史跡コミュの旧佐倉順天堂

　千葉県佐倉市本町81

　1975年03月28日、千葉県が史跡に指定。

https://www.google.com/maps/place/%E4%BD%90%E5%80%89%E9%A0%86%E5%A4%A9%E5%A0%82%E8%A8%98%E5%BF%B5%E9%A4%A8/@35.7178164,140.2412753,17z/data=!4m12!1m6!3m5!1s0x60228e97fe783713:0x84427f6143ce3dc2!2z6ZW354aK5buD5a-66Leh!8m2!3d35.7146021!4d140.2550404!3m4!1s0x60228ec7ce41c0b5:0xc2178045bd0bb41e!8m2!3d35.7184728!4d140.2428699

　佐倉順天堂は、長崎で蘭医学を修めた佐藤泰然(ｻﾄｳﾀｲｾﾞﾝ；1804～72)が天保９(1838)年に、江戸薬研堀に開いた蘭方医学塾「和田塾」が前身です。
　泰然は天保14(1843)年に蘭学振興に尽力していた佐倉藩主堀田正睦(ﾎｯﾀﾏｻﾖｼ)の招きを受けて佐倉に移り、佐倉本町に蘭医学塾及び診療所として「順天堂」を開設しました。泰然は帝王切開等の新しい外科手術や種痘の普及等の最先端の診療を行う一方、西洋医学教育にも尽力、後の明治医学界をリードする人材を輩出しました。
　慶応元(1865)年の記録によれば、塾生は蝦夷地から肥後国に至る全国から100名にも及び、泰然の弟子は数百名、孫弟子まで含めると3000名を超えて、西洋医学に関しては「西の長崎、東の佐倉」と称されるに至りました。
　なお、村上もとかの漫画で、大沢たかお主演のドラマとして好評を博した『JIN-仁』に出て来た仁友堂のモデルとなったのが順天堂です。
　泰然の次男松本良順(ﾏﾂﾓﾄﾘｮｳｼﾞｭﾝ；1832～1907)男爵は14代将軍家茂(ｲｴﾓﾁ)侍医から初代陸軍軍医総監を務め、五男の林薫(ﾊﾔｼﾀﾀﾞｽ；1850～1913)伯爵は外務大臣や逓信(ﾃｲｼﾝ)大臣を歴任しています。
　しかし、泰然は実子では無く、弟子の山口舜海(ﾔﾏｸﾞﾁｼｭﾝｶｲ；1807～82)を養子にして佐藤尚中(ｼｮｳﾁｭｳ；ﾀｶﾅｶ)と改名させ、安政６(1859)年に順天堂堂主の座を譲りました。尚中は、明治２(1869)年に明治政府から大学大博士に任ぜられて大学東校(東大医学部の前身)の初代校長となり、明治６(1873)年には順天堂医院を東京へ移転させています。
　尚中の死後、長女佐藤志津(ｼﾂﾞ；1851～1919)の婿養子となった佐藤進(1845～1921)男爵が順天堂第３代堂主の座を継ぎ、陸軍軍医総監も務めました。また、志津は経営破綻状態だった私立女子美術学校を再建して校長として辣腕を振るっています。
　その後、昭和18(1943)年に至って順天堂医院は順天堂医事研究会を母体に順天堂医学専門学校を開設、昭和21(1946)年に大学昇格を果たして順天堂医科大学が成立、昭和26(1951)年に順天堂大学と改称したのです。
　現在、佐倉順天堂記念館として一般公開されている建物は、安政５(1858)年に成田街道の向い側から移転し、その後拡充されたものの一部で、明治27(1894)年に刊行された『日本博覧図千葉県之部初編』に収載された銅版画にある診療棟の一部に当たります。
　武家屋敷・旧堀田邸との三館共通入館券も発行されています。
　佐倉順天堂記念館の南に位置する本町街区公園内には、佐藤泰然顕彰碑が建てられています。　この碑は、佐藤尚中の養子である佐藤舜海(ｻﾄｳｼｭﾝｶｲ；1843～1911)によって明治23(1890)年に建てられた物で、「不可諼碑」の篆額(ﾃﾝｶﾞｸ)は最後の佐倉藩主堀田正倫(ﾎｯﾀﾏｻﾄﾓ)伯爵の筆になります
　この碑の横には、佐藤舜海を頌徳碑(ｼｮｳﾄｸﾋ)建てられています。こちらの碑は、明治35(1902)年に舜海の還暦祝いに建てられた物で、「佐藤舜海先生頒徳碑」の篆額も正倫伯爵の筆です。