史跡コミュの吉井源太翁誕生地

　高知県吾川郡いの町3280-1

　1964年10月15日、伊野町が史跡に指定。

　吉井源太(1826～1908)は成山七色紙の秘法を継承する伊野村の土佐藩御用紙漉家の生まれで、幼少の頃より製紙の家業に励み、長じてからは科学的根拠を基盤とした独創性と和紙に対する情熱とによって土佐和紙の改良・増産・技術の向上に努めました。
　先ず、万延元(1860)年に大型簀桁(ｽｹﾞﾀ)を発明、分業化も進めた結果、紙の生産量を一挙に２～３倍に増加させる成果を挙げました。
　明治４(1871)年の廃藩置県によって、土佐藩による製紙統制が消滅すると、源太は水を得た魚のように製紙事業を拡大、明治７(1874)年にヤネ入紙（インキ止紙）と郵便半切紙（コッピー紙）を発明したのに続き、明治10(1877)年には小笊(ｺｻﾞﾙ)に針金を張り、簀(ｽ)に紗を敷く紗漉法（ｼｬｽｷﾎｳ）を考案、第一回内国勧業博覧会に薄葉(ｳｽﾖｳ)大半紙を出品して入賞しています。
　明治13(1880)年には源太の指導により、神谷(ｺｳﾉﾀﾆ)に於いて勝賀瀬亀太郎(ｼｮｳｶﾞｾｶﾒﾀﾛｳ)が初めて土佐典具帖紙(ﾃﾝｸﾞｼﾞｮｳｼ)を漉き、同年、紙商人達による丸一組合が結成されました。源太は明治17(1884)年には静岡県から三椏(ﾐﾂﾏﾀ)の種子を購入して伊野村と三瀬(ﾐﾂｾ)村で栽培に成功、三椏紙を漉いています。更に糊(ﾈﾘ)として使う、黄蜀葵(ﾄﾛﾛｱｵｲ)の栽培も広めました。源太は、明治27(1894)年に緑綬褒賞を授けられています。
　明治33(1900)年には、源太の指導で神谷(ｺｳﾉﾀﾆ)村に典具帖紙組合が結成され、同村の紙は教科書用紙として指定される事となりました。
　旧宅の敷地は1309.0㎡(396坪)で、現家屋〔いの町指定文化財〕は源太が壮年の頃、即ち幕末から明治初年の頃に再建した物と伝えられていますが、史料が無く詳細は不明です。南側東端に４畳半の客間があり、西向きに床を付けてその西側に３畳の次の間を置き、それらの南に濡縁を出しています。
　客間、次の間の北側は12畳の広間で、北側に押入れ二間と床の間があります。次の間の西側に玄関と式台３畳の間を置き、その北に２畳の間と折廻りの廊下、その北に四畳半の奥の間を取っています。
　玄関の西側の南の大部分は広い土間で、これは作業場、つまり源太の研究室でもあったようで、その北に４畳半に相当する板敷きの茶の間を取り、その西に広い土間(旧釜屋)を付けています。
　なお、ツシ２階に梯子段を掛けて登る所が奥にあり、板敷になっています。
　建物の間取り・材料の古さ・柱・長押・天井等の形式から見て、幕末建築の特徴が明らかで、玄関廻りや建具等に於いて昭和時代後期に手を加えた跡が見られますが、よく当初の建物の旧態を遺しています。
　また、表門〔いの町指定文化財〕は敷地の東南の隅に構えられており、桁行は2.73ｍ、1.8ｍの二枚引きの板戸を付けた入口と板戸引きこみの部分は、0.9ｍの“板はめ”があって両端の柱には後方にそれぞれ扣柱(ﾋｶｴﾊﾞｼﾗ)を建てています。棟束・肘木の彫刻や、材料の古さなどからみて、居宅と同時に建築されたものと考えられます。
　源太が残した諸記録等は、現在「いの町立紙の博物館」で保管され、一部が展示されています。

コメント(5)

最初
全て
最新の40件

[1] mixiユーザー 02月17日 17:12

　１月８日日曜日に訪れました。

[2] mixiユーザー 02月17日 17:14

　しかし「外出中」で中に入れませんでした…。

[3] mixiユーザー 02月19日 05:18

「只今　外出中」
無念でありましたね、実に。。。。

しかし、この縦書き表記はご亭主のお人なりに多くを語っているように、慕わしく思えました。

舗装の色の変わっているところは、ご亭主の端正な感性を、
表示板の下端が見事に一致しているところは、画の撮影された方の端正な感性を、

それぞれ、物語っているように思えました。

お二人、そして、地域がステキ