史跡コミュの興福寺寺域

　長崎県長崎市寺町４番32号

　1961年11月24日、長崎県が史跡に指定。

　https://www.google.com/maps/place/%E8%88%88%E7%A6%8F%E5%AF%BA/@32.7479528,129.8837987,18z/data=!4m12!1m6!3m5!1s0x35155341878cb83b:0x47f4a89bf4e19e8e!2z5bSH56aP5a-6!8m2!3d32.742427!4d129.8835012!3m4!1s0x35155345d6e185e9:0xc1563fd02fe9eccd!8m2!3d32.7478858!4d129.8838396

　黄檗宗東明山興福寺は、寛永元(1624)年に江西省(ｺｳｾｲｼｮｳ)出身の明僧である真円(1579～1648)が、同郷の華僑たちの寄進により仏殿と媽祖堂(ﾏｿﾄﾞｳ)を建立したのに始まる日本最初の黄檗宗寺院で、崇福寺(ｿｳﾌｸｼﾞ)・福済寺と共に長崎三福寺の一つに数えられます。
　寛永12(1635)年、真円は興福寺の住持の座を同郷の黙子如定(ﾓｸｽﾆｮｼﾞｮｳ；1597～1657)に譲りました。黙子如定は眼鏡橋〔重要文化財〕の建設指導に当たった事で知られます。
　正保元(1644)年に大明帝国崩壊の戦乱を避けて浙江省(ｾｯｺｳｼｮｳ)出身の逸然性融(ｲﾂﾈﾝｼｮｳﾕｳ；1601～68)が長崎に入ると、翌年、黙子如定は逸然性融へ住持職を譲っています。
　逸然性融は黄檗宗トップである隠元隆琦の来日招聘(ｼｮｳﾍｲ)に尽力し、承応３(1654)年７月に隠元隆琦の来日が成ると、逸然性融は興福寺の住持を隠元隆琦へ移譲しました。隠元隆琦は崇福寺と興福寺の住持を兼ねた訳ですが、翌年、摂津国普門寺へ移ったため、逸然性融が住持に復帰しました。
　明暦２(1656)年、逸然性融から住持を譲られた浙江省出身の澄一道亮(ﾁﾝｲﾄﾞｳﾘｮｳ)は医学に通じており、長崎で漢方医学が隆盛する契機を作りました。
　寛文３(1663)年の長崎大火の際には興福寺も類焼してしまい、堂塔伽藍の大半を失いますが、澄一道亮は寛文７(1667)年に本堂の大雄宝殿を再建しています。
　貞享３(1686)年、澄一道亮から住持を譲られた浙江省出身の悦峰道章(ｴｯﾎﾟｳﾄﾞｳｼｮｳ)は、宝永４(1707)年に江戸へ赴いて５代将軍徳川綱吉へ拝謁、綱吉の側用人で大老格の柳沢吉保の帰依を受けています。
　この結果、興福寺の伽藍再建は急速に進展する事となりました。崇福寺が福建省出身者の菩提寺だったのに対して、興福寺は江蘇(ｺｳｿ)・浙江・江西の江南三省、即ち三江出身者の菩提寺となったのです。
　興福寺の信徒の殆どは清国人でしたから廃仏毀釈の影響は無く、原爆の被害も比較的少なかったため、多数の文化財建造物を有しています。