史跡コミュの益田岩船

　奈良県橿原市南妙法寺町

　1976年03月30日、奈良県が史跡に指定。

　飛鳥地方の一角にある小高い山の頂部付近の平坦面にある花崗岩製の巨石建造物。
　東西約11・、南北約８ｍ・高さ約4.7ｍ（北側）の台形状で、東西の側面はほぼ垂直に切り立っている。真上から見ると長方形をしているが、山側の下半部は埋っており、立面形については四角いのか丸みを持つのかは不明。上部から側面にかけて幅1.6ｍの溝が東西に掘られている。この溝に一辺1.6ｍ・深さ1.3ｍの方形の穴が1.4ｍの間隔を開けて二つくり抜かれている。
　岩の重さは約160ｔと推測され、曾ては他から運ばれて来たという説もあったが、現在では最初から今の場所にあったと考えられている。また、下部には深さ10㎝程度の格子状の溝が彫られているが、表面を平にするための加工法と見られる。
　文献史料が残っていないため、何のための構造物なのか確かな事は不明で、いくつかの説があげられている。
　一.益田池の造築を讃えた、弘法大師の書による巨大な石碑の台石説。最も古くからある説で、上に載っていた碑は高取城築造の際に石垣用材として破砕されたという伝説がある。
　二.占星術のための天体観測台説。二つの穴に石柱を建て、その上に横柱を渡して星を観測したとされる。
　三.火葬墳墓説。穴の中に遺骨を入れて石の蓋をしたとされる。
　四．ゾロアスター教拝火台説。松本清張が小説『火の路』で提示して有名になった。
　五.横口式石槨の古墳説。横口式石槨の建造途中で石にひびが入っている事が分り放棄されとされる。その後別の石を使って完成した古墳が、岩船から南西へ500ｍ程行ったところにある牽牛子塚（ｹﾝｺﾞｼﾂﾞｶ）古墳だとされる。東側の穴と違って、西側の穴には水がたまらない事からも亀裂が入っている事が判り、現在では最も有力視されている説だが、決定的な証拠は無い。