固定種 何世代もかけて選抜淘汰が行われ遺伝的に安定した品種。自家採取によって安定した種子を増やすことができる。遺伝的多様性に含んでいるため、収穫が揃わない。農業には不向きだが、長期間収穫ができるので家庭菜園には向いている。品種改良は戦後発達したため、素人から見れば多くの固定種の歴史は以外と浅く感じられる。それでも、人間が60〜70代でキリストの時代まで遡るとすれば、戦後の種のサイクルも同じか、それ以上の代を経ている。ただし、固定種といっても、「そのまま永遠に変わらない品種」と言う意味ではない。いったん固定した品種も、20年以上選抜を繰り返して純系にし過ぎると、自殖弱勢を引き起こし、子孫を得るタネとして使い物にならなくなる。そういう場合、他の系統と交雑させて雑種強勢効果を得て再び元気な種子にする。こうしたことは経験即で良く知られ、世界中で行われてきた。実際、固定種と呼ぶまでどのくらいの期間がかかるかというと、選抜をどこまで厳密にするかで違いもあるが、親同士が近い場合で5,6年、遠い系統だと7,8年以上ほどで固定するという。野口種苗の野口氏によると、「固定種という言葉も、 F1 が出てきてから、差別語として広がった経緯があります。F1 以前は、ただ単に本来の意味での「タネ」だったのです。伝統野菜という言葉も、店頭で手に入れられる野菜が、同じような顔をしたF1野菜ばかりになった結果、アンチテーゼとして生まれてきた言葉と思います。」ということである。