなよ」

「だから何?!」

「いや、やっぱり怒るから言わんわ」

「何?怒らないから」

俺は携帯の受話器をケツに押し当てて爆放した。
締まりの良い俺のアヌスはガス圧に抵抗してこれまた素晴らしい音色がするのだ。

ひとしきり笑ったからそろそろ寝るか。

と思ったら肝心の事を忘れていた。
昼過ぎに海藤のとこに行かなくちゃならねー。ガキが生まれたらしくお祝いを持っていく約束をしてたのだ。

俺は原チャリ飛ばして赤坂にある海藤のマンションに向かった。
海藤はブスなカミさんと大恋愛の末に結婚した奇特な奴だ。
そのブスなカミさんも以前は俺のセフレで、そこだけはシークレットになっている。

ガキは思ったよりも顔がデカい。可哀想にカミさん似だ。
オムツを変える時にチェックするとやっぱり股のところがえぐれていて、やっぱりカミさんに似てるわと思った。
結婚祝いは黄色いベビー服を上げた。黄色い服なら性別は関係ないはず。
そうは思ったが、黄レンジャーみたいでこれまた独特の味わいがあって良いかも知れないなと思った。

海藤は何度も礼を言って来た。カミさんにフェラを仕込んでやったお礼かなとブラックな想像をしてしまったわ。

帰りにブックオフに寄って立ち読みした。
「おーい!龍馬」の最後らへんを再読したかった。龍馬は頭部を一閃されその刃は脳にまで達した。脳髄が出ているにも関わらずに、中岡慎太郎を「清君」と呼びかけた。それは中岡の偽名だ。龍馬はそれでも中岡を気づかった。
龍馬は一言「わしはもういかん」と言って絶命した。

俺と同じ年だ。
俺が幕末に生まれていたら、ええじゃないかを踊る百姓だな。
明治までしっかり生きてやる。
何もしないけど。

店を出るとすっかり日が暮れている。
今から帰って寝るのもアホらしいな。
俺は再び美由紀に電話した。
今日の夜は休みらしい。

「じゃあ、子供を実家に預けて遊ぼうぜ」

そういって誘った。

ジョイフルで夕飯を食べる。
俺はツインハンバーグ。美由紀は「何とか御膳」とかいうシャバい奴だ。

それからカラオケに行った。
スナックで働いてるだけあってレパートリーは多い。

俺は桑田佳祐の「skip beat」を歌った。
skip beatのところを「スケベ」と歌うのだ。
米米CLUBの「シェイクヒップ」でノリノリ光線を出しまくると立ち眩みがしてしまった。

カラオケで喉はカラカラ。2ケツで博多埠頭に行くと馬鹿な恋人達が思い思いに仮想セックスの真っ最中だ。

2人で自販機で買ったコーラを飲むとゲップが出すと、俺はジョジョのジョセフジョースターを思い出した。

コーラを飲むとゲップが出るくらい当たり前の事だ!ぐわし。

「結婚するか?」

そういって俺はポケットを探った。

「本当?それ、マジなん?」

俺は美由紀の手を出させてゲーセンのメダルを手渡した。

「何なん?これ〜!!」

「プレゼント」

「ふざけんでよ!本当かと思ったやん」

「嘘じゃないよ。本気でもないけど」


美由紀を送って、コンビニで明日の朝の分のパンを買った。
さすがに11月の深夜は寒い。

子供の頃は今よりも寒かった記憶がある。けど半ズボンだったな。
あれって何のアピールなんだ?
六年間、半袖半ズボンで貫いた同級生が居て、俺はあんまり好きじゃなかったが、そいつが中学の時学ランを着ているにも関わらず「寒みー」とか言ってたから殴ろうかと思った。
俺には好きなものがあってそれは水風呂だ。
ガキの頃の夏休みを思い出す。
あの頃は楽しかった。
今も楽しい。本当に生きるのが楽しい。
眩しい光は希望への終わった幸せのファンタジーのフレーム…


原付の居眠り運転で、中央線をはみ出した俺は2トントラックに持っていかれた。

本当に笑えるよ。

愛された俺が、ぐちゃぐちゃになってら。

死体の横に何かチラチラ光ってんだよな〜

とモタモタ思っていると


俺は消えていた。


(了)

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