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ルーシー・サタン《ダンサー》コミュのフラメンコ衣装3点

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ルーシーサタンが、踊りから身を引いたのは、いつだったろうか。
記憶に定かではない。

舞台の衣装もかなりの数だったろうし、
踊りのバックに使ってた音楽テープも古いものは、10=12号のオープンリールテープから、カセットテープと、かなりの数に及んだことだったろう。
ある日電話が入って、
『今度引っ越すことにしたの、
荷物をどうかたずけていいか、わかあらないから悩んでる』
とのことだった。
"だったら俺が預かろうか??
うちの倉庫の開いてるところで、、"
『じゃ、送っていい???』
それから一週間位して、何個かの宅急便の荷物が届いた。
すぐに倉庫の二階に仕舞いこんだ。

その荷物の一番大きな梱包の中に、
スペインでかったばかりのフラメンコの衣装が、
お店の値札も着いたままの新品の姿で仕舞いこんであった。

コメント(22)

もう、20年位前になるが、
大阪に頻繁に仕入れに出掛けていた時の話だ。
今と違い、月1語、場合によっては、月に2度、
1泊だったり、2泊だったり季節により、叉仕入れの量によりの違いはあったが、朝一番の飛行便で飛び、最終便で帰って来た日帰りもあった。

ひたすら商品をみて、抱えて、カートに入れて、、計算ばに持っていく。
場合によっては、誰とも話すことも無く、、
一日がすぎる。そして、ホテルに帰る。
折角の大阪なので、問屋さんの閉まる夕方からは、
レコードハントに、廻ったり、楽器店を廻ったり、、
地下鉄での移動の際に、座席においてあった新聞に目を通した。
映画も地元では、見る時間も無いが、やることの無い、出張先だと、
2時間、時間がつぶせると思うと、これもありかと思いながら、
映画の欄に目をやったときに、目にしたのが、最初だった。
谷町から乗った地下鉄で、太めにした、”ルーシー・サタン”の文字、
導かれるように、天神橋まで行き、道を聞きながら、東洋ショウ劇に入った。
狭い階段を上る二階が入り口だった。
階下はパチンコ屋だったように覚えてるが、定かでは無い。 
ちょうど入館したときに、前の舞台が終了したのか、狭い入り口から、何人かの人たちが興奮した面持ちで劇場内から外に吐き出された。
ロビーで、缶コーヒーを買い、荷物を小脇に抱えながら、劇場内へ入ると、
10メートルくらい観客席に突き出たステージを持つ、(出べそとも呼ぶのだそうだ。) 独特のステージを挟み込むように、観客が鈴なりになっていた。
ステージの一番前の列にが、一石だけ空いていたので、何人かの座る席に頭を下げつつ、園で中央にあるべその3番目の席に腰を下ろした。
3人くらい、若い女性が立ち代りステージをこなしたあとに、
インド音楽に乗って、"ルーシー・サタン”のステージは始まった。
タブラの刻む複雑なリズム、途中から、シタールとタブラノ即興演奏で、いやがうえにも盛り上がる曲だった。
白っぽい、面の衣装にサリーをまいて、インド舞踊の独特の踊る姿で、
首を左右に折り曲げながら、まるで、インドの美女のように、、
一曲が終わると、次はガラッと雰囲気の変わった衣装で、
フラメンコだ。
評足をステージに叩きつけ、ステップを踏み、評手でリズムを刻む。

ステージを取り囲んだお客さんも、ついつい引き込まれて手拍子を刻む。
曲が終わる頃には、自分の評手もすっかり真っ赤になるくらい。 
そして最後の曲になると、ステージ前に来て、観客に女性の一番奥の最も女性の部分を垣間見せる。
今まですっかり彼女のダンスの気をとられてたお客さんも、ここぞとばかりに折り重なるように、ステージの真下にまで雁首を並べる。
ナルで何日も食料にありつけなかったもの共のように、
我を忘れてその女性の奥をのぞこうと二段三段に重なる。
一番前の席だった僕は、押しつぶされそうになりながら、
"君が会いたくて待ってた僕は、ここにいるよ、、"と
心の奥で叫びながら見つめた。

その最後の曲も終わり、ルーシー・サタンはステージ脇に姿を消した。
その後姿に、オクのほうから、"お疲れ様"の声が漏れ聞こえてきた。  

ステージには、次の女性が現れ、流行の曲に体を踊らせ始めていた。

気を持っていかれたかのように半分放心状態の僕は、
客先を立ち、ロビーへ向かった。
ロビーの壁には、30枚近い出演女性たちのB4サイズの写真が、
張りだされていた。

その中に、ルーシー・サタンの写真を見つけてしばし眺めてた。
飲み忘れてたコーヒーをグイット飲み干し、
階段を下り、商店街をぶらぶらしながら、地下鉄の入り口に向かった。
最初降りたのとは別の地下鉄の駅まで歩いて、切符を買い、
ホームに下りて、電車を待った。 
5分もまっただろうか、 、、
僕の横を、荷物を抱えた女性が通り過ぎ、目の前のベンチに腰を下ろした。
僕には、その女性が、先ほどのルーシーサタンであることが、すぐに分かった。
そして、居ても立っても居られず、声をかけた。
"あのー、先ほど、東洋のステージ、見ました。"
 『あ、そうですか、、』
"フラメンコ踊られるときのお顔の表情が素敵でした。"
最初はちょっと冷たく聞こえたその声も、話すうちに、だんだん興味深そうに応えてくれ始めた。
電車が来て、一緒に乗り、隣に座りながらも、自分の素性を話し、
今日仕事で大阪に来て、誘われるように東洋に来て、ステージに引き込まれたことを早口でしゃべったと思う。
彼女は、小さなノートを出して、
『スケジュールを送るから、叉みにきてください。』と僕に手渡した。
住所と名前を書き込み、手渡すと、
『私の連絡先を書きましょうか?』といわれた。
バッグから、住所録を取り出して、東京の住所を書いてもらった。
僕の降りる予定の駅はすぐ手板が、彼女の駅まで一緒に付き添い、改札で分かれた。 気持ちは、どこまでも付いていきたかったが、、  

これは、凄い。映画が作れそうな実話ですね。
ワクワクドキドキ、ここまでなんか一気に読みました。
続きが待ち遠しいです。
折り返しの電車の中で、
まだどきどきしてる自分に気が付いた。

今まで一緒に居て、何か一生懸命に話し、そして話を聞いた。
でも何を話したかもしっかり覚えていない。
まるで、ある一瞬を妄想の中で過ごしたみたいに、、

電車を乗り換え、梅田に着いて、ホテルにチェックインして、
風呂にお湯を落とした。

そういえば、彼女は、バッグを大事そうに抱えてた。
その場ggふには、可愛い犬がちょこんと座ってた。
楽屋での出番までの待ち時間を、本を読んだり、ファンの人とお茶を飲みに出かけたり、その間も、その犬君は、無いとよろしく彼女の横に居るのだそうだ。

次の日、朝8時には、問屋に入り、品物を見て回った。
13階建ての問屋には、全戸か各地から、同業者が集まり、
一日中駆け回って仕入れをする。
時には、お昼を食べることも忘れて、、
でもこの日は、ちょっと様子勝ち方。
ほんとは、5時半には仕入れを済ませて、居た図家の最終便で変えるはずだったのだが、昨夜であったあの舞姫にもう一度会いたい気持ちを抑えることが出来なくなっていた。 
6時に、店に電話を入れた。
もうちょっと見たいから、明日の飛行機で帰る、、と伝えた。

そして、7時に簡単な夕飯を済ませると、昨夜と同じ地下鉄に乗り、
天神橋の東洋ショウ劇に向かった。 
昨夜とほぼ同じ時間に劇場に入ると、
ほぼ満員の劇場には、座る余地も無かった。
仕方なしに一番後部座席の後ろで立ってみることにした。
昨夜と同じ若い女性が数曲踊っては、オープンといわれる女性の下服部を指で広げてみせ舞台を去っていく。
そして昨夜と同じ曲で、ルーシーサタンの登場だ。
踊りも堂に入ったもので、ステージ度胸のすごさを感じられた。
策ほどまで、若い女性の踊りには、これっぽっちの関心も見せず、
オープンになると我先にステージの一番は字までかぶりついて、
鼻の先を障らんほどに突き出して女性の陰部を見てたお客さんのなかから、
ルーシーサタンの踊りに合わせて、自然と手拍子が沸き起こる。
それも、誰が音頭を取るでもなく、ルーシー自身がそれを要求するでもなしにだ。
そしてそれは、不思議なほどに、リズムにぴったりと合って、まるでこの場所が、スペインの、地元のタブラオであるかのように、、

曲は、昨夜と同じ、静かな曲になり、彼女の体を覆った小さな布の最後の一枚が彼女の右手で落とされる。ピンスポットがその右手に小さく切れ込む。
すると布が落ちる瞬間に、彼女は観客に背を向ける。  
会場のお客さんからは、轟音の拍手が沸き起こる。
先ほどまで、アレだけ目の前で女性の部分を拝んでたはずの客さんがである。
その心を手玉に取られたように、一枚の布が落ちることに拍手を送るのだ。
そして曲は変わる。ジプシーキングの曲だ。
会場は、まってましたとばかり、手拍子を撮る。
その手拍子の大きさで、彼女を自分の前に呼ぶために、、 
、腰に薄い布きれを回しただけのルーシーが、先ほどまでと違った笑みを浮かべてステージの登場する。
まるで初恋の女性に心の全てを見透かされながらも、声をかけることのできない恥ずかしさを精一杯隠しながらも、彼女の開かれる下腹部に視線を投げる観客。
僕は一番後ろからその男心を感じながら、彼女の視線を追う。
その視線は、彼女に虜になってる男供を暖かく、そしてやさしく見下ろしている。
それを見ながらにやっとした寸簡、彼女の目が僕を捕らえた。
『荒、、叉着てくれたの、今日帰るんじゃなかったの?』
僕は、うなずきながら、"ウン"と応えた。
回りの音にかき消されて聞こえないのを期待しながら、

 "どうしても合いたくって、、"と声にして叫んだ。

周りの観客は、彼女の一点に気が行ってるらしく、振り返るものは居なかった。
ステージの上のルーシーサタンは、
聞こえたのか、聞こえなかったのか、
変わらぬ笑顔をボクにくれた。
そして、ほかの座席からの大きな拍手に促されるように、
場所を変えて、あの独特の姿で、お客に笑顔を振りまく。
そして、又別の場所で、、曲がエンディングにかかると、
図ったようにステージの真ん中に立ち、
深くお辞儀をして舞台の袖に姿を消した。

昨日とは違った視線で、彼女のステージを見ると、
同じステージに上がるものとしての、大きさを感ぜずにはいられなかった。
  テクニック的にうまい演奏をするものでも、面白いステージを構成できないでいる人。
  ちょっと荒い演奏でも、お客を自分の手中に招きよせて、操れるパフォーマァーもいる。 
  その違いを口ではうまく言い切れないが、天性のものと言ってしまう事は
  ちょっと乱暴に思える。 
  何度ものステージをこなし、それでこそ身につけることの出来るものであるが、
  それを身につけれる感性も必要なのだ。
それを十分に持ち合わせ、そしてそれをフルに活用しているダンサー、、、
それが、”ルーシー・サタン”だといえる。

ルーシーのステージが終わると、昨日と同じに、ロビーに出て缶コーヒーを3本買った。 
手狭い階段を下りて、建物沿いに、右に曲がり、パチンコ屋の裏手にある、階段付近にたたずんだ。
今日は、5月10日、東洋ショウ劇での楽日なのだ。
20分いや、30分も待っただろうか、
階段の上にあるドアが開いた。
そこから、初老のハンチングをかぶった男性が、大きなかばんをひとつ牽きながら出てきた。  そしてその後ろから、ついさっきまで、ステージで体中汗いっぱいになって踊ってたその人、ルーシー・サタンが現れた。

僕が階段の下で待ってることを予感してたのか、階段の上から顔いっぱいの笑顔を見せながら手を振ってくれた。
重そうな荷物を両手でゆっくり運びながらも笑顔を絶やさずに、、、

荷物を階段の下まで降ろすと、その初老の男性は、ボクにちょっとだけ頭を下げて、
僕の横を擦り抜けていった。 まだ階段の途中だったルーシーに駆け寄り、荷物を降ろすのを手伝った。
『ありがとう、、又、見に来てたから、ビックリしたわ、、でも、ありがとう、、』
荷物を階段の下に降ろすと、持ってた缶コーヒーを差し出した。
すると、僕らの前に、真っ赤なスポーツカーが現れた。
先ほどの初老の男性が、その運転席から現れると、
『ああ、マネージャー、ファンの方で、大石さん、、、エーーット、鹿児島だっけ、』
”いえ、宮崎の大石です。"と軽く頭を下げた。
『仕事で大阪に来てるんだって、
 私たちは今から東京に帰るのよ、高速で、、、
 こうしててね、180キロも出すのよ、、 戦時中は、ゼロ戦乗りだったから、、
 そして明日からは、浅草、キャバレーの仕事なの、』
『あのね、、マネージャー、この大石さん、ギターも弾くんだって、、』
「フラメンコは弾かれるのですか?」初老の男性が優しい声で僕に聞かれた。
"いえ、、フラメンコはボクには難しすぎて、、"と答えた。
「いや、ほんとは、ルーシーに、生のフラメンコギターで躍らせたいんですけどね、
 キャバレーなどでは、そのほうが受けがいいんですよ、、でも弾ける人がいないんです。」
と話をしながらも、大きな荷物を、狭いスポーツカーの座席に押し込んだ。
僕も荷物の押し込いみを手伝った。 
そしてもう一本の缶コーヒーを手渡した。
「それでは、車の中で、いただきます。」 
さすがにゼロ戦乗りだっただけあり、紳士だ。
荷物を車に乗せ終わると、ルーシーは、助手席に座った。
握手をして、『又見に着てね、、』を言い残して車は走り去った。

手元に残った缶コーヒーを開け、誰もいなくなった階段の下から、地下鉄の駅に向かった。
今から、名神、東名を走って東京まで、、、
ボクは、いつものホテルに帰った。

東京に向かって高速を走る車の中での会話を想像しながら、
シャワーを浴び、ベッドについた。

次の日、いつもの問屋街に行き、仕入れを済ませ、、
夕方の便で宮崎に帰ってきたが、、
大阪での出来事を誰かに伝えたくって仕方のない自分が居た。
このMIXIがその時期にあったら、
その興奮をこの日記に書き綴ったことだろう。。

それから一週間がすぎようとしてた朝、
郵便やさんが、いつもの手一杯の郵便物を届けてくれた。
当時、アメリカのギターディーラーとの連絡手段は、手紙による伝達手段しか無かった。
アメリカの西から、東まで、およそ20店を越すギターディーラーからの在庫リストが届くし、ギタープレイヤー、ビンテージ・ギター、などの情報雑誌の講読をしていたから、叉、僕の欲しいレコードも、宮崎のレコード店ではほとんど入手できなかったので、アメリカのレコード会社から、もしくは中古レコード屋さんから入手していたので、朝の郵便配達は、いつも心待ちしていた。

店員さんが揃ってても、郵便配達員がその日の郵便物を届けてくれてから、僕の遅い朝食が始まるのだ。

その日の郵便物を、会社宛のもの、そして私物を分けていたとき、
僕宛のはがきが出てきた。

僕の顔が急に綻んだのは、言うまでもない。
もしかすると、急に真っ赤に染まっていたかもしれない。
他のアメリカから届いたうれしい湯便物の間に差し込み、
左脇に抱えて二階に上がった。

そしてトイレに駆け込むと、届いた雑誌の中から、そのはがきを取り出し、
ゆっくりと見つめ直した。
表には、僕の住所と、したの余白には、小さな文字で、
6月、7月の予定らしきもの、、
そして、『叉、合えるといいですね、、、コーヒーありがとう、、』の文字が、
裏は、宣伝用のプロマイドになっていた。
(その届いた写真が、このコミュのトップに使った写真です。)
まさに観音様ですね。20年も経っていて、一挙に、こんな表現力豊かに、こんなに熱く書けるとは、彼女の存在と、そのステージが圧倒的だったんだと想像されますね。私も、今、きっといるだろうそんな圧倒的なものを持った女性に遭遇してみたいです。
7月になると、夏物の衣料品の需要が大きくなる。
大阪の問屋は、毎月の第一週と、第三週の週初めに売り出しをしてた。
その期間に向けて上阪する。

はがきの裏に書かれてたスケジュールでは、
7月第一週が、京都の、DX東寺劇場だった。
6月は、宮崎ではもう夏なのだが、
7月の第一週のほうが、こなれた商品が並ぶことを予想して、
6月の上阪は、しなかった。

そして、7月の第一週に、上ることにした。
いつものように、月曜日の朝一番の飛行機で大阪に飛び、
卸本町の問屋さんに駆け込む。
一日中品物を見て、夕方に問屋から出る頃には、クタクタになるが、、
この日は、京都に行って、5月にであった憧れの舞姫に会いたいと思う心で、
その疲れも感ぜずにいた。

地下鉄に乗り、梅田に着くと、駆け足で階段を上り、
大阪駅から、京都へ、およそ1時間の移動もうきうきとした気持ちからか、
短く感じられたし、合いたい気持ちからか、長くも感じられた。
電車の網棚に見かけたスポーツ新聞を手に取り、
情報欄に目をやると、劇場の案内の欄があり、大阪の劇場のあとに、
京都の劇場の出しものが書いてあった。
東寺の欄には、”白黒ショウ”の大きな文字があり、
その後ろに、”フラメンコ・ルーシーサタン”の文字が見えた。
それだけで心が踊るには、十分すぎた。

京都駅に着き、改札を出て、公衆電話に向かった。
京都は、学生時代に何度も来た土地であり、
僕のブルースを醸しだす為の塾生の土地でもあったが、
学生当時は、仕送りの金をやりくりするのが精一杯で、
女体鑑賞のためにお金を使うことは無かったから、
DX東寺の場所を電話で確かめる必要があったのだ。
タクシーの飛び乗って、
『DX東寺にお願いします。』と頼み、
"お客さんも好きですねえ、、"という目で見られることも、、
イヤだったから、、
公衆電話を見つけて新聞の欄にある電話番号にかけると、
男性の声で、、
『今どちらから電話してますか?』と聞かれた。
「京都駅からです。」と応えると、
『それでは、駅の東口から、XXXXXXXXXX』と、
手馴れた言葉で教えてくれた。

新幹線の乗降口のある京都駅東口から、歩いても、10分ほどもかからない位置にそのDX東寺劇場はあった。
道路沿いに大きな看板を設置して、
その週の催し物がこれとばかりに大きく書き出されたその間版の後ろに、
入り口があった。
少しでも入りやすくの気使いなのか、
あくまでも大きな宣伝効果を狙ったものなのか、、知る由も無いが、、

木戸銭、5000円を支払い半券を受け取って劇場の中に入った。
小さなロビーらしきものがあり、その先に観音開きの扉があって、
開くと、暗幕が下りて、それを押し広げるように中に入ると、
ステージは、まさに今回の呼び物、"白黒ショウ"の導入部分だった。
煌びやかなドレスに身を着飾った、170センチはあろうかと思える女性に、
比べると見劣りを感じずには居られない、150センチそこそこの男性が、
ステージ瀬ましと追いかけ、押し倒し、そして、ドレスを剥ぎ取ろうとしてた。
その想像以上の異様さに、劇場の暗い空間に忍び込んだばかりの僕の下半身はすばやい反応を起こしてた。 
2回をそのままぶち抜いたような空間に、
その女性の"キャーッツ"という恐れ戦いた声が響き渡る、、
そして、その女性をもてあそぶかのように、
ドレスを剥ぎ取り、肌に舌を這わせる男、 
女の体を、両手両足を馬のように突き立たせ、
その上にヒョイと馬乗りになり後ろから男性自身を付き込み、
あたかも馬を操るかのように腰を振る。
そしてその動きの煽られるかのように声を荒げる女。
劇場内は、その二人の声、動きにすっかり支配され、その外の物音を感じさせないくらいの静けさが覆った。
四つんばいになったその体格の大きな女性の手足が、だんだんとツッパリをなくし、そして舞台中央に押しつぶされると、それまで馬乗りになってた男性は、
女性の体を起こし、観客の目に、その裸体をさら市ながら、昂ぶって赤みをさした乳房に顔をうずめた。 その右手は女性の下腹部にうずめたままで、小刻みに動き続け、最後の大きな声を会場に響かせた。
ぐったりとなる二つの体、静けさはまだも続く。
男性が顔を起こし、女性の手をとり、ステージ中央で二つの体が抱き合い、
先ほどまでの慄きがうそだったかのような濃厚な口付けを交わし、
手を取り合って、観客に向かって深いお辞儀をした。
背格好から見るとまるでつりあわない二人の姿が、
小さな巨人に支配される大きな快楽に見えた。

我を忘れたかのようにステージに食い入ってみてた観客は、
堰をを切ったようにステージ上の二人に向かって拍手を送る。

男性と女性の営みをステージ上に見たのはこれが初めてで、
入ってすぐに反応した自分の下半身は、そのやり場の無い怒りに打ち震えてた。

それでも、常に喚起客を意識したそのステージ構成は実に考えられてて賞賛に値するものであったことも事実だ。
もしかすると、売れない舞台俳優と演出家のコンビだったのではと思えるくらいにだ。

二人がステージ袖に下がると、場内の空気が一変した。
リズムのある曲が流れ、後で聴き知ったのだが、
業界で"パチンコ・ショウ"と呼ばれる出演者全ての顔見世のステージで、
出番順にステージネームが呼ばれ、ステージに現れてでべそを廻り、
舞台の左右に分かれながらたつ。
ルーシー・サタンはこの劇場では、3番目の出番であるらしく、呼び出され舞台を廻ると、観客に向かって左手、2番寝の位置に立った。肩から、派手なショールを羽織、背筋をピットのばして立つ姿は、あの東洋でのダンスを終わって舞台を引くときの姿だった。、
そして約10名くらいの女性が立ち並ぶと、トリを勤めた女性が現れ、
観客に向かい、右手、左手、そして中央とお辞儀をした。
そして大きなアナウンスで、
"それではお待ちかね、パチンコショウ、"の声を合図に、ステージ一列に並んだ出演者が、舞台のあちこちに別れて、その女性自身を広げて見せるのだ。

あいにくと、このステージでのルーシー・サタンは、その並んだ位置もあってか、舞台の前のほうに終始した。  そして奥の席にいた僕の近くには、先ほどまで自分の肩までの男性と性を交えてた体の大きな女性が、でべその先端に来て、腰を下ろすと、その長い足をもてあましげに大きく差し上げ、左右に開いた。僕の周りのお客の頭が、それを合図にその奥に広がる快楽への紋に視線をやった。頭は重なり合い、甘い蜜に体を寄せ合う蟻の集団のようだった。異様に見えるのは、その女性の動きに合わせるかのように、かぶりつきの観客の頭が右に左に、、そして一番前の頭をよけるように、上に、下にと動く、海で小さな魚が群れを成しながら動くみたいに、、 すこし離れてその様子を見ると、笑いをこらえきれずには居られない。 ましてその視線の先が、女性の一点であることを考えると、なおさらなのだが、いざその席に座ると、自分がその動きの中で誰よりも積極的にそうするであろうことも十分分かってるからなおさらだ。
その大きな体の女性の目を見ると、その動きを楽しんでさえ居るかのように、
あるときには、大きく天井に向けた足で、あるときには、長く伸びた指を観客の頭に置いて、そう多くはない髪の毛に思わせぶりに指を絡ませて、そして、唇をまるで誘うかのようにすぼめて見せて、、男心を手玉に取る様子が面白い。
これを二人だけの部屋でやられたら、全てを投げ出してしまうかも知れないくらいに、妖艶に、、、 

僕は、その大きな女性のゆったりとした動きに、時に体のわりにすばやい動きにちょっと気をとられながらも、舞台の前のほうで、観客の視線を集めるルーシー・サタンのあの笑顔に見とれていた。 
普通のステージと違い、このての劇場のステージは、たいていがその縁にピカピカの電球が光り輝く花道仕立てになって、その上にピンクのプラ盤がかぶせてある。
其の光は、女体を否が応でもきれいにその上色っぽく見せ、男心を掻き立てるに十文な居やそれ以上の役目を果たすのだ。
でべそからちょっと奥に離れて座った僕の顔は、ルーシーの位置からは遠いばかりでなく、その光のせいもあって見えないはずだ。
リズムに乗った曲が終わりにちかずくと、女性たちはお互いに合図を送りながらステージのもといた位置にならんだ。 そして、舞台左右に手を振りながら幕の下りるのをまった。

白黒ショウの静かだった舞台から、一展、劇場内が拍手で包まれ、叉リズムの乗った曲の手拍子で満たされた会場は、叉一瞬のうちに、ざわついた会場に変わった。
満足げに場内から出てゆく人、ゆったりと腰をかけた友人をせかしながら席を立ちことを促し劇場を出ようとする人、
舞台の女性に少しでも近づこうとよい席を確保しようと辺りを見回し、席替えする人。

劇場内は、先ほどの開演時よりもやや明るき客電が付き、場内の様子を見て取ることが出来た。
昔は映画館だったのかもしくは演劇上だったのか、大きな作りであることが分かった。2階部分になにやら、何本かの赤く塗った鉄筋が渡り、透明のプラ盤らしきもので作ったゴンドラのようなものがあった。 それは、観客の頭の上を動くような構造になってるらしかった。 

薄くらい天井付近や、二階の構造に目をやるものなど、
他に一人としていないだろう客席は、
お互いの顔を見るのも憚れるかのように、視線を落とし、
目的の女性の登場を心待ちしている様子だ。
持ち込んだ、スポーツ新聞に待ち時間を預ける人も多く見受けられた。
なかには、劇場の出し物、出演女優(と呼ぶのだろうか)の
情報交換らしきものを、小声で話す姿も見られ、
自然と聞き耳を立ててしまう自分を見つけ、
段々と深みに入りそうな予感がした。
漏れ聞こえたそれらの小さな言葉の端には、
察するに、出し物が過激になりつつある状況が読み取れたし、
追っかけの若いお客さんがタンブリンや、紙テープ、手製の紙吹雪で、
ひいきの踊り娘さんを盛り立てるのだが、
周りからすると、迷惑千万な行為だとの話もあった。
それは、まるで、テレビで見るアイドル歌手の追っかけに近く、
そんな追っかけを持つ何人かの踊り子さんが同じ舞台に乗ったときなど、
その追っかけ同士の譲り合いはいいとしても、
時に小競り合いが始まることもあったと、
こういう劇場の中でなければ聞くことも出来ない情報が、
小声で交されていた。 
なかには、ずいぶんな情報通で、しかも顔見知り同士と思える人たちは、
周りの顔を気にするでもなしに、普通に話す大きさで言葉を交し、
それに反応して何人かの情報交換が始まる様子も見て取れた。

開演のブザーの音が鳴り、開演前のアナウンスが場内の雰囲気を変える。
『本日もお忙しいなか,当DX東寺劇場にお越しくださり、
真にありがとうございます。DX東寺が自信を持ってお送りします今週の出し物、”白黒ショウ”まで、ごゆっくりとご観覧ください。
なお開演に先立ちまして、お客様に一言お断りを申し上げます。
舞台の踊り子さんの衣装や肌には絶対に触れることの無いないように
お願い申しあげます。それでは、お待たせいたしました。
本日4回目のショウの開幕です。
それでは踊り子さん、張り切って参りましょう、、ミュージックスタート!!』
と、実にこなれたアナウンスが、男性の鼻をつまんで発するような独特な声で
行われると、流行の曲が、音量いっぱいに流れだし、
舞台と観客を隔てる幕が開き、それを待ってた若い女性が、
場内いっぱいに流れるリズムに乗って派手な衣装を右に左に揺らしながら、
ステージに登場し、ステージ狭しと、踊る。 
そしてドレスの動きのあとを追うようにその女性の香水の香りが香ってくる。


観客の全ての男性の目を思うままに操りながら、その若い女性は、最後の曲になると、薄いドレスで、お客の頭を覆い、それを引き寄せて、自身の股間にうまく引き寄せる。
その薄いドレスのすそにいくつかの頭が、我先にと入り込もうとする。入りそびれた頭の持ち主は、手を上げ、ステージに流れていく裾をつかみ、再度頭をこじ入れる。
その様子を、暗い劇場の間かに、客席広報の高い位置にある、照明席から、ピンスポットが狙いを定めて浮かび上がらせる。
自分よりもかなり歳の行った男性陣が、自分の秘められた部分に対する反応を楽しむかのように、その舞姫は時には、笑い声を上げ、時には、恥ずかしさを見せながらも歳相応の表情を垣間見せた。
オープンステージが終わると、振りまいた香水の香りを残してその若い舞姫はステージを降りた。
“拍手!!本日最終ステージ、トップを勤めてくれたのは、
若干19歳、XXXXXXXXでした。 それでは続きまして、日舞の女王、XXXXXXの登場です。拍手でお迎えください。
それでは、踊り子さん、張り切ってどうぞ、オープンザミュージック!!!”叉、独特の声が場内に飛び、演歌のメロディーが流れ始めた。
“寂しさに負けた、、いいえ世間に負けた、、”という、アレである。 先ほどまでの流行の音楽とは、完全にちぐはぐな流れの曲だが、観客が気にする暇も無い。叉気にする観客も居ないのであろうが、、  でも登場した舞姫を見ると、 その曲の主人公世代とでも言えるお年な方だった。  
もう何年舞台衣装に使ってるのだろうかと思える、古い佇まいの振袖の裾を振りながらも、寂しさを装うとぼとぼとした足運びで、舞台中央のでべそを歩き、目の前に来て、崩れ落ち、目から流れ出てるであろう涙を拭く素振り、、なかなか堂に入った演出ではあるが、お定まりの感は拭えない。 
2曲目も勿論演歌調、お客さんにねだるように、帯締めをとかせ帯を解き始める。 帯の先端をお客さんに持たせると、くるくる廻って、舞台の奥に行くようにして自ら帯を解く。帯の長い事に驚かされたが。(時代劇の悪代官がやる奴だ、)
そして肩から滑る落ちるように振袖を落とすと、薄い長襦袢になる。その薄い布を縛り上げる何本かの腰紐を、舞台横のお客さんに説かせるのだが、中にはいやという若い学生さんらしきお客さんも居る、するとその横の席の、ちょっと歳なお客さんが、進んでその紐に手をかけ、そのゆっくり締められた結び目を解く。
女性は、場内に拍手を求め、薄い拍手がなる。
長襦袢をまるでガウンのようにだらしなく羽織った姿の女性は、一旦舞台袖にひくとすぐに右手に小さな籐で編んだ篭を手にして再度舞台の中央に歩み出ると、先ほど腰紐を解くのを躊躇した学生さん風の若いお客さんに狙いを定めてたかのように歩み寄り、その篭から細いティッシュの包みを出すと、口で噛み切る素振りを見せて、ティッシュを取り出し、
ちょっと嫌がる素振りを見せた男性の右手、左手を半ば強引に拭くと、両の手で彼の右手を導くかのように自身の左乳房に導き、そして、すぐに自身の左手をかぶせてその手を揉み解すかのように動かし始め、すぐに、空いた右の手で彼の左手を取り、真っ赤な腰巻の下に導いた。
まるでおふくろさんに相当しそうな歳の女性の強引な誘惑に、最初は、腰を降ろしたままだったそのお客さんも、腰を浮かせ半立ちの姿になり、顔をスポットが当たることで赤くし、頭をすこし下向き加減にしながらも、目を閉じてる姿に女性の奥に導かれた右手に体中の神経を集中してる様子が、
読み取れた。
他からの拍手に促されるように、その踊り子が場所を移すと、その悦楽から介抱された両手をひざあたりに落としながら、その若いお客は周りに視線を送りながら座席に腰を下ろした。その表情には、先ほどまでみえなかった、笑みと、
満足感と、恥ずかしさが交互して現れていた。 
曲が最後のものになると、手に提げていた篭を舞台の中央に置いたまま、くるりと一度廻り、肩にかけてた長襦袢をするりと落とすと、真っ赤な腰巻一つの姿で、付帯袖のお客さんの前に行き、両手でその裾を左右に開きながら、かぶりつきのお客さんの頭が触れそうな配置に腰を落とし、左手をお尻の後ろで舞台に付き、姿勢を安定させながら、右手を一度お客の頭にかぶせたかと思うと、それをすばやくそして大きく広げられた両足の間に引き寄せた。 
それは、離れた位置から見ている僕には、一瞬の出来事のように見えた。 
そして踊り子は、位置を変え、お客を変えておよそ3分間の曲のあいだ、舞台のあちこちで自分の一番奥の部分を開帳して廻る。最後の曲がエンディングに差し掛かると、廻りきれなかったお客さんに、“叉着てね、”と誘いの言葉をかけながら、中央にぽつんと置かれたままの籐の小さな篭に手をやると、体を二つに折り曲げるくらいのお辞儀をして、手を振り笑みを浮かべて幕に消えた。
“舞台は、日舞の女王、XXXX嬢でした。
続きましてステージ登場しますのは、
イレブンPMでもおなじみ、日本にただ一人、本場のフラメンコを披露します、ルーシー・サタン嬢の登場です。
大きな拍手をお願いします。それでは、踊りこさん、張り切ってまいりましょう、オープンザミュージック!!
アナウンスが終わるか終わらないうちに、
先ほどまでの演歌の雰囲気を打ち消すかのような、ラテン風味の曲が、
スピーカーから大きな音で流れ始めた。
少しの間をおいて、舞台上手から、
あの舞姫が黄色いドレスの裾を右手でつまみ、
ヒールのあるシューズを見せステップを踏みながら現れた。 
曲に合わせ足を踏み鳴らし、両手を打ちながらフラメンコの振りを入れラテンの曲を踊る。右に左に、フラメンコでよく見る、スカートを振り分けながらのダンスは、嫌が負うにも熱演となる。先ほどまで、広く感じられてたステージは、彼女の熱演で、狭いものに感じられた。
彼女の薄く舞台化粧を施した横顔に一筋、双筋の汗の線がかけ落ちるのに、
そう時間は懸からなかった。 
客席からは、先ほどの演歌の曲が流れた時とは違う反応を舞台に送り返していた。
5月に大阪の東洋ショウ劇場で目にしたものに段々と近づいてくる。
東洋では、劇場の場所が二階であったがために、天井も低かったのだが、
この劇場は天井が高く、空間がかなりの広さだ。
東洋と比べると、2倍くらいは十分にあると思えた、
その空間に、お客さんの拍手が鳴り響く。
スピーカーから流れてくる音楽と、
舞姫ルーシー・サタンの繰り出す手と足のリズム、
そして、それに応えるべく客席からの拍手が三様に絡み合いながら、
相乗効果でもあるかのように場内で大きな渦となる。
そのなかで、ステージ上のルーシーは、その渦に身を任せるかのごとく、
くるくると廻り、ステップを踏む。 
その間中、笑顔を絶やさずに、そして時には、
眉間を寄せて、恍惚の表情を浮かべる。
手拍子をとりながらもその表情に心奪われる観客の姿が垣間見れる。
3曲くらい終わったところで、舞台中央に腰を下ろしたルーシーは、
南極物語のテーマに載ってピンスポットを浴びながら、
右手を客先に差し出す例のポーズを取る。 
そうすると、一瞬静まった客席の指を差し出された方向から、
大きな拍手が巻き上がる。
そのうちの何人かは、自らも右手をもの高さまで上げ、
ステージ中央のルーシーの右手指先に向ける。
なんの恥らう様子も無く、
ルーシーは、その指先を、ステージ中央へ、下手へとゆっくりまわす。
その時々に、拍手はその指先の方向から大きく移って行く。
ここでも誰が音頭を取るでもなくしてだ。
曲のクライマックスで、すっくと立ち上がり、腰にぴったり張り付いた、文字通り蝶の形の、バタフライを落とすし、くるりと半回りして、背中を見せる。
またしても、そのすばやい動きに拍手が高鳴る。
それまでルーシーの裸体をピンクに染めていたスポットは、
音楽と、そのバタフライが落ちるのを計算しつくしたタイミングで消え、
ステージは、一瞬真っ暗闇となった。
そして、次の曲が始まるなり、ルーシーは、薄い布一枚を腰に巻きつけ、
ステージの端に歩み寄り、オープンのしぐさをする。 
先ほどまでの女性ダンサーのときと違うのは、お客さんが、彼女の腰の奥に視線をやろうとしないことだ。
中には、自分のポケットから、真っ白いハンカチを取り出し、
彼女の顔をつたう汗を拭き取ろうと仕種をするお客、
そして次は、両手の汗を拭くお客、そして、ハンカチを彼女に手渡し、
脇を拭いたあとのハンカチを受け取るとうれしそうにポッケに直す仕種など、色々なのだ。
そうこうするうちに、彼女が僕の席に近づいた。
僕は、恥ずかしさを見せながらも、“叉、合いに来ました。”というと、
すぐに分かったらしく、
“よく分かったわねえ、、”と腰を下ろしながら応えてくれた。
そして、“ありがとう”と、
僕は声も出ず、コクリと頭を上下に振った。
彼女は、他のお客にしたように、両足を少しだけ広げる仕種をした。
が、僕は、頭を少しだけ、横に振り、頭のすぐ横に伸びた、
彼女の右の膝頭に、他のお客さんに感づかれないように、唇をつけた。 
ちょっと驚いた様子を見せながらも、
ルーシーは、にこっと笑って応えてくれた。
そして、他の座席に呼ばれたかのようにすくっと立ち上がり、
ステージの突端に向かった。その突端での拍手や、歓声いくらか続いた後、
彼女は、僕の座ってた席のステージ反対側に腰を下ろした。
そして、その方向のお客の声援を受けながら、体を半身まわして、
僕に声をかけてくれた。
“今夜は、京都に泊まるの? 大阪?”
“大阪です。”と応えると、
“残念ねえ、、一緒に食事でもって思ったのに、、”
“それは、喜んで、、 終電までだったら時間もあるし、、”
思わぬ言葉に、心臓は、大きく脈を打ち始めた。
“それじゃ、私のステージ終わったら、劇場の前で待ってて、”と
いい終わるか終わらないうちに立ち上がり、
ステージ中央に立つと、曲のエンディングに合わせ、
深いお辞儀をして、ステージを降りた。
幕に消える時に、小さく手を振ってくれた。
  間違えなく、僕に向かって、、
ルーシー・サタンが、舞台を降りたあとも、僕の興奮は覚めやることは無かった。
次の舞姫が舞台に上がり、客に媚を売りながらダンスを始めても、僕の目に見えていたのは、ルーシー・サタンの笑顔であり、すらりと伸びた手足であり、僕の頭のすぐ横にゆっくりと下りてきた、右膝、そして、その奥にひっそりと浮かんだ茂みだった。次の舞姫が、一曲踊り終わらないうちに、僕は席を立ち、ロビーへ向かった。
そして、トイレを済ませ、劇場を出た。
冷房の良く利いた劇場なのだが、ルーシー・サタンの熱演にすっかり暑くなった体を、外の熱気がそれ以上のものに押し上げた。 
それから何分まったのだろう、道ゆく人はそういなかったが、
ストリップ劇場の看板の前にたたずむ男の光景は、そうよい物には見えなかったようで、胡散臭そうに目をやりながら数人の人が通り抜けた。しかし、期待を膨らませながら待つ身には、その視線も気にはならなかった。
“お疲れ様〜〜”の声が、若い劇場スタッフに向けられ、
“お疲れ様でした。”の声に背中を押されるように、ルーシー・サタンが、いつもの大きなバッグを手に劇場入り口からを出てきた。 そして、僕を見つけると、“久しぶり。”と声をくれた。僕は、“久しぶりです。”と挨拶を返し、右手の大きなバッグを手に取った。
“タクシーを呼んであるから、ホテルまで行って、マネージャーを拾って、行くわね、”
呼んであったタクシーは、1−2分で黒い車体を大きな看板の前に横付けされた。後部座席の奥にバッグを置き、体を滑らせた。ルーシー・サタンも後部座席に腰を下ろすと、“ターワーホテルへ、一人拾って、河原町に、、”となれた口調で、運転手に告げた。
タクシーは、小さな道路から、右折して大きな道路に出ると、JRの線路をくぐりぬけた。
京都駅前にある、タワー・ホテルは、聳え立つ外観から、京都のランドマークにもなるホテルだ。 
タクシーが玄関前に滑り込むと、すぐにハンティングを被り、薄いジャケットを羽織った老紳士が現れた。開いた前の座席にその紳士が乗り込むのを確認すると、
タクシーは、ホテルを出て、河原町方向に進路を向けた。
“5月に東洋に来てくれた、宮崎の大石さん、お仕事で大阪に来たついでに、合いにきてくださったの。”とマネージャーに告げた。
“お久しぶりです。”と応えると、“よく来て下さいました。”
と、優しい声が返ってきた。
近況を話し合うまもなく、繁華街に着いた。
“その角で降ろしてください。”舞姫が、告げると、
軽い音を立てて、車は停まった。
入ったのは、ビルの地下にある、中華料理店だった。
真っ赤なテーブルを挟み、3方に座ると、早速、ギターの話しになった。
『キャバレーなどの舞台では、ミュージシャンも入っている場所もあるんですが、楽譜を準備していても、弾ける人がいることは、ほとんどなくって、結局準備したテープで踊るんです。 まあ、そのほうが安心できることは出来るんですが、、
でもマナのギター演奏で、踊らせたいんですけど、ねえ、』
「マネージャーの気持ちは分かるけど、ことフラメンコを踊るとなると、演奏者との気持ちがつながらないと、急にその場であわせて踊れるってものじゃないんですけど、、」
“それはそうですね、、間を見ながら演奏できるようなものじゃないからですねえ、、 それにしても、ル−シーさんのフラメンコは、劇場ではもったいないです。”
「それは、昔は自分でもそう思うことはあったんだけど、踊れる場所が、段々少なくなってて、やむなくの事情はあるんですけど、お客さんが応援してくださるから、、、、」
“踊りを見ていると、応援したくもなりますよ、真剣さが伝わってくるし、何より、フラメンコに対する素晴らしい情熱を感じさせられますから、”
憧れの舞姫を前にして、幾分興奮しつつも、マネージャーの存在を意識せずに入られない状況での会話が続いた。
イレブンPMに出演されたときの話は、面白かった。
テレビが日本の茶の間を占領した1970年代、夜の11時過ぎにはじまるその番組は、大人の、それも男性をターゲットにした番組で、田舎の宮崎では見ることが出来なかった。
東京近辺に住みそれも親の目を絹にすることなくテレビを見ることが出来る身分になると、一日の疲れを取る時間に、テレビを点けると、この番組のオープニングのスキャットが耳についた。大橋巨泉、愛川欽也、藤本儀一、の3人が、曜日別で司会を担当する、大人の情報番組で、藤本儀一さんのときに、何度かストリップ大会なる番組があったと記憶する。
その一つにルーシー・サタンが出演したというのだ。
ルーシー・サタンの素晴らしい踊りを目の前で見た司会の藤本儀一は、その場で、後援会の会長就任を約束した話である。
何度となく見た番組ではあったが、僕はその時を見逃してる、非常に残念だ。というような話をした。 時をさかのぼることが出来たなら、カラーでもう一度見てみたい物だとも思った。楽しい時間は、思ってるよりも早くすぎるものだ。
終電の時間を気にしながら、やむなく席を立つことにした。
二人は、飲みかけのビールを置き、中華料理店の玄関まで見送ってくださった。
叉何時か合いに来ますと伝え、そのビルを飛び出ると、タクシーを広い、京都駅に向かった。
心の中では、京都に宿をとって、夜が明けるまで、色々とお話を聞きたかったが、、

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