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チャールズシミックコミュの世界は眠らない

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コメント(33)

最後を締めくくるに相応しいその息が、白い吐息だといい。外は強風で、容易に書き消されてしまうだろうけれどー。
鳥の居場所はいつも新しい 羽が生えているから
美術室のベランダに干された絵筆が、
夜風に揺れている。
夜はそうして塗り重ねられていく事に
果たして何人が気づいていることだろう。
朝方の海からノクターン(夜想曲)を聴くように、年明けに、
まだ到着してない一年間の日々を考えている

夕方、国道を走る回送バスを見かけた。
「見かけだおしなんだ。」
ライトの消えた車内で寝息が聞こえる。
冬の晴れ間は穏やかなので、昔の他愛もないことを思い出している。
もしくはため息を。
可憐に美化された一日。ゴールデンタイムのテレビコメディ
コメディアンが街灯に向けて両手を広げている。彼は日が暮れ、明かりがつくまでそうしていた。
彼にもそれはわかっているのだが、と。
どうだっていい、と吐き捨てる。
テレビ番組の光は充分、部屋を照らしているにもかかわらずに。
音がなくなっただけで、止んだわけではない。雨が雪に変わったのだ。ついさっきー、
眠りと良心を、そして夜を、たくわえられた情熱をー、唇から放電するならば へぼ工場の明かりはじきに消えちまうだろう。
煙の女王が正しいと言ったように、煙草の煙の重さは灰の重さに等しい。魂もそう。流された涙を算段に数えなければー
煙に巻く。それは合言葉か何かだろうか。
焼き焦げそうな牛肉を前にして、眉間に皺を寄せた。
煙に巻かれていく様相は、ずいぶん陽気なもの。
手にしたグラスは空っぽ。まだ、注がれてもいないというのに
ひどく酔っ払っている。この調子だと、そうだな。彼女が出ていった事すら忘れられそう。

テーブルにのせたままの空の食器に
注がれた雨音ー湯気が立っている。
僕は誰かがシャワーを浴びているんじゃないかと思う。

始まり。清潔であることで出来事を拭い去れるものでもない。

君はもう遅いと、言った。そんなわけないだろ、と僕の汚れた愛が笑う。沈黙を解放するのは、いつだって一つの優しさ、半世紀に渡ってめくられ続けた、物語の一節。


雲のない夕方。飛行機雲が空に棚引かれていく。窓ガラスは汚れていた。僕はそれを、まっさらなグラスの中から望みたい。シャンパンを飲みたい。一人きりでも乾杯したい。そしておそらく、機内から地上を見下ろす男は、注がれたばかりのグラスを手にしているわけだから。


路肩に沿って歩く野良犬の後をついていったなら
冬を終わらせずにすむと思ったー小春日和のためにも。

行けるだけ行って不意にひるがえしたコートも
二月と三月の境界線を行ったり来たりしたのちに、
ハンガーの上で沈んだまま。
デパートから追放されたマネキンたちが
僕の家の扉をノックしてくれたらいいのに!

そして、否むしろ、世界が退くよりも僕が哀しいのは
避暑地のテニスコートに投げ入れられた空き缶を
拾って投げ返した君を、思い出す時。小春日和をー
「カメラは、カメラなしでいかに物事を見るかを教えてくれる。」

長靴を履いた車。走った格好。橋の下の陰翳から、
兆す、橙の衰え。
黒い前髪が前後に揺れていた。どこへ?
灯台から望むようにー、
窓際の彼らはグラウンドを眺めていた。
膝丈まで伸びた雑草は、波のうねりのように風に揺らいでいた。

ゆらゆらと小舟が漂うように君はそこにいるべきだと思う。
彼らは、帰りを待っているのだ。たとえそれが夢の中でも。

長距離トラックの窓から投げ捨てられた新聞が
駐車場から駐車場へと運ばれていく。写真を、文字を、
すり減らして、スリム化の一途をたどった。つぎはぎの朝刊
泥だらけ。残った紙面を読むことはおよそ不可能。
水をひっかけて洗い落とすのも手かもしれない。日中干すのが面倒ならば、ドライヤーで乾かしたり。
うっすらと読むことが出来たところで
誰が喜ぶものか?興味をそそるような記事もない。
新しい命が生まれ去っていく、日付、日々の理。ーそれすらも、
いらないと思える。証明、証拠、一つきりの称号。

歩道橋の上を歩く小学生の一団。僕は誰が班長なのか見定める。
もしくは誰が班長だったのか。車が行き交う国道の真ん中で。
きっとみんな忘れているだろうし、思い出す意義など
運転手の横顔から見い出す必要がない。
風に舞う新聞。朝日と真逆に飛ぶな!

開放的な屋根で
月明かりが叫ぶ
ほら、見てみろ
へこんだ頬を!
半円描いた影を
高潔なメロディ。鍵穴に鍵を突っ込んでいる時なんか特に。出迎える君は気づかなくちゃならない。そいつは主ではない。口からでまかせでもいい、何度も唱えるべきだ。何度も。
口笛を吹きながら歩道橋を渡り、朝日を待つばかりの街灯にうっすらと夜露がつく。足音であるところの影は、鳥のように高く、高く伸び続け、成層圏に達したところで街灯の上に立ち、朝を迎える。鳥のように。
物質が精錬させる物事において人の営みが分離されることはない。が、そこに風は吹かない。地平から日が昇ることもない。
欠落した一貫性こそが人の営みを洗練する。風が払うように。
そして、殺那的であれ、虚栄であれ、風が止む時があるー日が昇る時、沈む時。その時、ランボーは永遠を見つけたと言った。至極正しい。ただ、それは「見つけろ」と世界が言い、耳を傾けたに過ぎない。或いは、その声が、未知なる言語で語られたものであれ、知りうる言語であれ、永遠はそこらじゅうで声を発している。譲るか譲らないかその一点で決まるのだ。透過する針の音ーその尾を、掴み離さないこと。

主人公不在の、脇役ばかりの物語である。
それは皿の上にのった動物の骨のようなもの。或いは、
空瓶の底にたまる滴でグラスを満たすおもてなし。
つまり、過程が大切なんだな。あくまでイメージ、
その範疇内で語られるべき事柄。いかにして君が、
かがり火に照らされたか。
ランプ、蝋燭の類いがあばら骨の中にしまわれていたとは。
「独特の奏法」
真似できない弾き方だという。
あらゆる風が、
あらゆる窓を打つというのに。
波が砂をさらい、
砂もまた水をさらう。
花びらは私を誘い
音楽は香りとともに消えゆくのだろう
毎晩 クローゼットの中で闇が深まる
情欲とは無関係に物音もある 人のうねり
床に散乱する空き瓶 発せられた酒の臭気
開かれたままの本にできた煙草の焦げ跡 それが今日
「夢」
寝返りを打つ。すると、たった今観たばかりの映画が再び始まったと思った。
眠りにつく前に飲んだせいか。起きたからか。
たった一つの真実のために、五万匹の言語が食い殺される。
舌先に残る血や肉、その匂いも。地面に転がる
固い骨、その小ささといったらもう。砂漠から
月を見上げる沈黙に等しいのだ。

一つの真実のために、五万匹の言語が食い殺された。
舌先に残る血や肉、その匂い。
地面に転がる固い骨、小ささーといったらもう。
砂漠から月を見上げる沈黙に等しい。

咲き誇る花々の香りが
時を止めるその誘惑を誘おうにも
楽園と呼ぶには程遠いもの

墓石に供えられた花が
次々に枯れていく―香りはどこに消えた?
風は答えずに花弁を散らし
フェンスにゴミを溜める有様。
しかしそれと記憶にどんな差がある?
ペンギンの足音、熱。
つららのようなクチバシで魚を咥える。
内臓は冷凍庫ではないが、かろうじて真空圏内。
地層は厚さ五千メートルにも及ぶ。とはいえ、
積帝雲には適わない。

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