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たか☆ひ狼の書庫コミュのオーロラのたなびく地で。2

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─昼過ぎ─
親友のレニィにちょっと相談をもちかけようと思った。
あれから祖母に聞いてみたのだが、オーロラの見える…この写真を撮った場所…は、ここからそう遠くないらしい。
けど、やっぱり一人じゃ心もとない、それに何mも雪が積もっているところらしいし。

「あれ?どうしたの、出るの来週にするって確か?」
レニィは学校時代からの仲良しだ。
成績優秀な彼女は、都会へ出て大きな学校へ行きたいとかで、そんな私と意気投合。
来週には一緒に行こうねって決めたばかりである。

「ちょっと相談なんだけど…」彼女の部屋で大好物の手作りクッキーを頬張りながら、彼女に聞いてみた。
「まさか、街に出るのを延期しろ…とか?」レニィのメガネの奥の瞳が怪訝そうに尋ねる。
「ううん、じゃなくって…」
私はレニィに両手を合わせて頭を下げた。

「お願い!一緒にオーロラ見に付き合って!」




「へ???」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
レニィは私のわがままを快く聞いてくれた。
「ごめん、私運動オンチだしさぁ、オマケに方向オンチだし」
彼女の家の納屋の中、あるものを探していた。
「まぁ確かに、あなた一人で雪山行くのは自殺行為だもんねぇ」
ぼやきながら彼女は、棚の奥から埃に埋もれた長い袋を取り出した。

それは…スキー用具。

「ちょ、ちょっと私、スキーなんて出来ないよ!?」
それに私、一日やそこらで滑るのなんか会得できない……焦った。
「大丈夫、クロスカントリータイプだから、斜面とか滑ったりしないよ」
よっこらしょと彼女は、埃まみれの板を私に手渡した。
「クロス…あ、歩く方のスキーだね!」

ようやく私は納得できた。



それから私とレニィは、日取りを決めた。
一応、滑り方とかも教わらなくちゃいけないし、それに雪用の色々準備しなくちゃならない。


そして、決行日は決まった。



…3日後!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…もぉダメぇ…死ぬぅ〜」
「ほらほら、まだ30分も経ってないじゃない、遭難したくないんだったらさっさと動きなさい!」
「あ〜!もぉヤダぁ…」

交通費とかをどうにか節約したい私とレニィは、ヒッチハイクがてら近くを通りがかったトラックの人にお願いしてもらった。

揺られること1時間…
誰の手にも荒らされていない、一面の白い世界が広がっていた。
「嬢ちゃんたち、スキー場行くんだったらまだ先だぞ?本当にここでいいのかい?」
初老の人の良さそうな運転手のおじさんは、怪訝そうな顔で私に答えた。
「ええ、ここでいいんです、それにスキーするのが目的じゃないし」
「へ?スキーじゃない?」呆然とするおじさんだった。


慣れないスキーを履いて、30分後…
「さぁどうする、やめて帰る?」雪の中に大の字に倒れている私に、レニィが檄を飛ばした。
「…やだ」顔面を雪にうずめたまま、私は話した。
「じゃあ立って進まなくちゃ、ここら辺は全然人気がないし、家も無いんだからね、遭難したら一発でアウトだよ」
「はぁ…」

私の脳内プランだとスムーズに事を運べたんだが…雪の世界は厳しかった。
何より思うように足が進まないし、普通に歩くより体力めっちゃ使う。
─こんな無謀なこと、どうして思いついちゃったんだろう─
少し悔しくて、少し情けなくて。

仰向けにごろんと転がり、胸ポケットからあの写真を取り出す。
「…………」
「どうしたの、行くの?行かないの?」レニィの口調が少しいらつく。

─そうだ、私のパパとママだって行けたんだもん、私に行けないはずが無い!─

私は重い体を強引に持ち上げ、両手で顔をパンパンと叩いて喝を入れた。
「ごめん、もう泣き言言わないから許して」
レニィの目も真剣に変わる。
「よーし、どんどん行くわよ!」

そう、ここで引き返したら…私は両親の心を裏切ってしまうことになる。

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