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BDについてもっと知りたい!コミュの2008年度第3回BD研究会実施報告

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日時:2008年3月23日 日曜日 13時30分〜17時00分

場所:新宿区・東京日仏学院 103号室

参加者:abeille さん、becco さん、Freddo さん、Kigalisoupe さん、アキタさん、ショードヴァル、菫子さん、せのつくさん、椿屋さん、ぶた王子さん、他コミュニティ不参加者2名(計12名、アルファベット順、続いて五十音順)

概要:
13 :30〜
雑談しながら持ち寄ったBDに目を通したり。

14:30〜
ショードヴァルによる発表:「週刊『モーニング』に掲載された海外漫画について」
※当日はレジュメと書誌データを配布、コピーしたものを大量に持っていきましたが(クリアファイル25冊ほど…)、ここではレジュメだけ掲載します。参加者の方々に補足情報をいろいろといただいたので、それについても掲げておきます。

1.海外漫画翻訳・紹介の流れ

雑誌・ムック
明治
■田口米作によるヴィルヘルム・ブッシュの紹介。
■長原孝太郎がガヴァルニ、カラン・ダッシュの影響を受けた風刺マンガを描く。

大正
■『新青年』〜大正9(1920)年から昭和25(1950)年。ミルト・グロス『突喊居士』。
■『時事漫画』〜時事新報社、大正10(1921)年から昭和3(1928)年。『ハッピーフリガン』、『ドフ君とダフ君』。
■『アサヒグラフ』〜朝日新聞社、大正12(1923)年から平成12年(2000)年。ジョージ・マクマナス『親爺教育』。

昭和
■『マンガマン』〜東京漫画雑誌社、昭和4(1929)年創刊。『サンフランシスコ・エグザミナー紙日曜付録』。
■『マンガ倶楽部』〜マンガ倶楽部社、昭和8年(1933)年創刊。ミッキーマウス、ベティ・ブープ。
チック・ヤング『ブロンディ』〜昭和21(1946)年から31(1956)年まで『週刊朝日』、昭和24(1949)年から26(1951)年まで『朝日新聞』に連載。
■『VAN』〜昭和21(1946)年から昭和24(1949)年。
■『文藝春秋臨時増刊 漫画読本』〜昭和29(1954)年から昭和45(1970)年。
■『週刊読売別冊 漫画読売』〜昭和30(1955)から昭和33(1958)年。
■『WOO(ウー)』〜ツル・コミック社、1972年創刊。4号まで? 網羅的ではないが以下のWEBページに版元のツル・コミック社についての情報あり(http://homepage2.nifty.com/mixed_candy/comic/turu/turu.htm)。
■『スターログ 日本版』〜ツルモトルーム、1978年から1987年まで。後に竹書房、1999年から。メビウス「Ballade(バラッド)」(1979年3月〔5〕号)など。
■『ポップコーン』〜光文社、1980年から1981年。アメリカン・コミックスのメインストリームを翻訳掲載。
■『季刊 リトルボーイ』〜ふゅーじょんぷろだくと、1987年から1989年(1〜5号)。アメコミ、BDの紹介記事あり。
■『A*ha』〜ばばこういち発行、1990年から1991年。毎号1人の海外漫画家を紹介。グイド・クレパックス「ビアンカ」(2号)、ロジェ・ルルー「ヨーコ・ツノ」(5号)、ハイミー・ヘルナンデス「ラヴ&ロケッツ」(9号)、アルベルト・ブレッシア「ばらばらの言葉、囚われの色」(11号)など。
■『A*ha Special Vol.1 Wonderous Comics ‘91』ばばこういち事務所発行、1991年〜Enki Bilal(エンキ・ビラル)「La Femme Piège(罠の女)」、Vittorio Giardino(ヴィトリオ・ジャルディーノ)「Little Ego(リトル・エゴ)」』。
■『WOMBAT』〜講談社、1992年から1993年まで(1〜4号)。
■『error(エラー)』〜美術出版社、00〜02まで全て2001年刊。Emmanuel Guibert(エマニュエル・ギベール)「La Petite Main」(00)、Bézian(ベジアン)「Clown(道化師)」、Schuiten & Peeters(シュイッテン&ペータース)「La Frontière Invisible(見えない国境)1」(01)、Joann Sfar(ジョアン・スファール)「Le Vampire du Louvre(ルーヴルのヴァンパイア)」、Marc-Antoine Mathieur(マルク=アントワーヌ・マチュー)「Le Dessin(ル・デッサン) 第1章版画」、Schuiten & Peeters(シュイッテン&ペータース)「La Frontière Invisible(見えない国境)2」。
■『adidas Manga Fever(アディダス・マンガ・フィーヴァー)』〜飛鳥新社、2002年。フランソワ・ブック「世界は回る」、ニコラ・ド・クレシー「サッカーの殿堂」、エミール・ブラヴォ「審判は12人目の選手!」、マックス・カバンヌ「ペナルティエリア」、フランソワ・シュイッテン&ブノワ・ペータース「ガラトグラード発 驚愕の勝利」
■『Slip(スリップ)』〜飛鳥新社、2005年。Nicolas de Crécy(ニコラ・ド・クレシー)「Prosopopus(プロゾポプス)」。
■『MANDALA』〜講談社、2006年創刊。Igort(イゴルト)「baobab(バオバブ)」他。

この他にも抄訳、紹介を多くの雑誌が行なっている。
■『STUDIO VOICE 特集:地球コミック宣言』vol.179、1990年11月号
■『マンガホンコ フランス語圏のマンガ(BD)たち』、『本とコンピュータ』2002年春号
など

※特に戦後のリストについては、BDを主眼にしたものであるために遺漏がかなりあります。『ポパイ』や『ブルータス』、『プレイボーイ』に掲載されたコミック・ストリップ、『ブロンディ』や『猫のフェリックス』が新聞に掲載されたケースなどご指摘いただきました。『プレイボーイ』には「バーバレラ」が掲載された可能性があるとのこと。『EQ』に3回分載せられたレイモンド・チャンドラー原作・マイケル・ラーク作画「かわいい女」(1996年1〜5月)、『別冊サイエンス』に載せられたJ.P.プチ「アンセルムの冒険」(西村行博訳、日本経済新聞社、1970年代、何冊かあるようです)といったものについても教えていただきました。また、『アックス』は何度かオルタナティヴ・コミックス特集をしており、そこにも海外漫画が載せられています。アメコミについてはほとんどフォローしていませんが、雑誌、単行本ともにかなりの点数が出版されています。インタヴューや紹介記事は、『コミッカーズ』などにも載せられており、ビジュアル系SF誌やフィギュア誌や模型誌、『ホットミルク』などにも掲載されたとのこと。

単行本
■ヴィルヘルム・ブッシュ『Wampaku monogatari(ワンパクモノガタリ)』(全2巻、渋谷新次郎/おやいづ小柳津かなめ要人訳、羅馬字会、明治20、21〔1887、1888〕年)の出版。ヴィルヘルム・ブッシュの代表作 Max und Moritz - Eine Bubengeschichte in sieben Streichen の翻訳。早稲田大学古典書籍総合データベース(http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/)に画像あり(http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he22/he22_07214/)。『マクスとモーリツのいたずら』(上田真而子訳、岩波書店、1986年)という最近の翻訳もある。
■成澤玲川『西洋漫画 安楽椅子』(泰山房、大正7〔1918〕年)〜主としてアメリカの『Life』、『Judge』誌から採った海外漫画の紹介。ドイツ、イギリスの漫画も含まれている模様。1コマ漫画が多いが、複数のコマから成るものもある。
■ジョージ・マクマナス『親爺教育―ジグスとマギー』(全2巻、東京朝日新聞社、大正13、14〔1924、1925〕年)
■チック・ヤング『ブロンディ』(全10巻、朝日新聞社、1947〜1951年)

BD関連
■エルジェ『ぼうけんタンタン』3巻(阪田寛夫訳、主婦の友社、1968年)
■ルネ・ゴシニー原作、アルベール・ユデルゾ作画『アステリックスの冒険』(全3巻、渡辺一夫監修、西本晃二、新倉俊一、松原秀一訳、双葉社、1974年)
■モリス『ラッキー・ルーク』(全3巻、渡辺一夫監修、西本晃二、新倉俊一、松原秀一訳、双葉社、1974年)
■グィド・クレパックス『ビアンカ』(小野耕世訳、東都書房、1974年)
■エルジェ「タンタンの冒険旅行」シリーズ(川口恵子訳、福音館書店、1983年〜2007年)
■アレハンドロ・ホドロフスキー原作、メビウス作画『謎の生命体アンカル』(横山研二、カトリーヌ・デュクレール訳、EUROPE BEST COMIC 1、1986年)
■ステファーノ・タンブリーニ原作、ガエッターノ・リベラトーレ作画『ランゼロックス』(横山研二訳、EUROPE BEST COMIC 2、1986年)
■フランソワ・ブルジョン『風の漂流者―艦長室にひそむ女』(横山研二、カトリーヌ・デュクレール訳、EUROPE BEST COMIC 3、1986年)
※「EUROPE BEST COMIC 4」というものがあり、ルネ・ラルーの『時の支配者たち』のフィルム・ブックが出版されている模様。
■ブロカル=ルモイ画『反逆者タール 金の砂時計』(赤い太陽社、翻訳者・刊行年不明)
■ルドルフ・テプフェル『アルプス旅行:テプフェル先生と愉快な仲間たち』(加太宏邦訳、図書出版、1993年)※BDではなく、紀行文
■エルジェの『クックとプッケ』(既刊5巻、ほりうちもみこ訳、冨山房、1994年〜)
■マックス・カバンヌ『目かくし鬼』(小澤晃訳、講談社、1994年)
■グィド・クレパックス『ヴァレンティーナ』(渡瀬哲也訳、河出書房新社、1995年)
■グィド・クレパックス『O嬢の物語』?、?(巌谷國士訳、トレヴィル、1996年)
■フレデリック・ボワレ/ブノワ・ペータース原作、フレデリック・ボワレ作画『東京は僕の庭』(関澄かおる訳、光琳社出版、1998年))
■ルースタル『Loustal 作品集 Voyage en Méditerranée - quelques escales dans les îles du sud(地中海への旅―南の島の停泊地)』(貴田奈津子訳、光琳社出版、1998年)
エンキ・ビラルの『モンスターの眠り』(大友克洋監修、貴田奈津子訳、河出書房新社、1998年)
■エンキ・ビラルの「ニコポル3部作」(貴田奈津子訳、河出書房新社、2000〜2001年)ギィ・ペラート『ギィ・ペラート作品集―Guy Peellaert’s Flipper Comics―』(貴田奈津子訳、L’APPAREIL-PHOTO editeur、2000年)
■ルイス・トロンダイムの『Mister O(ミスター・オー)』(講談社、2003年)
■マルジャン・サトラピ『ペルセポリス』?、?(園田恵子訳、バジリコ、2005年)
■フアン・ディアス・カナレス原作、フアーノ・ガルニド作画『ブラックサッド』1、2巻(大西愛子訳、早川書房、2005年)
■ジョアン・スファール『プチ・バンピ 学校へ行く』(関澄かおる/フレデリック・ボワレ訳、飛鳥新社、2005年)
■ギィ・ドゥリール『マンガ 平壌―あるアニメーターの北朝鮮出張記』(桧垣嗣子訳、明石書店、2006年)
■マルジャン・サトラピ『刺繍 イラン女性が語る恋愛と結婚』(山岸智子監訳、大野朗子訳、明石書店、2006年)
■『JAPON(ジャポン)』(飛鳥新社、2006年)
■『MANDALA(マンダラ)』01(講談社、2007年)
■ダヴィッド・ベー『大発作』(関澄かおる訳、明石書店、2007年)
■マルセル・プルースト原作、ステファヌ・ウエ翻案・画『失われた時を求めて』第1巻「コンブレー」(中条省平翻訳、白夜書房、2007年)
※ペヨ『スマーフ物語』が漏れていました。

2.『モーニング』の海外漫画掲載
『モーニング』とは?
『モーニング』〜1982年9月9日に『COMICモーニング』というタイトルの隔週刊雑誌として創刊。1986年4月17日号(通巻118号)から週刊誌化し、今にいたる。

『モーニング』の海外漫画掲載の特徴
創刊号と第2号から既に海外漫画を紹介するページを設けているが、その後、特に発展せず。1987年からまとまった海外漫画の翻訳掲載が始まり、1990年代の前半から半ばまでをピークに、2000年頃まで継続。内容的には、アメリカ・カナダ、アジア(韓国・台湾)、ヨーロッパの漫画が翻訳掲載されている。この期間の前半にアメリカの漫画、後半にヨーロッパの漫画が多く掲載され、アジアの漫画については期間を通じて掲載されている。前半の作品は短編の読みきりや、連載であってもエッセイ風の各回のページが短いもの、あるいは連載回数が少ないものが多いのに対し、後半の作品は、ページ数が少ないものも相変わらず存在しているものの、ページ数が多いものが増えてきている。とは言え、ヨーロッパの作品は多くの場合、単行本にして1巻に収まるもので、日本の漫画に比べるとやはり短い。

アメリカ・カナダ
表1『モーニング』アメリカ・アジア作品参照。3つの読みきり、長短併せて15の連載作品。『COMICモーニング オープン増刊』(1985年7月11日〔通巻87〕号)に載せられたゲイリー・パンター(「コーラ・マッドネス」いがらしみきお訳)を除くと、現時点で日本ではあまり知られていない漫画家が多い。アメコミのメインストリーム的な漫画はほとんどなく、エッセイ漫画風、オルタナティヴ・コミック風の日常風景を描く作品が複数見受けられる。

アジア
表1『モーニング』アメリカ・アジア作品参照。読みきりが1つに、連載が15。海外漫画紹介の流れに先駆けて、1984年にAO.AO.という漫画家の「烏龍院」という作品が紹介されているが、それに続けてアジアの作品が継続的に紹介されるということはなかった。1988年から連載された『大血河』など、連載20回を数えており、他の漫画も含めてアジアの漫画はかなり日本のマンガに近い印象がある。1996年から連載された『李さんちの物語』は単行本にして4巻に及んでいる。アメリカ・カナダの作品と比べると長期連載という意識が高い。

ヨーロッパの作品
表2『モーニング』ヨーロッパ作品参照。当初、短編が単発的に掲載されていたが、途中から<ピエールと友達>という企画名のもとに短編が発表されていくことになる。それと平行して最初から長期連載として掲載されたものもかなりある。<ピエールと友達>修了後は<モーニングマジカルコレクション>がその後を継ぐ。<モーニングマジカルコレクション>の中には長期連載を念頭に置いたと思しい作品がいくつかあるが、結果的に1回で打ち切りになってしまったものが多い。読みきり作品は5編(<モーニングマジカルコレクション>に収められたものも含めると8編)。

<ピエールと友達>
表4、5 <ピエールと友達>参照。『MANDALA(マンダラ)』にもエディトリアル・スタッフとして名を連ねる Pierre-Alain Szigeti(ピエール=アラン・スジェッティ〔ジジェティ〕)氏が毎号ヨーロッパの漫画家を紹介するという体裁をとった短編漫画シリーズ。1992年10月8日(42)号から1994年6月23日(27)号まで、全83回。毎号1人の作家の短編が掲載される。ページ数は見開き1ページのものから8ページのものまでさまざま。多くの場合、1話完結だが、シリーズ化し、複数回にわたって描かれたものもある。多いものでラバテの作品が7回、ブージェラルが6回、ヘーチェルが5回掲載されている。紹介された漫画家は約50名、国籍はフランスが一番多いが、ベルギー、スペイン、イタリア、イギリス、ドイツ、アメリカの作家も名を連ねている。

連載作品
1992年6月11日(25)号から始まるジョリー・グツの『魔法使いイリス』を皮切りに、1998年3月5日(12)号でヨーロッパ漫画最期の掲載作品となったアンドレアス・ディアセンの『クンツ』まで、長短併せて16の作品が連載された(<モーニングマジカルコレクション>に収められたものも含めると21編)。この内、大部分が単行本化されているが、ある程度長い作品でも必ずしも全ての連載作品が単行本化されたわけではなく、カッファの『生きている惑星』は単行本化されておらず、ジョリー・グツの『魔法使いイリス』も全17回の内、10回分を取捨選択したものだった。

<モーニングマジカルコレクション>
表3 <モーニングマジカルコレクション>参照。1995年4月20日(18)号スタートのシリーズ。キロファー「不思議なドア」、スタッセン「アフィド―世界一の純情男―」、デュフール「ソクラテス」を除いて、長期連載を予定していたらしい。結局、連載が続いたのはボードアンの『ニース物語(ニース風サラダ)』とイゴルトの『ユーリ』のみ。ただし、『ニース物語(ニース風サラダ)』は単行本化されず、『ユーリ』も単行本になったのは第1部12回分のみだった。

『モーニング』の海外漫画掲載の終了
アメリカ・カナダの作品については、まとまった紹介は1992年で終了しており、1993年6月24日(27)号に<ピエールと友達>の枠で掲載されたマズッケッリ「Beer Bottle Blues(ビア・ボトル・ブルース)」が、『モーニング』に掲載された実質上最後の作品である。それと交代するかのようにヨーロッパの漫画が紹介されるようになるが、それも、1998年3月5日(12)号のアンドレアス・ディアセン『クンツ』で終わっている。アジアの作品はまだしばらく続き、黄美那『李さんちの物語』は2000年10月17日(45)号で完結している。

3.『モーニング』海外漫画掲載の意義
創刊1、2号の海外漫画紹介は、それまでの雑誌、あるいは同時代の他の雑誌が行なってきたこととそれほど変わるものではない。1980年代後半以降の海外漫画の翻訳掲載については、特にヨーロッパの作品に関して、同時代の、それもその後、高く評価されることになる作家の作品をいち早く日本に紹介している点で高く評価できる。また、期間の後半に掲載された作品については、単なる翻訳ではなく、日本のマンガ雑誌に掲載し、日本の読者にアピールするためのプロデュースがなされており、マンガの文法を海外の漫画家と共有しようとする試みと捉えることができ、それまでの海外漫画の翻訳・紹介とは質を異にするものだと言える。そうしたプロデュースの具体的な成果は、1992年11月5日(46)号〜12月3日(50)号にかけて連載されたアンドレアス・ディアセンの『血のようにはかなく』と、1998年2月19日(10)号〜3月5日(12)号にかけて連載された同じ作家の『クンツ』という作品の違いに見ることができる。また、イゴルト『ユーリ』の第1部と第2部の違いにもプロデュースの痕跡を認めることができる。

17:00〜
片付け。終了。

コメント(16)

当日、思い出せなかった「団団珍聞」に掲載されたアメリカマンガの紹介記事ですが、

1897(明治30)年7月22日(24日かもしれない)号から三回連載された
幸徳秋水の「米国の政治的風刺漫画」

です。可能ならば今週末にコピーをとってきます。
いや、これは詳細な調査・研究ですね。とくに明治時代にウィルヘルム・ブッシュがもう紹介されていたとは。とても重要なことなのでは。幸徳秋水と漫画というのも面白そうですね。行けなくてものすごく後悔してます。
幸徳秋水(いろは庵)の「米国の政治的風刺漫画」 をコピーしてきました。
↓にアップしてあります。
http://mhi.at.infoseek.co.jp/upfolder/irohaan.pdf
おお、ありがとうございます。プロレタリア運動とマンガ、もういちど検証すべき問題ですね。
>アキタさん
おお、幸徳秋水が…! 明治時代からこんな風に海外漫画に対する言及があるんですね。貴重な資料をありがとうございます。僕も成澤玲川『西洋漫画 安楽椅子』をPFD化せねば…

>Father U さん
僕も知らなかったんで、びっくりでした。というか、割と最近の『マクスとモーリツのいたずら』(上田真而子訳、岩波書店、1986年)ですら知らなかった… たぶん海外漫画という文脈ではなく、児童文学とか絵本という感じで翻訳紹介されてるんでしょうね。

レス遅くなりました。…当日お伺いできたらボードアンの仏語版『ニース風サラダ』だったか『旅』だったか(うろ覚えなんですけど、『旅/Voyage』も「モーニング」で連載されてたような?)をお持ちするつもりでした。(共にl'Association社、上記にあるように日本では未単行本化作品)

それにしてもレポを拝読すると、明治まで遡った内容だったんですね。スゴイ。
ご用意されてたデータのコピーもいつか目にできればと思います。

>3.『モーニング』海外漫画掲載の意義
日本側の編集、 プロデュースについては、端的に言えば「日本の漫画雑誌に描き下ろしで掲載したBD(あるいは海外漫画)」という意味でより意義深いです。
出版システム(海外では雑誌連載後に単行本化ではなく直接単行本作品としての契約、制作する場合がほとんどだし(ここ最近の東京日仏学院でのダビッド・ベーやニコラ・ド・クレシーの発言でも分かる)、そもそも漫画雑誌が極端に少ない状況)がまったく異なることと、編集者や出版社が作品そのものに介入することはまずあちらではあり得ないので、当時の「モーニング」の編集コンセプトと、海外作家のモチベーションの在り方が奇跡的に作用した賜物であることを評価せねばなりません(ショードヴァルさんが仰りたいことと意味は同じかもしれませんが)。
ただ、講談社の狙い(海外作家の紹介の延長線上に、ぶっちゃけ商業ベースに乗せること)とは結果的に反してしまったので、試みは良かったのに〜〜〜という寂しさに繋がったかも@@

あれから10数年以上がたった現在、海外の読者や無論、現役作家世代(日本アニメや漫画で育った世代)がより私たちに近くなってきたので、国境を越えてより共感できる作品が増えて行くのは間違いないです。
クラシックなBDを愛するだけでなく、今後の「漫画表現」の在り方も見守っていければと思う次第です。
>仙の道さん
コメントありがとうございます! 『Salade Niçoise』ですよね? 当日、椿屋さんが持ってきてくださいました。僕はきちんと確認してませんが、『モーニング』連載時と単行本仏語版では若干異同があるようです。この作品は非常にいい内容で、分量的にも7話ぐらいまで連載されていて、単行本になるには十分なだけに日本で単行本化されていないのが残念でなりません。データはいつでもお渡しできますので、ご関心があればおっしゃってください。せっかくなんで、『モーニング』に連載された作品の中で単行本化されたものについては、以下に掲げますね(刊行年順)。

■朴史烈(パク・サヨル:韓国)原作、李載学(イ・ジェイハク:韓国)作画『大血河(デーヒョルハ)』(全2巻)、戸田郁子訳、1989年
■ナンシー(アメリカ)『ナンシーのN・Y・レポート』(全2巻)、訳者表記なし、1989年
■鄭問(チェンウェン:台湾)『東周英雄伝』(全3巻)、徳田隆訳、1990年、1991年、1993年
■ケン・カーター(Ken Carter:アメリカ)『バハ・レイダー(Baja Raider)』訳者表記なし、1989年
■アンソニー・ゼアハット(Anthony Zierhut:アメリカ)『片目のジャック(One Eyed Jack)』訳者表記なし、1991年
■クリストフ・クリタ(Christophe Kourita:日仏)『おだいじに』(全2巻)、1993年、1994年
※クリストフ・クリタさんの作品は翻訳ではなく、セリフの日本語もご自身で書いてらっしゃるそうですが、フランスに関係があるカラー作品ということで載せておきます。未読ですが、つい最近『冒険野郎伝説 アヴァンチュリエ』(ビーム・コミックス)が刊行されました。
■黄美那(ファン・ミナ:韓国)『允姫(ユニ)』(全2巻)、成美江子訳、1995年
■ボードアン(Baudoin:フランス)『旅』長谷川たか子訳、1995年
■バル(フランス)『太陽高速』長谷川たか子訳、1995年
■ヴァレンヌ(フランス)『喜郎―KIRO―』長谷川たか子訳、1995年
■マルドナド(スペイン)『ロサリオ(Rosario)』Mayte、Keiko訳、1995年
■ベブ・デオム(Beb Deum:フランス)『新世紀ドミノ』長谷川たか子訳、1996年
■ジョリー・グツ(Joly Guth:フランス)『魔法使いイリス(Iris Magicienne)』長谷川たか子訳、1996年
■呉世浩(オーセーホ:韓国)『水の国のアリラン』1巻のみ、戸田郁子訳、1996年
■アレックス・バルビエ(Alex Barbier:フランス)『市長への手紙』長谷川たか子訳、1998年
■安壽吉(アン・スギル:韓国)『虎物語』成美江子訳、1998年
■鄭問(チェンウェン:台湾)『萬歳(バンザイ)』徳田隆訳、1998年
■黄美那(ファン・ミナ:韓国)『李(イ)さんちの物語』(全4巻)成美江子、戸田郁子訳、1998年、1999年、2000年
■鄭問(チェンウェン:台湾)『始皇(シーファン)』1巻のみ、塩谷啓子訳、1999年
■メビウス(Moebius:フランス)原作、谷口ジロー作画『異卡力(イカル)』長谷川たか子訳、2000年
■安壽吉(アン・スギル:韓国)『HOY―ホイ―』成美江子訳、2001年


そうそう、昨日、国会図書館で調べものをしていたら、

■ヴィルヘルム・ブッシュ『エドワルトの夢』矢川澄子訳、妖精文庫21、月刊ペン社、1979年

というものがあることを知りました。白黒ですが、ここにも「マクスとモーリツ」を始め、「カエルとカモ」、「いたずらハインリヒ」など、ヴィルヘルム・ブッシュの漫画(というか絵物語? 文字部分がかなり多いです)が収められています。ライナー・チムニクの『クレーン』や『タイコたたきの夢』なんかを訳している矢川澄子さんがヴィルヘルム・ブッシュを紹介してるのは当然と言えば当然ですね。ブッシュは他にも絵本としていろいろ訳されているのかもしれません。
いや、良く調べてくださいました。論文になりそうですね。
お久しぶりです&お疲れさまです!
面白いですねー。

もう既に確認済みかもしれませんが、手元にあったので。
>『プレイボーイ』には「バーバレラ」が掲載された可能性があるとのこと。

これは『別冊プレイボーイ COMICS特集クレイジー No.1』(1968)に載ってます。
表紙の惹句によると「未来セックス・コミック」らしいです(笑)

あと、この間ジャクリーヌ・ベルントさんがコロックで発表されていて初めて知ったのですが、68年の少年ジャンプに『フラッシュ・ゴードン』や『マンドレイク』が翻訳されていました。

どこまでカバーするか判断するのが難しいでしょうけど、頑張ってください。
期待してます(他力本願)。



>Father U さん
増刊や『アフタヌーン』のチェックがまだ済んでないので、このまま継続して調べる予定です。また改めてご報告しますね。

>のさん
お久しぶりです! 他力本願って…(笑) まあ、でもこういう地味なところは僕がやります(笑)。『バーバレラ』、まだ調べてませんでした。助かります。「未来セックス・コミック」なんて言われたら、読まずにいられませんね(笑)。『ジャンプ』は『フラッシュ・ゴードン』と『マンドレイク』だったんですね。『ハルク』か何かだと思ってました。アメコミまでカバーする自信はありませんが、ぼちぼちやってきたいと思います。
フラッシュ・ゴードンとマンドレイク!それが人気だったら日本のマンガもずいぶん変わってましたね!
ご無沙汰してます。日にちの都合がつかず、ずっと研究会に参加出来ずにいるのですが、
いつもレポートを有り難く拝見させて頂いています。

創刊当時の「ジャンプ」に掲載されたアメリカン・コミックについては、自分のブログで
以下のようにまとめたことがありました。
http://kandume.tea-nifty.com/manga/2007/01/post_debf.html

私自身は読んだことはないのですが、日本のマンガ雑誌仕様に
“グラフィック・アダプテーション”していたのでしょうか。気になります。


アメコミといえば、「モーニング」の創刊号を持っているのですが、ジョージ秋山の連載で
『超人春子』という有閑主婦が主人公のマンガ、今思えば、この題名は『超人ハルク』の
もじりなのですよね、たぶん。このことに気付いたとき、全身が脱力してしまいましたが…。

また、海外作品が頻繁に登場していた頃の「モーニング」は、時々買って読んでました。
イゴルトの『ユーリ』が可愛かったので、ページを切り取って保存した覚えが。
>うりぼうさん
ご無沙汰です! ブログ、拝読しました。『フラッシュ・ゴードン』と『マンドレイク』意外にも結構いろんなものが掲載されたんですね! 参考になります。いずれ国会図書館ででも調べてみますね。おお、『超人春子』! ちょっと前にその辺を調べてたんですが、『超人ハルク』のもじりだなんて全然気づきませんでしたよ(笑)! 先日、椿屋さんとお話していた時に『ラブリン・モンロー』の元ネタは Calvo の『La Bête est Morte !』では…という話になり、盛り上がったんですが、結構、海外の漫画を参照してるのかもしれませんね。『ユーリ』、かわいいですよね! 単行本が1巻だけ出てるのですが、収録されてない分が6回ほどあり、ちょっと残念です。 作者の Igort(イゴルト)はちょっと前にフランスのラジオ番組に出演していて、聞いてみたんですが、最近では、なんかCDとコラボのBDとか出してるみたいですね。ちゃんと調べてませんが…(笑)
>うりぼうさん

ブログ拝見しました。勉強になりました。
そうか〜「さらば わが青春の『少年ジャンプ』」を見れば良かったのですね。
あれ昔買ったかなぁ。

プロジェクターでちらっと見た限りでは、
作家紹介みたいなペ−ジもありました。←当時のジャンプ。

>ショードヴァルさん

須山計一、松山文雄、伊藤逸平、植草甚一とか『現代漫画大観』『小学生全集』『漫画講座』とかの全集ものも面白そうですねー(ウフ)。
あと『新聞漫画の眼ー人 政治 社会』の小野さんの文も面白かったです。
>のさん
読む本が一気に増えましたね…(笑) まあ、地道に… 

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