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J's Bar / New Yorkコミュの燃え尽きた矢沢(前編)

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俺、矢沢。あけおめ、Hey Hey.ニューヨークにはどか雪が降ったらしいじゃん。寒そうだね。俺もさー、シンガポールに住んで、しかも、仕事でも暑い国しかまわっていないからな、ニューヨークの冬の感覚がなくなっちまったよ。まあ、それでもないとないなりに寂しいもんだな、雪ってのはさー。

 そうそう、矢沢、行ってきちゃったよ、ボルネオ島。そう、オラーウータンとでっかい花、ラフレシアがある島だ。日本から出張帰ってきて、年末年始は独りっきりだ。それじゃってんでー、かねてから切望していたキナバル山に登ることにしたわけだ。
 東南アジア最高峰のキナバル山はさー、標高が4095メートルだ。登りは2000メートルからで、いざ頂上を目指すってわけだ。今時分、雨期だから天気もよくないんで、最初やめようかって思ったけど、逆に乾期になると混んでて山小屋の予約が取れなくなるからな。矢沢、えいやーって思い切ったよ。
 まずは、30日にボルネオ島のコタ・キナバルって街に飛んで、そこで2泊だ。小さい街だからどこ行くのにも歩いてね、すぐに把握しちゃったよ。道も網の目みたいに整備されているからな、方向音痴の矢沢でも簡単だ。

 1日にキナバル山の本部に到着。近くにあるロッジへまずは1泊だ。当日、街から直接来てもいいんだが、登録が遅くなると、宿泊する次の山小屋へ着くのが遅くなるからな。それに少しでも高いところこに慣れておこうと思って、前日に山入りしたよ。どうだい、慎重だろ俺も。まあ、体のコンディションを整えるのは、ロッカーとして当たり前だからな。
 雨期なのに安いロッジが空いてなくてね、しょうがねーから、ちょっと高い部屋ふんぱつしちゃったよ。それがさー、スイートとかいって、やたらでかくて、ロフトにキングサイズのベッドがどかーんて置いてあるじゃん。なんか1人でいたら寂しくなっちゃったよ。(苦笑)

 しかし、なんだかんだといって所詮山小屋のスイートだな。シャワーのバルブがぶっ壊れていて、フロントに修理たのんだら、別のスイートに移されちゃったよ。山に持って行く道具全部だして整理していたのにって、矢沢、短気出しちゃったよ。あたるやつはいねーけどな。
 翌日はきついからな、酒も飲まずにがまんしたね。退屈しのぎにテレビで映画を観てたんだけど、なんか恐怖映画やっててかえって怖くなっちゃったぜ。しかも、クライマックスでいきなり停電だ。何かの演出かと思ったね。それで、ようやく電気がついたら、映画が終わっちゃてさー、最後の作品の関係者の紹介になってたよ。最後どうなったか今でも気になってんだけどな。

 翌日は6時に起きて、早速、本部で手続きだ。キナバル山は、1人でも複数でも必ずガイドを雇わなければならねーんだよ。まあ、それで地元の人に仕事が回るって仕組みだ。ガイド料たって、1日32ドルだ。いいんじゃねーの、地元に貢献するんだったら、それぐらい払っても。
 それでミニバスで登山ゲートまで移動して、いよいよ登頂開始だ。ゲートくぐって、階段を降りる時なんかさー妙に足取り軽くてねー、ガイドに話しかけたり、口笛吹きながら登り始めたよ。矢沢、わくわくしたねー。まだ見ぬ頂上に立つ俺自身を想像しながらな。かっこいいだろー。

 ところがさー、歩き初めてからすぐに、矢沢思ったね。「正月早々、なんでこんな苦しいことやってんの?」ってさー。つーかー、これ、めちゃくちゃきついじゃねーか。次の山小屋まで6キロだ。もう随分歩いたんじゃーねーのって思ってガイドに聞いたら「500メートルの地点まであと15分ぐらいだ」っていうじゃない。思わず立ちくらみしたよ。6キロってどんだけだよってね。

 いやさー、どんだけ辛いかっていうと、ニューヨークのウォークアップ(エレベーター無し)アパートの6階ぐらいに住んでいて、べろべろよっぱらって上がろうとするとめちゃくちゃきついだろ?(途中で力尽きて階段で寝たダチもいたな)それをさらに何十倍もきつくした感じだ。とにかく、木の階段や石段が頭上の遥かかなたまで伸びてんだよ。そのまま天国まで届きそうな勢いだったな。

 500メートルの地点ですでに太ももはパンパンだ。写真を撮ろうと思うんだけど、息が上がってさー、写真がぶれちゃうだよ。まいったねー。
 それでも、ガイドのおやっさんはすたすたと息も切れずに登って行くじゃねーか。小柄なマレー人だけどな、どこにそんなパワーがあるのか不思議だったね。
 それで年聞いてさらにびっくりだ。齢75歳だぜ。シェルパ暦50年ってすごくねーか?ひたすらこの山登っているわけだ。
 驚いたね。おやっさんも、それを言うとみんなびっくりするのを知っているみたいだったな。ちょっと自慢入ってたよ。(笑)まあ、自慢するに十分値するけどな。

 おやっさんは、まさにキナバル山と会話できる数少ない人間の1人だな。頭上に浮かぶ雲を遠目にみながらさー、「降りそうだな」ってぼそっと言うわけ。かっこいいじゃねーか。雲の流れで天気を読み、道のどこに何があるか全て把握しているって感じだ。ひょとしたら、自分の疲れ具合で高度がわかるんじゃねーかって思ったね。いろいろ聞きたかったんだけど、おやっさんも英語が片言だからな、あまり細かい事が聞けなかったよ。つーか、それより俺がぜいぜいして、しゃべれねーっていうのが問題だったんだけどな。

 おやっさん、歩く間も、木陰から高山植物をすかさず見つけちゃ、俺に指差して教えてくれたよ。さすがだね。おかげで、食虫植物ウツボカズラもばっちり矢沢のキヤノンEOSで写真に収めたぜ。そしたら、今度は木陰にきれいな花をめざとく見つけて指差すじゃん。いい目してんねー。
 赤い花なんだけどきれいでさー、写真取った後に「名前はなんだ?」って聞いたら、「うーん、たしか・・・、ぼそぼそ(小声で判断不能)、ガイドブックみないとわからない」って、きびすかえしてまた登りだしちゃったよ。やっぱり、50年登っても、100%じゃねーんだな。なんか、一瞬、自信なさそうにしていたんで、矢沢もそれ以上突っ込まなかったけどな。

 500メートルごとに標識があるんだけど、見るたびにほっとしたね。距離が少しずつ縮まってうれしい限りだ。しかし、息切れがどんどん激しくなってくんだよ。おそらく、高度のせいだろう。5キロ地点に来たら、もう足が鉛のように重くてさ、辛かったね。

 俺も、最後にトレッキングしたのがもう5年前ぐらいじゃん、まあ訓練不足ってやつだな。年のせいにしたかったんだけどさー、75歳がすたこらさっさと登ってちゃ、いいわけにもならねーよ。
 ラスト500メートル。気合い入れて登ったよ。「そりゃ、おりゃ、こりゃ、とりゃー」て口からありとあらゆる気合の声を出してのラストスパートだ。ようやく山小屋のロビーに着いて、椅子にどかって座ったら動けなくなっちまったよ。なんか体中の全てのエネルギー使い果たしたって感じだ。矢沢、燃え尽きたよ。9時に登頂開始して、山小屋にたどり着いたのが2時過ぎ。矢沢、撃沈だ。お・や・す・み。

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