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大河ロマン小説 屍山血河コミュの第11章 難題

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 年も明けてからしばらくたったころ、マックスとクルーガーはロビンソンの執務室に呼ばれた。
「よく来てくれた。わたしの言いたいことはただ一つだ」
 マックスはあまりに思いつめたようなロビンソンに気迫を感じた。クルーガーも緊張でほとんど動かない。
「率直に言おう。デス・マウンテンで隠遁生活を送っているエリオット元帥を説得し、わが軍に戻ってくるよう、取り計らって欲しいのだ」
 ウィリアム・ジョー・エリオット。かのハーゼンハイデ公爵クラウスを凌ぐただ一人、名将の代名詞的存在。ここでマックスが口をはさんだ。
「閣下の命令とあれば喜んで引き受けますが、あまりに難しいのではないでしょうか」
「俺も同意見だ。いったん山でこもっている年寄りを翻意させるのは無理だと思いますね」
 クルーガーもマックスに同調する。
「貴官らに聞くが、今までこの任務で何人死んだと思うかね?」
 二人は首をかしげた。
「50名くらいですか?」
 マックスの予想をはるかに上回る数字が出てきた。
「1500名、挑戦し、生きて帰れたのはわずか30名前後だ」
 クルーガーは不機嫌そうに眉を動かした。
「閣下、あなたは俺たちに死ねと言いたいんですかね?」
「ある意味、貴官の言う通りだ。この命令は絶対ではない。拒否権は君たちにある。ただし、成功の暁にはそれなりの報酬を出そう。どうかね、わたしのわがままを聞いてくれるか?」
「わたしは構わないですが……」
「マックスが行くのなら俺も付き合おう。ただし、水先案内人が必要ですね?」
「さすがに鋭いところを突いてくるな」
 ロビンソンは苦笑をこらえつつ、席から立ち上がり、反対側のドアをノックした。
「失礼します」
 小柄で痩せこけた少年が姿を現した。目つきはうつろで、何を考えているかわからない。
「紹介しよう。君らの案内人を引き受けてくれたエドワード・ランズバーグ中佐だ」
「エドとお呼びください。お二人の武勇伝はすべて把握しています。どうかよろしく」
 エドワードは深々とお辞儀した。礼儀に無頓着なクルーガーでさえ、マックスと同じく頭を下げる。
「彼は腕力こそ人並だが、その明晰な頭脳はすぐにわかるはずだ。では、出立の準備にかかってくれ」
 この時、元帥の任務がどれほどは酷なものか、マックスとクルーガーは知る由もなかった。

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