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マイクロマウスコミュのつくばチャレンジ2009 シンポジウム

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今年も行ってきました。参加しそびれてしまった方のために、メモを公開します。
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<< つくばチャレンジ2009 シンポジウムメモ >>

日時: 2010年1月9日(土)10:00-17:30
場所: (株)バンダイナムコゲームス未来研究所


 午前の部では油田先生から2009年度の運営に関するまとめと完走した5チームの講演があり、午後の部ではポスターセッションと2010年度のチャレンジについて説明があった。

■ 基調講演(筑波大 油田先生)

 2009年度のコース選定について。できるだけ公道でやりたいと考えているが、2009年度はつくばセンター広場付近が工事で使えなかったため、つくば中央公園を使用した。運営にあたっては、あらためて自律走行の原則を考え直して公開した。試走会を繰り返すことで技術開発を進めたのだから、試走会こそがつくばチャレンジの本体である。9回の試走会全部に参加したチームが11チームあった。課題達成は5チーム。
 2009年度は交通事故を経験した。一つ目は車道に出てしまったロボットがあったこと。二つ目はロボット同士の衝突があったこと(※1)。誰もロボットをぶつけたくないのでぶつからないように作るのだが、それでもぶつかってしまった。止まっていたロボットをよけて追い抜こうとしたら止まっていたロボットが急に動き出してぶつかったというもの。どちらが悪いともいえない。
 参加チーム全体でロボットがちゃんと動くようになってきた。一部のトップチームが抜きんでているというのではなく、全体のレベルが上がっている。
 最後に、大学や研究機関の方へ。論文を書いてください。これまでは「作りました。経験を積みました。」では査読が通らなかったが、経験を共有するために流れを変えようとしている。これまでアクセプトされなかった論文でも、アブストラクトにつくばチャレンジ関連だとわかるように書いてもらえれば皆さんのところに査読がいくので、査読が通りやすくなると思います。

※1 衝突の様子は日経ブロードバンドニュース(http://www.nikkei.co.jp/bb/)の11/20付けアーカイブで見ることができる。


--- 完走チームによる講演 ---

■ 富士ソフト・筑波大MRIMプロジェクトチーム 石田さん

 NEDOからの委託事業である「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト」に参加している。ジャイロセンサやGPSを使用せず、エンコーダとTop-URG×4個だけというシンプルなセンサ構成で臨んだ。
 基本的には地図ベース走行。IPCスキャンマッチングは周辺形状の変化に弱いため、観客をかわすよう高い位置に3個のTop-URGを斜め10度だけ上を向くよう配置した。地図生成はリモコン走行で収集したセンサデータをオフラインで結合することで行った。自律走行用の走行経路は収集したデータ上に配置した。自律走行時は収集したデータを1辺80mの正方形で切り出して使用した。
 自己位置補正では3個のLRFから得られる点群に対して高さ制限を行い、xy平面のデータを切りだす。高さ制限帯域は動的に変更しており、狭い場所では制限帯域を低くして近くのデータを使用し、広い場所では制限帯域を高くして遠くのデータを使用した。
 試走会ではバッテリ上がり等のトラブルを除くと11回連続で完走できた。

Q:LRFの出力タイミングとオドメトリ出力タイミングの同期はどのようにして取ったのか?
A:それぞれの出力にタイムスタンプを付けており、2秒ごとにICPスキャンマッチングを行うタイミングでそれぞれのデータを読み出して使用した。


■ 日立製作所 機械研究所 原さん

 センサ構成はエンコーダ、IMU、LRF×5個、GPS。人混み対策としてLRFの配置を工夫した。高い位置のスキャンデータをランドマーク観測に使用し、低い位置のスキャンデータを障害物回避に使用した。ランドマークは高さ2.5〜3mの位置にある環境形状であり、ICPスキャンマッチングを外れ値に対してもロバストになるよう拡張した手法を用いた。環境地図の正確さはそれほど必要ない。再現性が高く、トポロジー的に正しければロボットにとっては十分な地図となる。
 自己位置推定ではジャイロオドメトリ、GPS、高所ランドマークを拡張カルマンフィルタで融合させ、χ二乗検定による外れ値排除をおこなって矛盾のある外れ値を排除した。このχ二乗検定はジャイロオドメトリをベースにしており、ジャイロオドメトリに対して高所ランドマークのスキャンマッチング結果を検定し、同様にジャイロオドメトリに対してGPSの結果を検定した。
 また、信頼性を確保するためにFMEAを行い、危険度の高いものに対して対策した。一つ一つの対策は簡素だが、体系的にリスク要因を洗い出して機能障害をもれなく防ぐことが大切。
 試走会では9回完走できていた。開発方針は5月ごろ決まり、必要最低限の機能に絞り込んで、信頼性、ロバスト性の確保を最優先した。

Q:想定した環境はどのようなものか? つくばチャレンジに特化したのか?
A:以前から都市空間を想定した開発を行っていた。つくばチャレンジに特化はしていない。

Q:ソフトウェアの信頼性はどうやって確保したか?
A:センサデータのハンドルやコンポーネント間の通信部分に十分な時間をかけた。


■ 宇都宮大学 尾崎研究室B 鹿内さん

 研究室から2台体制で出場。一般的には地磁気以外の環境磁場はデジタルコンパスによる方位計測を乱すので敬遠されるが、それを逆に利用して、環境中の磁気ノイズをマーカーとして使用する。人が乗れるというコンセプトからするとGPSのアンテナが高い所についているのはデザイン的にNGだった。磁気ノイズをマーカーとして利用するアイデアは、屋内ではすでに経験を積んでおり、建物の鉄骨などをマーカーに利用していた。
 使用した地磁気センサは3軸のもの。リモコン走行でオドメトリ、磁気、環境の特徴を記録して磁気マップを作製し、自律走行時は磁気マップをトレースするように走行した。磁気マップを作成するのにオドメトリの精度は気にする必要が無い。人間が見る地図にあっている必要はなく、再現性さえ高ければよい。磁気が乱れる場所では3軸で取得した磁気のベクトルが傾くので、その傾きをランドマークとして使用する。磁気ベクトルの傾きが無い場所は地磁気を正しく計測できる場所なので、地磁気センサから取得できる方位が正しい場所。自律走行時は基本的には地磁気センサから取得できる方位を信用して、磁気が乱れる場所では磁気マップを用いて方位を補正した。変な磁気がある場所では地磁気センサのゲインを切り替えた。磁気マップ上のルートから大きくなれると戻れなくなるので、障害物回避は少なめに行った。
 完走はできたが、スタート地点から250m付近にある歩道のポールを回避した後、走行経路がオフセットしてしまい、脱輪しかけた。

Q:環境地図の安定性は?
A:時間的な変化は、1か月前のデータでも問題無かった。ただし、夏の日中の暑い時間と夜とでは磁気の計測結果が大きく違っている。温度差が5〜6°あると磁場が変わってしまうようだ。駐車場や道路わきの歩道など、自動車が近くに来ると磁場が大きく変わる。

Q:人を乗せるというコンセプトだが、鍵や携帯電話などをポケットに入れた人が乗るとどうなるか?
A:ガワやセンサの取り付け位置を工夫して影響を軽減している。


■ 千葉工大 fuRoアウトドア部 入江さん

 最初に走行環境の分析を行い、難所を3つに絞り込んだ。一つ目の難所はランドマークが少ない所。二つ目の難所は狭い通路。三つ目の難所は試走会と本番で環境が変わってしまう場所。これらの難所に対応できるよう、LRFを3次元にしたランドマーク観測と、ジャイロオドメトリの高精度化を開発方針とした。ジャイロセンサはシリコンセンシングシステムズのCRS-10(※2)を2個使用し、LRFは台座ごとぐるぐる回して3次元化した。CRS10は1個5万円くらい。
 完走のキーポイントは自己位置推定だと考えている。ジャイロセンサはバイアスドリフトがあるため、ナビゲーションの途中でも時々止まってゼロ点校正を行った。計算するときは端数を捨ててしまわず、割り算の余りを取っておく。あらかじめ計測しておいた環境地図と3Dスキャナで取得した3次元点群(を2次元に落としたもの)とでマッチングを行い、さらにジャイロオドメトリの結果を加えてパーティクルフィルタを用いて両者を融合した。パーティクルが真の位置から離れた場所に収束するなど自己位置推定の失敗から復旧するために、ダメなときはパーティクルに乱数を入れるようにした。11/18に初完走した後は、ずっと完走できている。

※2 http://www.sssj.co.jp/products/gyro/crs10.html

Q:環境地図では何を特徴としたのか?
A:人間の背丈より高い位置にある周辺環境であれば変化しないと考え、高い位置で計測できたLRF点群をランドマークに使用した。

Q:なぜ同じジャイロを2個使ったのか?
A:2個を背中合わせに張り合わせてドリフトを消そうとした。その効果はまだ検証中。
(参考)http://moyane.blog25.fc2.com/blog-entry-295.html


■ 東北大学 田所研 竹内さん

 研究室でRTコンポーネントの開発を行っている。今回は未知障害物環境下におけるロバストな自己位置推定を目指した。試走会には6回参加した。開発方針としては、原理的にロバストな枠組みの構築と、ログによる検証を重視した。
 自己位置推定にはジャイロオドメトリを使用し、位置修正にはLRSのデータを用いたパーティクルフィルタを使用した。課題環境中に多数の歩行者がいるとランドマークの誤認識が生じるため、自由空間モデルを導入た。環境地図を3次元化して街路樹や看板などの環境中の固定物体をランドマークとして利用した。LRSのレーザー光はランドマークを貫通しないという仮定を置き、真値近傍のパーティクルから環境地図によりもとめたランドマークまでの距離が長すぎるものは誤った位置にあるパーティクルと判定して正しい位置にあるパーティクルを残した。環境地図はGPSとジャイロオドメトリを用いて自己位置を計測し、GraphSLAMを用いて走行軌跡上に測域センサの情報をマッピングした。
 試走会では雨の中傘を差した小学生に囲まれることがあったが、位置推定が破綻することなく完走できた。トライアルや本走行では観客が気を利かせて道をあけるために街路樹付近に集まってくれたが、ロボットにとってはランドマークが認識しずらい状況になっていた。

Q:ランドマークを200個作るのにかかった時間は?
A:ランドマーク作成用のツールを開発しており、ランドマークを1個作るのに1分もかからない。

Q:長い直線ランドマークでは位置修正しずらいのでは?
A:10m程度の長さであれば問題ない。

--- 完走チームによる講演 ここまで ---

 以下、ポスターセッションでユニークだったもの、私にとって興味深い情報だったものを書きます。

■ E-47 筑波大 知能ロボット研究室 つくろぼ

 あえて自己位置推定を行わず、道と交差点を認識して走行する。自己位置推定を捨てることによりセンサ構成がシンプルになり、ソフト開発期間を短縮できる。ナビゲーションは、大まかな距離、交差点をどちらに曲がるかといったトポロジカルな命令で行い、交差点までは道なりに走行する。直角でない交差点や人混みの中では、開いている方向に走行する。
 道と交差点の検出には斜め下に向けて配置したLRSのデータを利用する。リスクとしては交差点に人や他のロボットがいると交差点認識に失敗する可能性がある。トライアルは通過したが、本走行では観客が多いことを想定して斜め下に向けたLRSのデータを一部カットしていたため、本来は検出できたはずの路肩の縁石を避けられずぶつかってしまった。

■ A-01 宇都宮プロジェクト

  GPS+ジャイロオドメトリでウェイポイントに向かって走り、あとはLRSを用いて障害物を避けるだけというシンプルな作り。光ファイバジャイロを使用したが、それでもコース中盤からドリフトが発生して誤差が累積してしまう。そこで、直進が長い場所ではDGPSから得られる軌跡を真として補正を行い、直線ランドマークがある場所では直線ランドマークを用いて姿勢を補正した。
 試走会では10回中9回は完走できていたが、本番では830m付近でPCとマイコン間の通信トラブルによりロボットが暴走してリタイヤした。
 完走のコツは「確実に走れる場所」に向かって走ること。LRS1個では障害物の検出に失敗する場所がある。


 ポスターセッションの後、2010年度のつくばチャレンジについて油田先生から説明がありました。

■ 2010年度のつくばチャレンジについて 筑波大 油田先生

 開催日:2010年11月18日(木)、19日(金)

 マイクロマウス大会と同時開催になると事務局の負荷が大きいため、2010年度は2008年度と同じように平日開催に戻す。コースは現在計画を元に警察と交渉中。4/1に参加登録を開始し、8/1(日)に説明会と試走会を開催する予定。
 今年度はより多くの市民がいる中で走らせたい。また、より多様な環境に対処してもらいたい。そこで新しい課題として、決められた地点で一時停止する機能を必須としたい。スタート地点はつくばエキスポセンターを出発した後、つくば中央公園を抜け、つくば中央公園通りを通ってつくばセンター広場に向かい、つくばサイエンスインフォメーションセンター内をゴールとしたい。このつくばサイエンスインフォメーションセンターの入口に自動ドアがあるので、この前で一時停止する。ドアがあいたら建物の中に入り、展示室で停止する。ゴールしたら本走行は終わりだが、その後は走行実験の継続という形でスタート地点まで自律走行して帰ってもらいたい。コースの地図については警察との交渉が終わり次第ホームページで公開する予定。
 運営上のチャレンジとしてはスポンサーの問題がある。ニューテクノロジー振興財団とバンダイナムコグループに頼りきりになっているので、もっとスポンサーを募る必要がある。参加登録費についても値上げを検討しているが、ポケットマネーで参加している領収書の要らない参加者は登録費を据え置いて、企業などから参加している参加者に多めに負担してもらうという案も出ている。

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