史跡コミュの原田城跡

　大阪府豊中市曽根西町４－４－15

　1987年09月01日、豊中市が史跡に指定。

　　原田城は、摂津国豊島(ﾄｼﾏ)郡六車郷の土豪原田氏が本拠地として築いた小規模な平山城で、北城と南城が存在しました。この地は、豊中台地の南西部の丘陵で、平野を一望出来る戦略上の要衝でした。
　北城は鎌倉時代末期に原田氏の居館として築かれたと推定されており、原田氏は室町時代に入ると摂津守護細川氏の家臣団に組み込まれたため、応仁の乱(1467～77)の際には原田北城は東軍方の拠点の一つとして重要な役割を果たしたようです。北城は南北140m・東西120mあり、［ヨ］字状に外堀が巡らされていました。
　天文元(1532)年から四年間に亙って一向宗が管領細川晴元と抗争した天文(ﾃﾝﾌﾞﾝ)の錯乱(ｻｸﾗﾝ)に際しては、原田氏は領内に一向宗の誓願寺があった関係で、一向宗側に組しています。
　天文15(1546)年、細川氏綱が河内守護代遊佐長教(ﾕｻﾅｶﾞﾉﾘ)と結んで管領細川晴元に反旗を翻し細川家の内紛が勃発すると、原田城主原田右衛門尉(ｳｴﾓﾝﾉｼﾞｮｳ)は氏綱方に組しましたが、晴元は配下の三好長慶に命じて氏綱方の摂津諸城を攻めさせ、天文16(1547)年２月20日、長慶は原田城を攻略しました。この際、右衛門尉は戦死し、三好三人衆の一人三好長逸(ﾅｶﾞﾔｽ)が新城主となったようです。
　同年10月、畿内で権勢を振るっていた北河内守護代木沢長政軍が三好長慶の越水城を攻囲した際、原田城も木沢軍に包囲されていますが持ち堪えました。
　そして、原田氏は新たに居館として南城を築きましたが、結局、北城の方は廃城となって荒廃してしまったようです。その後、織田信長が畿内を制すると、原田氏はそれに服属しました。
　天正６(1578)年、荒木村重が織田信長に叛すると、信長は中川清秀や古田織部(ﾌﾙﾀｵﾘﾍﾞ)に命じて原田北城を復興、大改修して、村重の本拠有岡城攻めの前線砦として活用し、南城の原田氏もこれに協力したようです。この時、北城には幅15ｍ・深さ５ｍの内堀が新たに設けられました。
　村重敗退後、原田氏は茨木城主中川清秀傘下に入り、文禄３(1594)年に清秀の子秀成が豊後国岡城に移ると、原田一族もそれに従ったため、原田城は南北共に慶長年間(1596～1615)に廃城となってしまいました。
　江戸時代には、この地は梨井村となり、庄屋野口家が城跡を保有しましたが、庄屋屋敷は別の場所に建てられたため、城跡は廃墟のまま残されました。
　天保２(1831)年の『摂津国豊嶋郡原田四株指出明細帳』によると、原田城跡には土塁と堀跡が残されていた事が記録されています。
　その後、昭和10(1935)年年に至り、この一帯は新興住宅地として開発・販売される事となり、南城跡は破却されてしまいました。
　一方、北城跡は住友化学工業重役の羽室廣一が約2950㎡の城跡を一括購入、堀跡は消滅しましたが、土塁が庭の築山として活用される事となって現存しています。
　旧羽室家住宅〔登録文化財〕は、延べ面積460㎡の桟瓦葺(ｻﾝｶﾞﾜﾗﾌﾞｷ)木造二階建の母屋と土蔵・納屋から成り、母屋は和洋折衷様式の昭和初期モダン建築の雰囲気を今に伝えています。
　現在、旧羽室家住宅は「はらだ城跡館」と命名されて、豊中教育委員会から委託を受けた地元自治会が管理・運営を実施し、無料で内部見学が可能となっています。但し、毎週土・日曜日の1200時～1530時のピンポイント限定公開ですので、訪れる方は御注意下さい。