東京都府中市宮町２−５・３−１/本町１−14
2009年07月23日、指定。
2011年02月07日、国司館地区を追加指定。
武蔵野台地上、多摩川が形成した崖の縁辺に位置する武蔵国の国府跡。
武蔵国府は、『和名類聚抄』に「多麻郡に在り」との記載があるものの、所在地は特定されておらず、江戸時代以降、五説が提起されていたが、昭和50(1975)年以降、武蔵国総社の大国魂(ｵｵｸﾆﾀﾏ)神社〔官幣小社〕の境内地及び周辺地域の発掘調査が行われた結果、２棟の大型東西棟建物と、その西に総柱(ｿｳﾊﾞｼﾗ)の南北棟建物が３棟、整然と配される国府域中心部の様相が明らかとなった。
このうち北の東西棟建物は、国庁等、国府の主要施設の中心建物と考えられる。国府域中心部の南・西・北辺には区画溝が検出されており、方100ｍの区画を成していたと考えられる。造営時期は８世紀前半頃で、８世紀中頃に掘立柱から礎石建ちへ改修され、10世紀末には機能を失っていたと推定される。
国府域中心部の周辺では、東西約2.2�辧ζ酲�1.8�劼乏箸�る国府域の内容が明らかになっている。出土遺物としては、瓦や磚(ｾﾝ)に武蔵国21郡中の19郡の郡名を箆(ﾍﾗ)書き・刻印・墨書で記している物が見られる。
また、平成20(2008)年から二年がかりで、JR府中本町駅東側に位置するイトーヨーカドー府中店の立体駐車場跡で、イトーヨーカドー府中店の開発計画に伴う発掘調査が実施された結果、国内でも類例のない初期の国司館（ｺｸｼﾉﾀﾁ）と考えられる国府の重要な施設跡と、徳川家康府中御殿関連の遺構が発見された。
府中御殿は、天正18(1590)年に徳川家康が江戸に入府すると同時に建築され、『江戸名所図会』には、「家康が武蔵国の国司の館跡に御殿を建てた」という記載が見られるが、正保３(1646)年の大火で焼失した。発掘調査では、江戸時代初期の徳川家の家紋「三葉葵紋」が入った鬼瓦の一部が見つかったため御殿跡と確定、さらに古代の国司館跡も確認された。
国司館地区の追加指定に伴い、旧来の指定地区は国衙地区と呼称される事となった。
国衙地区に簡易な展示施設がある外、ふるさと府中歴史館や府中市郷土の森博物館で関連史料の展示が行われている。
国衙地区の大半は大國魂神社〔官幣小社〕〔武蔵国総社〕境内となっている。
社伝『府中六所社伝』等に記された伝承によれば、景行天皇41年(A.D.111)５月５日に大國魂大神がこの地に降臨し、それを郷民が祀った社が起源とされる。大國魂大神とは大国主命(ｵｵｸﾆﾇｼﾉﾐｺﾄ)と同一神とされ、「松は憂いもの杉ばかり」と語ったとされるため、境内に松の木が植えられる事はなく、府中では正月の門松に松を使わず「門竹」を使う伝統が生まれた。
その後出雲臣の祖神である天穂日命(ｱﾒﾉﾎﾋﾉﾐｺﾄ)の後裔が武蔵国造に任ぜられて社の奉仕を行ってから、代々の国造が奉仕してその祭務を行ったと伝承されている。当時の社号は大國魂神社だった。創立の初期には、創建日の５月５日に武蔵国中の神官が集まり祈祷を行っていたと伝えられる。
大化元(645)年、武蔵国府が社有地内に置かれて社を国衙の斎場とし、国司が奉仕して国内の祭務を総轄する社となった。国司が国内社の奉幣巡拝・神事執行等の便により国内諸神を配祀し、社号は武蔵総社に改められたとされる。
その後、武蔵国内の著名の六神を奉祀して、社号が武蔵総社六所宮と変わったとされるが、『延喜式』に登場しないなど、これらの伝承は疑わしい。六所宮は何度も火災で焼失しているため、江戸時代中期以前の古記録が全く残っていないのが社史不詳の原因である。
ちなみに、六宮の六神は以下の通り。
一之宮：小野大神 - 小野神社（東京都多摩市）
二之宮：小河大神 - 二宮神社（東京都あきる野市）
三之宮：氷川大神 - 氷川神社（埼玉県さいたま市大宮区）
四之宮：秩父大神 - 秩父神社（埼玉県秩父市番場町）
五之宮：金佐奈大神 - 金鑚神社（埼玉県児玉郡神川町）
六之宮：杉山大神 - 杉山神社（神奈川県横浜市緑区）
そして、康平５(1062）年７月20日に源頼義・義家父子が、前九年の役戦勝記念に欅の苗千本を寄進し、その際、神前に李(ｽﾓﾓ)を供物として供した事から、後年、７月20日に毎年「すもも祭り」が行われるようになった。
『吾妻鑑』によると、寿永元(1182)年、鎌倉政権の源頼朝が葛西三郎清重を使節として、妻北条政子の安産の祈願が行ったとされ、これが六所宮の登場する最初の一次史料である。続いて、文治２(1186)年、頼朝は武蔵守義信を奉行として社殿を造営、貞永元(1232)年にも執権北条泰時が武蔵守として社殿の修造を行っている。
天正18(1590)年８月に徳川家康が江戸へ入城してからは、 武蔵国の総社として社領500石が寄進され、社殿等の造営が行われた。
正保３(1646)年、類焼により社殿が焼失するが、寛文７(1667)年に四代将軍徳川家綱の命により、久世大和守広之が社殿を造営し、現在に至る。明治４(1872)年、社号を最古名の「大國魂神社」に復した。
＊馬場大門の欅並木
http://
・大國魂神社境内樹木の一部
http://
2009年07月23日、指定。
2011年02月07日、国司館地区を追加指定。
武蔵野台地上、多摩川が形成した崖の縁辺に位置する武蔵国の国府跡。
武蔵国府は、『和名類聚抄』に「多麻郡に在り」との記載があるものの、所在地は特定されておらず、江戸時代以降、五説が提起されていたが、昭和50(1975)年以降、武蔵国総社の大国魂(ｵｵｸﾆﾀﾏ)神社〔官幣小社〕の境内地及び周辺地域の発掘調査が行われた結果、２棟の大型東西棟建物と、その西に総柱(ｿｳﾊﾞｼﾗ)の南北棟建物が３棟、整然と配される国府域中心部の様相が明らかとなった。
このうち北の東西棟建物は、国庁等、国府の主要施設の中心建物と考えられる。国府域中心部の南・西・北辺には区画溝が検出されており、方100ｍの区画を成していたと考えられる。造営時期は８世紀前半頃で、８世紀中頃に掘立柱から礎石建ちへ改修され、10世紀末には機能を失っていたと推定される。
国府域中心部の周辺では、東西約2.2�辧ζ酲�1.8�劼乏箸�る国府域の内容が明らかになっている。出土遺物としては、瓦や磚(ｾﾝ)に武蔵国21郡中の19郡の郡名を箆(ﾍﾗ)書き・刻印・墨書で記している物が見られる。
また、平成20(2008)年から二年がかりで、JR府中本町駅東側に位置するイトーヨーカドー府中店の立体駐車場跡で、イトーヨーカドー府中店の開発計画に伴う発掘調査が実施された結果、国内でも類例のない初期の国司館（ｺｸｼﾉﾀﾁ）と考えられる国府の重要な施設跡と、徳川家康府中御殿関連の遺構が発見された。
府中御殿は、天正18(1590)年に徳川家康が江戸に入府すると同時に建築され、『江戸名所図会』には、「家康が武蔵国の国司の館跡に御殿を建てた」という記載が見られるが、正保３(1646)年の大火で焼失した。発掘調査では、江戸時代初期の徳川家の家紋「三葉葵紋」が入った鬼瓦の一部が見つかったため御殿跡と確定、さらに古代の国司館跡も確認された。
国司館地区の追加指定に伴い、旧来の指定地区は国衙地区と呼称される事となった。
国衙地区に簡易な展示施設がある外、ふるさと府中歴史館や府中市郷土の森博物館で関連史料の展示が行われている。
国衙地区の大半は大國魂神社〔官幣小社〕〔武蔵国総社〕境内となっている。
社伝『府中六所社伝』等に記された伝承によれば、景行天皇41年(A.D.111)５月５日に大國魂大神がこの地に降臨し、それを郷民が祀った社が起源とされる。大國魂大神とは大国主命(ｵｵｸﾆﾇｼﾉﾐｺﾄ)と同一神とされ、「松は憂いもの杉ばかり」と語ったとされるため、境内に松の木が植えられる事はなく、府中では正月の門松に松を使わず「門竹」を使う伝統が生まれた。
その後出雲臣の祖神である天穂日命(ｱﾒﾉﾎﾋﾉﾐｺﾄ)の後裔が武蔵国造に任ぜられて社の奉仕を行ってから、代々の国造が奉仕してその祭務を行ったと伝承されている。当時の社号は大國魂神社だった。創立の初期には、創建日の５月５日に武蔵国中の神官が集まり祈祷を行っていたと伝えられる。
大化元(645)年、武蔵国府が社有地内に置かれて社を国衙の斎場とし、国司が奉仕して国内の祭務を総轄する社となった。国司が国内社の奉幣巡拝・神事執行等の便により国内諸神を配祀し、社号は武蔵総社に改められたとされる。
その後、武蔵国内の著名の六神を奉祀して、社号が武蔵総社六所宮と変わったとされるが、『延喜式』に登場しないなど、これらの伝承は疑わしい。六所宮は何度も火災で焼失しているため、江戸時代中期以前の古記録が全く残っていないのが社史不詳の原因である。
ちなみに、六宮の六神は以下の通り。
一之宮：小野大神 - 小野神社（東京都多摩市）
二之宮：小河大神 - 二宮神社（東京都あきる野市）
三之宮：氷川大神 - 氷川神社（埼玉県さいたま市大宮区）
四之宮：秩父大神 - 秩父神社（埼玉県秩父市番場町）
五之宮：金佐奈大神 - 金鑚神社（埼玉県児玉郡神川町）
六之宮：杉山大神 - 杉山神社（神奈川県横浜市緑区）
そして、康平５(1062）年７月20日に源頼義・義家父子が、前九年の役戦勝記念に欅の苗千本を寄進し、その際、神前に李(ｽﾓﾓ)を供物として供した事から、後年、７月20日に毎年「すもも祭り」が行われるようになった。
『吾妻鑑』によると、寿永元(1182)年、鎌倉政権の源頼朝が葛西三郎清重を使節として、妻北条政子の安産の祈願が行ったとされ、これが六所宮の登場する最初の一次史料である。続いて、文治２(1186)年、頼朝は武蔵守義信を奉行として社殿を造営、貞永元(1232)年にも執権北条泰時が武蔵守として社殿の修造を行っている。
天正18(1590)年８月に徳川家康が江戸へ入城してからは、 武蔵国の総社として社領500石が寄進され、社殿等の造営が行われた。
正保３(1646)年、類焼により社殿が焼失するが、寛文７(1667)年に四代将軍徳川家綱の命により、久世大和守広之が社殿を造営し、現在に至る。明治４(1872)年、社号を最古名の「大國魂神社」に復した。
＊馬場大門の欅並木
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・大國魂神社境内樹木の一部
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