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極短編・携帯小説を書くコミュの夏ですから恒例の(マテ

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涼しくなればいいんですが。
「タクシーの幽霊」

 ルームミラーに乗っていないはずの女の顔が映って、後ろを振り返ったら誰もいなくてシートだけがびしょ濡れ。
 あるいは乗せたはずの客がルームミラーに映っていなくて、変だなと思いながらも目的地に着き、財布取ってくるからと家へ入っていたがなかなか出てこず、しびれを切らせた運転手がその家を訪ねるとさっきまで乗せてきた客の初盆をやっていた、とか。
 ――タクシーの怪談にもいろいろあるけど、実際問題一番怖いのは誰も乗っていないはずなのにルームミラーに顔が映って、後ろを振り返ったら「本当にいた」時だろうなあ。
雨の夜道を走らせながらふとそんなことを思ってしまったのは、さっき拾ったこの女性客のせいなんだろうか?
 いやもちろんこの客の顔がルームミラーに映ってない、なんてことはないし、時折ちらっと振り返ってみてもちゃんといるのだけれど……。ただでさえ人通りの少ない道に、傘も差さずにぽつんと突っ立っていたことといい、行き先を告げた声もなんだかこもって聞き取りにくかったことといい、どうにも妙な客だった。理由を聞くのもなんだか微妙な感じがするし、もちろんその女性客が自分から理由を話すはずもなく。
 結局、車内には小さくカーラジオ――間の悪いことに怪談特集――が流れているのみ。ああ、変な客拾っちゃったなあ、回送にしてさっさと帰ればよかった、とか何とか思っていると、突然その女性客が口を開いた。
「すいません、停めてもらえますか?」
「え?」
指定された目的地まで、まだ三分の一ほど距離はある。雨だって女性客が乗った時より強くなっているし、別にお金が足りないというわけでもなさそうだ……だが
「もうここで結構です、すいません。停めてください」
 重ねてそう言われれば、何ともしようがない。ゆっくりと道路端に車を寄せ、客を降ろす。次の信号で止まったときにもらったお札を調べてみたが、別に変わったところもないただの五千円札である。
 まあいいか、考えても仕方ない。首を振り、再び車をスタート。今日はもう店じまいだ、さっさと帰ろう――

 ――走り去るタクシーを見送って、女性客は大きく身震いをし、安堵の息をついた。
 冗談じゃないわよ、ルームミラー見たら運転手の顔映ってないし、ちらっと見たら足もないなんて……!

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