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映画・演劇 New Teeth Labコミュの舞台演技と映像(カメラ前)演技の差異

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本年度から、カメラを用いた映像演技もレッスンに取り入れることにしましたで、ここで少し、舞台演技と映像(カメラ前)演技の差異について、述べさせて下さい。参考になれば幸いです。

コメント(4)

舞台演技と映像演技の差異001

両者の演技は、本質的には同一のメソッドで構築していく事が可能である。
ただ、映像演劇の特徴で最も顕著なものが、「カメラ」及びその「アクセサリー(マイク、ドーリー、三脚、スタビライザー、ジブ・アーム、クレーン等、カメラ周辺機器)群」の存在であろう。この機械群の存在によって、舞台演劇と映像演劇には、下記のような差異が現れる。

カメラの前で演技することと、舞台で演技することの差異で、まず思い浮かぶのは、発声法、視線や表情、歩行であろう。

?発声法

1)舞台演技 劇場全体に響き渡るような意識的な「腹式呼吸法」を多用する
2)映像演技 マイクという機械を使う為、必ずしも「腹式呼吸法」を多用する必要はない。

?視線と表情

1)舞台演技 大劇場と小劇場でも差異はあるが、あまりに微細な視線移動や表情の変化に依存することない。寧ろ、全身を使った演技を心がけ、表情もその一部に従属したものとなる場合が多い。視線移動は、対象から対象に対して、合理的な軌跡を辿ることになる。例 右奥から左手前(斜めの移動)・下から上(ティルト移動)、相手役の片目のみを凝視(両目を見ると視線がぐらつくが、片目だとぐらつくことはない)etc... ちなみに、舞台では、目、指先、手首、腕、首、肩、足、上半身、下半身、体全体と、動かす単位がある程度チャンク(塊として扱われる)化されている。

2)映像演技 カメラはズームイン(近寄る)/ズームアウト(遠ざかる)し、また、パン(水平移動)やティルト(上下移動)もする。俳優の演技は、バストショット(胸から上)サイズ以上では、極めて、自然で繊細な演技が要求される。但し、意識の抑制下に置かれていない不純物を、視線や表情に入れてはならない。洗練されて、選び抜かれ、且つ、自然な視線や表情が要求されるということである。

※バストショット以上の場合、舞台演技と比べると、舞台演技はマクロの演技、映像演技はミクロの演技とよく言われる。

?歩行と歩行姿勢

1)舞台演技 動くときは原則二歩以上しっかりと歩く。さもなければ、遠い席から見ている人には、一歩だけの歩行だと「にじり寄った」「耳打ちをした」等の別の意味合いが発生してしまう。姿勢は正して、やや大股気味に歩き、対象に対して、最短距離を合理的に歩くのが原則。

2)映像演技 カメラとの兼ね合いもあるが、基本的には自然歩行を心がける。カメラに向かって歩く時には、レンズ、及び、レッド・マーカー(RECライト)を見ないように歩く。カメラ前では、左右いずれかの横に逃げる。

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補足:
1)ドーリー カメラを搭載し、レールを敷いてその上を走らせるトロッコタイプのものや、フロアー上を移動するノン・レールタイプのものがある。
http://www.sgp.co.jp/kls/dolly.html#dolly5
2)ジブ・アーム 簡易小型クレーンのことで、カメラを搭載し、手動で上下・水平・斜め方向に可動させることができる。
http://www.libec.co.jp/jp/products/jib_arm/jb-30.html
3)スタビライザー 身体装着型水平安定化装置。カメラと身体を装着する為に、ベストを着用して、スプリング・アームがジョイントとなる。最近では、スポーツ中継などで、必ずと言って良いほどお目にかかる。ステディカム(Steadicam)という製品が有名で、テレビ番組ERでは、長回しの1シーン1ショット撮影に使用されている。一脚・三脚に次ぐ第三のエクイップメントと呼ばれており、モーションは、カメラが空中を浮遊するかのような滑らかな動きをする。オペレーターの能力次第では、クレーンにも匹敵する安定感・円滑な移動・独特の浮遊感が出せる。
http://www.arc7.co.jp/steadicam.htm
4)マイク 通常、ドラマでは、超指向性マイク(ガン・マイク)や、胸元に隠す小型無線を用いるピン・マイク等が多用されている。
http://www.genkosha.co.jp/np/detail.do?goods_id=811

002に続く
舞台演技と映像演技の差異002

舞台演技と映像演技というよりは、舞台表現と映像表現、それぞれの独自性を考えてみたい。

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(1)神の視点/主観ショット/ナレーション
先ず映像表現として思い浮かぶのは、−

a)神の視点 上空から街全体を俯瞰する、ビルの最下階から最上階まで仰角する等、映像作家が、場所全体や環境の特異性を観客に提示する為に使うショット。
登場人物の意思を代理表現するものではなく、作品世界の環境を紹介するもの。

b)主観ショット ある人物の視点から見た光景、物体、相手役の顔等。
主観ショットにおいては、俳優が演技しなければならないことがある。例えば、携帯電話を見ている。→携帯電話とそれを持つ手にズーム・イン、等という場合、携帯電話を握る部所のみアップで撮影する場合がある。

c)ナレーション 状況説明や心理説明にナレーションが使われる場合がある。大抵の場合は、その映像作品の主要人物がナレーターを務める。

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(2)独白(Monologue)/パイロット(Pilot)/口上/連続した時間での場面転換
下記は舞台表現に独自なもの、或は、映像表現からの影響として思い浮かぶ独自な表現

a)独白(Monologue)
ただ状況の中で一人言を呟くということだけではなく、シェークスピア劇等に顕著に見られるように、内面・心情を台詞にして、発声するもの。

b)パイロット
語り手として、物語の外に出て、観客に語りかける役。―テネシー・ウィリアムズの「ガラスの動物園」のトムは、劇中人物として、物語の中で役としても「生きる」が、場転換等の部所に登場して、状況説明等をする。映画のナレーターと似た役割と言って良い。

c)口上
シェークスピア作品で見られるように、作品最後に、観客全体に、役が直接語りかけるというもの。劇(物語)の総括や、主人公の心境を訴えかける事が多い。

d)連続した時間での場面転換
ある椅子に座る女性の照明の色が白から橙に変わり、瞬時(数秒)で、昼から夜などに変わる、等というもの。俳優の演技においては、サモチェーフストビエやオリエンテーション、行動の論理と一貫性等の機敏な転換が求められる。


昨今では、映像表現にはCGというものが多用されて、それに対する演技対策も迫られている。また、中国・香港等のワイアー・アクションのような従来とは異なるアクション演技も出現しているが、ここで触れることは控える。

003に続く
舞台演技と映像演技の差異003

ミザンスツェーナ、無対象行動(想像上の対象のある行動)に関して

※ミザンスツェーナとは、俳優の「舞台上の行動の軌跡(動きの順序)」を指す舞台演劇用語。ロシア語ではミザンスツェーナ、フランス語ではミザンセーヌ、米語ではクロスと呼んでいる。日本では略して「ミザン」と呼ばれる事が多い。

※※無対象行動(想像上の対象のある行動) 20世紀に入り、普及した表現方法で、小道具等が実際にはないが、あるかのごとく演技をする方法。19世紀までの演劇、また、20世紀の商業演劇等では、小道具を用いて演技をすることは至極当然とされていたが、小劇場運動の勃興や、不条理演劇の台頭により、無対象行動も一般的な表現として定着することになった。
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(1)ミザンスツェーナ

a)舞台演劇においては、19世紀までは、スター・システムの公演が多く、聞かせどころになると、相手役とのそれまでの劇中における関係を無視して、いきなりフットラインに出てきて、観客席に向かい、正面芝居で朗々と「聞かせる台詞」を謳いあげる等ということが、頻繁に行われていた。
つまり、その当時のミザンスツェーナは、戯曲の流れがどうあれ、ある役の聞かせ所では、観客席に向かって移動し、そこで「正面芝居」をして台詞を謳いあげ、それが終わると、また、元の位置に戻るということをしていたということである。

しかし、19世紀後半、モスクワで誕生したリアリズム演劇の台頭とその潮流は、世界の演劇状況を一変させることになった。

何故ならば、アンサンブル性を重視するリアリズム演劇においては、ミザンスツェーナは、相手役との関係や、環境と自分の関係を反映し、展開されるものであり、複雑且つ繊細なものとなったのである。

※ミュージカルや古典は別にして、現代のストレート・プレーの大半は、リアリズム演劇のメソッドによって導き出された、関係を重視したミザンスツェーナの展開を基盤とているのである。

例:
1.恥ずかしくなる場面では、相手役から遠ざかろうとする/遠ざかる。
2.怒りに駆られて、相手役に真っ直ぐに(最短距離を最速で)向かって行く。

b)カメラの前のミザンスツェーナ 映像演技のミザンスツェーナの場合は、相手役との関係に加えて、演出家(監督)の恣意性に基づく審美的なカメラワーク等の要因が絡まる為、多様性は一層高まり、言葉で表現し尽くすのは困難であるが、基本的には、カメラで何(俳優、物体、景色、または、それらの混合)を写すか、ということでミザンスツェーナが決定される。

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(2)無対象行動(想像上の対象のある行動)

a)舞台演劇における無対象行動(想像上の対象のある行動) 。

無対象行動(想像上の対象のある行動)においては、俳優の、行動の論理と一貫性、また、それを実現するための繊細で注意深い洞察力と再現力が要求される。

例: ある名女優(杉村春子さん)が、舞台上で、存在しない針に存在しない糸を通して、縫い物をするという演技をしたら、それを見ていた観客が万来の拍手を送ったという伝説がある。技術ある俳優が、無対象行動をすると、ないものが、恰も、あるかのごとく見えてくるという好例である。

b)映像における無対象行動(想像上の対象のある行動)

相手役Bの主観カットの場合、俳優A自身は、カメラに向かって演技をする場合がある。その時、相手役ではなく、レンズ、または、REC赤ランプを見ての演技となり、相手役は目の前にいない。
また、個人、または、複数人で、何か(物体、人物、検査結果、実験等の様子)を見下ろしている場合、個人、または、複数人が、レンズ、またはREC赤ランプに向かっての演技となる。
これらは、つまり、カメラを対象として演技をする場合である。

その他にも、パントマイマーの演技を撮影したりする場合がそれに当たるだろう。

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004に続く
舞台演技と映像演技の差異003

映像演技における「つながる演技」

(1)映像演技における「つながる演技=カットとカットを繋げる演技」
映像演技における再現性と反復性

映像表現は、カットを最小単位としている。つまり、カメラが回り出して、「カット!」の掛け声がかかるまでの間の時間である。
言葉にすればこれだけだが、映像演技の難しさは実はここにある。

(1)コーヒーの入ったカップとソーサーがテーブルの上にある。
(2)テーブルの上でノートPCを操作するA。
(3)少し疲れたので体の伸びをする。
(4)コーヒーカップに手を伸ばして、口に運び、コーヒーを飲む。
(5)コーヒー・カップを元あった場所に戻して、再び、ノートPCに向かって操作を始める。

演出家の意図にもよるが、カットはいかようにも切っていける。
a)コーヒーカップのアップから、コンピューターを操作するAの指先から、コンピューター・モニターを見詰めるAの目元までカメラは舐めるように移動する。
b)やや引きのカットとなり、体の伸びをするA
c)コーヒーに手を伸ばす。
d)コーヒーカップの大写し。Aの指が映り、宙に浮くコーヒーカップ。
e)Aがコーヒーカップを口に運び、一口飲むと、元にあった場所に戻す。
f)Aのコンピューターを見詰める目元の大写しと、やがて、タカタとキーボードを叩く音。
g)テーブルの上のコンピューターで操作を再開するA。

7つのカットに切ってみたが、もしカメラが一台しかなければ、ここでは、最多で一連の動作を7つの行動に分解して演じることになる。
この一連の動作を分解し、再現していく能力が映像演技では非常に重要になることがある。
※複数台のカメラで撮影していれば、カット数も少なくなることがあるかも知れない。

前後のカットで繋がる演技。手の位置。視線の位置。体の向き。顔の向き。俳優が記憶しておかなければならない事柄は多々ある。この再現性と反復性こそが映像演技の特徴の一つであろう。

b)舞台演技における反復性と再現性

舞台演技の場合の反復性と再現性の許容範囲は、映像演技ほど厳格ではない。
但し、リハーサル中において、演出家が止めてダメ出しをして、再開する場合などには、ある時点のある瞬間の状態を再現する必要がある。
舞台演劇の本番においては、再現性をあまり強く意識する必要はない。それよりも、澱みない一定の流れを創り出すことである。
台詞を言い間違えない、言い間違えたとしても構わずにどんどん前へと進めていく推進力、言い直しはかえって観劇の興趣を阻害する。
音楽と同様、やり直すことではなく、やり通すことが重要になるのである。

005に続く



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