この関係は見た目よりもそれほど奇妙なものではない。当時、その新たな諜報機関はおもにイェールやハーバードの卒業生が配置され、彼らの多くは余暇を使って美術品をコレクションしたり小説を書いたりしていた。それはMcCarthy やJ Edgar HooverのFBIに支配されていた政治的世界と比べると自由主義の避難所であったのである。ニューヨーク・スクールを作ったレーニン、トロツキー主義者の飲んだくれ達を賛美すべき立場の公的機関があったとするなら、それは結局CIAであった。
これがロング リーシュというものだ。CIAのキャンペーンにおける重要拠点がCongress for Cultural Freedom 自由文化会議となった。知識人、作家、歴史学者、詩人、そして芸術家による広大な会合は1950年にCIAとそのエイジェントによって設立され運営された。それは西側においてモスクワとその同調者からの攻撃から文化を守るための足がかりとなった。そのピークにおいては35カ国に研究室をもち、2ダース以上の雑誌を出版し、それにはEncounterも含まれていた。
冷戦終了後、CIAの目的がどう変化したのか? 当局による情報はまた半世紀後に明らかになるのかもしれません。ドイツ ベルリン在住のヴィジョナリーアーティスト Leo Plawさんによる2009年3月のレポートを紹介したいと思います。
以下引用 http://leoplaw.com/news/page/2/
「世界的金融危機」の波が迫るにつれ、世論によればアート界は窮地の曲がり角にきたようである。
世界における最も有力なディーラー David Nahmadは 今週、現代美術市場に対して攻撃を始めた。「およそインチキ」ないくつかの作品に関して膨大な値を付けてきたのである。人々はイギリスの彫刻家のアンソニー カロによる「常規を逸した馬鹿げた値段。」というコメントを引用し合い、その問題が作品そのものよりも重要になってしまった。
ロシアのヴィジョナリーアーティストのOleg KorolevさんがContemporary Art とVisionary Artの関係を知る上での印象的なエッセーを書いています。彼はロシア正教のクリスチャンであり、現代文化、現代美術に対する独自の危機感と問題意識をもっているように伺われるので翻訳を試みました。彼の論考はスペインの自由主義哲学者ホセ・オルテガ・イ・ガセトに対する批判に基づいています。
http://meaus.com/0-151-korolev-2.htm
"The Dehumanization of Art" and "Mules, without understanding".
By Oleg Korolev
「芸術の非人間化」と「悟りの無い驢馬」
オレグ コロレブ
上:ロマン主義のスタイル、 Casper David Friedrichnによる
「霧の海を眺めるさすらい人」(1818年)100年ほどの間はこの作品は当時の「モダンアート」の模範であった
1925年にスペインの自由主義哲学者José Ortega y Gasset(1883〜1955)は「芸術の非人間化」というエッセーを書き、出版した。今日の時代にまで続く現代美術の発展段階を映し出す、ある種の偏向した見解をそのエッセーは表明しているのにも関わらず、それは事実、彼より後の世代における現代美術家達にとってのプログラムとなっていったのである。
このOrtega y Gassetのエッセーが説明していることは、芸術界の、ある部分のエリート達がいかに伝統的芸術における「メロドラマ性」にうんざりしていたかということであり、また同時にそういった伝統芸術はいかに不誠実に感情を喚起させ、鑑賞者を泣かせたり笑わせたり、あるいはやや実利的なものを感じさせるかということであった。
そうして哲学者のOrtega y Gasset はこのように結論を下している。「非超越性」、「非人間化」、「もはや芸術がゲームであることを努めて理解しようとすること。」「自然の形態の描写を避けること。」そして「深いアイロニー」、こういったことが「新しい芸術」にとっての主な前提となったのである。そしてなおも彼はこう言明している。「新しい芸術のシンボルは今や牧羊神パンの魔法のフルートとなった。森のはずれで子供達は魔法で躍らずにはいられないだろう。」
聖書からの引用を付け加え提示するなら、「悟りのない馬や驢馬のようであってはならない。それは轡や手綱の馬具で押さえなければ、あなたに近づかない。」"Be not like a horse or a mule, without understanding, which must be curbed with bit and bridle, else it will not keep with you",
Ortega y Gassetはいくつかの類型的例を世界の美術史の中で挙げている。例えば現代的なキュビスムに見られる「幾何学的芸術の時代」と「聖像破壊」、そしては古い時代における「幾何学的」、「聖像破壊」な様式は「新たな自然形態の探求」によってその傾向を変え反対のほうへ向かうに至った事、などである。このことはゴシック様式の後に、ルネッサンス時代にも同じことが起こった。