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KAI'S─PARTYコミュの赤い手は滅びのしるし完結編<咆哮のティアマト>−−アヴァンタイトルーー

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    赤い手は滅びのしるし完結編――承前――


 ドーーーーーン!!!

 先ほどまで鳴り続けていた雷鳴がその音を最後にぴたりと止んだ。
 だが,依然として周囲には,腐臭と障気,硫黄と爬虫類特有の獣臭が漂っている。
 ティアマトの分身が,アビスからこの世界に顕現したのだ。
 その証拠に,先ほどまで稲妻が降り注いでいたティアマトの寺院の残骸から,ときおり五色の閃光が立ちのぼり,地中から地響きが伝わってくる。
ティアマトがこの世界に復讐を果たすべく,地上に向かっているのだ――


 エセルバートが地獄から招来した地獄で鍛えられた楔がアザール・クルに突き刺さり,息絶えた瞬間,その祭壇の周囲に屹立していたティアマトを模した五つの龍の首から<力>が放たれた。
 <力>は,アザール・クルの死体を焼き,更にその場にいたアビシャイ(ティアマトに使えるデビル)を打ち倒し,焼き尽くし,さらに荒れ狂う力の奔流は,祭壇を打ち壊していく。

――おのれ,おのれ,おのれ,我が野望を,我が望みを,我が願いを,よくも妨げおったな――

――おのれーー!!――


 地の底に続くかと思われる穴から障気が沸き上がり,それと力の奔流とが混ざり合い,ひとつの巨大なものを形作って行く。
 その姿は,五つの首を持つ巨大な龍――

 色彩龍の女王――ティアマト


 ティアマト――といっても神そのものではなく,その影とも言うべきアスペクトだ。
 神そのものは倒せなくとも,影にすぎないのならば倒すことも不可能ではない。
 ティアマトの顕現を防ぐため,受肉化が完了する前に倒すべく,まだ不完全な状態(全ての攻撃に対する脆弱性5)のティアマトに立ち向かったライトニングシールド達だったが,まだ形が定まらぬため有効な打撃を与えられず(非物質状態につき,ダメージ半減。一日毎パワー,遭遇毎パワー使用済み),また,一行を妨害するように降り注ぐ雷(ヒットすると3d8+5の雷撃ダメージ)に妨げられ,このまま,ぎりぎりの戦闘を続けるよりは,たとえ完全に受肉が終了し,仮にティアマトのアスペクトがこの世界に降臨したとしても,たっぷりと休息(大休憩)をとった上で,戦った方が勝ち目があると判断し,いったん寺院から脱出――戦略的撤退――,ティアマトがエルシア谷へ向かうとしたら必ず通るであろう山中に身を潜めた。

『裏話』
・シンシア,ギルバート「雷だけど,解除装置みたいなのがあるわ(ぞ)」(知覚で発見)
・レガシー「そ・れ・だ」
・テン「どれどれ〜。どうやって解除すればいい?」
・複雑度2。3回失敗するまでに6回成功。難易度22。1回成功するごとに難易度が2ずつ上がる。魔法学3回,盗賊3回。失敗したら2d10の雷撃ダメージ
・テン「それは――厳しい」
・レガシー「無理」
・ギルバート「それはないわ」
・エセルバート「そんなの失敗するにきまってるじゃん」
・シンシア「チョット,それはキツいですよ――」
・サリフォン「無理かなあ,できそうな気するけどなあ」
・レガシー「無理!判定中2回はサイコロ1出す自信ある!!」
・全員「よし,撤退しよう!!(爆)」


 そして,一夜が明け――
「音が止んだな」目を閉じ,岩に背を預けて休んでいたギルバートが目を開けた。「そろそろ,来るな」
「そうみたいですね」
 さっきまで,儀式を続け,マジックアイテムの作成にいそしんでいたせいで,疲労困憊といった状態で横になっていたレガシーが,ベキベキと体の関節を鳴らして,ローグとは思えない,騒々しい音を立てながら立ち上がる。
「準備は,いいか」
 いつもは,比較的穏やかな笑顔のような表情を浮かべているサリフォンが,その血に連なるドラゴン――シルバードラゴン――と同様に,怒りで爛々と輝く瞳を一向に向ける。
 シルバードラゴンは,己が守る土地と仲間が脅かされたときに,もっとも強い怒りを覚えるという。
「ティアマト――の影も来るようですが,別口もいるようです。そちらは,私が引き受けましょう。レイヴンクイーンの名において,存在を許すわけにはいきません。」
 レイヴンクイーンに祈りを捧げていたシンシアが立ち上がり,ティアマトが来るであろう方向とは別の方向を見つめる。
 ホブゴブリンやオーガ,グリーンスポーンレイザーといったライトニングシールズが寺院に突入するとき斃した赤き手の者達が腐臭を放ちながら,群れをなしてよろよろと向かってくる。ティアマットは,懲罰として,期待にそぐわずに息絶えた者をアンデットとして蘇らせることがあるのだ。
さらにシンシアが顔を巡らせると,上空には,アビシャイといったデビルの姿も見えた。ティアマトの顕現に併せて住処であるアストラル界から現れたのだ。
「それに信仰の書の導入により,私のターンアンデットは,「デーモン殺し」や「デヴィル殺し」といった特技の効果で,アンデット以外にデーモンやデビルといった者にも効果を与えるようになりましたから。近接範囲爆発5に3d10+9ダメージです。なによりトゥームフォージドアーマーになったおかげで,死霊に対する抵抗10があります」
 最近,ぱっつんぱっつんになってきたエグゾールテッドアーマーからトゥームフォージドアーマーに鎧を変え,若干露出度が上がったせいで,むちぷりになった胸元でレイヴンクイーンの聖印が煌めいている。
「だったら,そちらは任せよう」
 朝の陽の中でもなお冥い,おぼろな陰をまといながらエセルバートが立ち上がる。
「ティアマト以外にも,俺に相手をしてほしがっているやつもいるようだからな――」
 その視線の先には,エセルバートにとどめを刺されたアザール・クルの姿が見える。もちろん死者としてだ――
「それに,試したいものもあるしな」両手にロッド――ロッドオブファーストブラッドとヴィシャスロッド――を持ち,それをヒュンと振る。「二丁装具がどれぐらい有効か,試してみよう」
「えー,シンシアいないの?ティアマト相手に回復役なしか――」
 さっきまで,呪文書をああでもない,こうでもないと言いながらひっくり返していたテンが立ち上がる。ようやく覚える呪文が決まったらしい。
 レガシーと同じようにさっきまで,マジックアイテムの作成にいそしんでいたせいで,疲労困憊のはずなのだが,キラキラした目をしている。
 このときのために準備してきた魔法と,マジックアイテムを実践できる期待に胸を躍らせているのだろう。仲間に指摘されると「そんなことないです」と否定するはずだが、それがただの『見栄』に過ぎないことは,皆承知のことだ。
 そんな仲間達を見て,サリフォンは他人に分かるか,分からないかぐらい,かすかに頷いた。
――この仲間となら,勝てる
「よし,行くぞ!」
 そう仲間たちに声をかけるとサリフォンが鬨の声を上げて駆け出していく。
 ライトニングシールドの仲間たちもそれに続く。
「邪悪なる竜の女王、ティアマトよ!バハムートの名において――」
 そう見得を切るサリフォンの声にかぶせて、皆が好き勝手な宣言をしていく。
 だが、思いはひとつだ。
 ティアマトを倒し、エルシア谷を救う−−


「みなさん,ご無事ですか」
 独りアンデッドの群と対峙していたシンシアが,皆のところに戻ってきて,そう声をかけた。
 さすがに1対多数の戦いであったためか,トゥームフォージドアーマーやクロークオブサヴァイヴァルでも防ぎきれず,全身のいたるところに細かい傷を負い,血の跡が見える。
 もしかしたら,外観がエライことに,あるいは,スゴイことになっているかもなっているかもしれないが,それはみなの想像におまかせすることにする。
「怪我をしてる人は――?」負傷したらしく,血の跡や焼かれ,凍てつかされ,溶かされた跡はあるものの,あまり怪我らしい怪我をしていないようすの仲間の様子を見て,シンシアが怪訝そうな顔をする。「ティアマトは――」
「それが――」
 一行が顔を見合わせ,微妙な顔をする。
「俺のマークで−2」とギルバート。
「俺の再訓練した無限回パワーがヒットしたら,攻撃−2」とレガシー。
「俺の遭遇ごとと一日毎パワーの一部もヒットしたら,攻撃−2」とエセルバート。
「そして,何より――」一斉に首をめぐらせて,シンシアが戻ってきたことも気づかず,地面にしゃがみ込んで魔法陣に集中しているテンを見る。「テンが再訓練で覚えたメイズ・オブ・ミラーがヒットして−6」
「『10以上ペナルティがついて当たるかーー!次,戦うことがあれば,手加減せず,お供を連れてきてやる!!』と叫びながら斃れた。あれは,本音だな」とサリフォン。
「それは――」
 シンシアが,ことごとく攻撃を外すティアマトを脳裏に浮かべ,半笑いを浮かべる。
「できたー!」
 地面から顔を上げて,テンが叫んだ。
「シンシア,無事だったんだね。こっちも何んとかなったよ――てへ」
「いえ,無事で何よりです。で,なにを?」
「ファントムスティードの儀式の準備。今度こそ,一回で馬飛ばせそうな気がするんだ!」
 ティアマトに対する判定で,20の目を出していい気になっているテンが,瞳を輝かせ,こころなし胸を張って言う。
「よし,ブリンドルに帰るぞ」
 仲間たちを見渡してサリフォンが声をかけた。
「うん」
 頷いてテンが儀式の仕上げにかかる。

 そして、ライトニングシールドは,伝説になった。

 なお,テンの儀式により呼び出された馬が空を飛んだかどうかは,伝説には記されていない――

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