松山千春の会＋心を癒す歌と音楽コミュのなぜ松山千春か？　　　　　　　　　　　櫻井智志

なぜ松山千春か？
　　　　　　　　　　　櫻井智志

北海道の道東に近い足寄町に生まれた千春。
私の亡父も近くの女満別小学校で仕事をしていたので、北海道にもともと私は親近感があった。
デビューまでの自伝『足寄より』を読むと、社会党支部長をつとめて「十勝新聞」をひとりで作り続けた父親。極貧のために土方作業でほとんど家にいなかった母親。
弟さんは釧路教育大学（北海道教育大学釧路分校）を出ている。たまたま職場で昔に私は弟さんと同じ大学の卒業のかたからいろいろ教えてもらったことがある。
千春をきくきっかけとなったのは、「夜明け」。
そして千春が岡林信康が足寄公民館にコンサートにきたとき、チケット代もなく隙間から聞き入って岡林さんのファンになったのが小六ということを知った。
デビュー後、私は「松山千春を見守る会」の会員だった。
けれど、千春が足寄高校の先輩で自民党中川一郎代議士の秘書だった鈴木宗男に心酔して、しだいに「体制派」に変貌するときフアンクラブをやめた。
鈴木宗男が自民党から追放された時に、千春が予想外の選択をする。自民党を批判して鈴木宗男をフォローし続ける。
足寄高校を卒業して、家のことを考え千春は大学には行かなかった。郷土を愛して、郷土のひとびとを大切にした。
新党大地が、鈴木宗男が安倍政権に接近して、なんらかの交換条件をつけて、北海道五区補欠選挙に自民党を支持する側に回った。松山千春がどうかはわからない。
私はデビュー前後の千春に共感して応援してきた。
千春が中井喜一と共演して東映の暴力団映画に準主役として出た時には映画館に行って見た。
千春が暴力団の新年会で歌った記事を見た。千春はいくつかのラジオＤＪをおろされた。ニッポン放送のずっと聴いていた番組もなくなった。
私は千春のシングルやアルバムも買い続けた。
いまの千春はずいぶん変わったが、それでも人間味のある性格をいやだとは思わない。
千春の政治観とは距離があるが、表現として歌を続けることに
嫌悪感はない。
鈴木宗男が収監されて新党大地が議員がいなくなるとき、千春は政治家入りを真剣に考えた。娘さんが泣いて反対した。
千春は鈴木宗男さんのお嬢さん鈴木貴子さんの当選のために応援に回った。
保守とか革新とか、言うまえに、その人物の人間性やアイディンティティ（自己同一性・自己証明）を先に見る。そう考えていた私は全く思いもかけぬところで、沖縄県で自民党幹事長や那覇市長を歴任された翁長雄志知事が最新の著作『戦う民意』で同じことを書いておられる言葉にであった。
千春が政治家となったら、保守政治家になるだろうが、間違いなく安倍晋三や麻生・・太郎のような政治家とは対極の政治家だろう。
私が好きな歌手はと問われ、千春の名前をあげると不信感をもつかたもいる。それで、深夜のいまこうして書いている。いわばこの下にある一時間以上のライブの音源の解説のようなものかもしれない。
「ふたたび歌え」で長崎造船の共産党員像を描き、百合子・多喜二賞をうけた佐世保の中里貴昭さんは、共産党と当時の民主文学同盟（今の民主文学の会）にいたが、ふるさとに根ざす千春を著作で賞賛したことがある。中里さんは葦牙の会で一貫して文学を続けているが、実直な誠実な人間と思う。
フアンになると、周囲から見ると過剰な思い入れをしている姿が見えると思うが、いまの私は決して神格化はしていない。千春の歌が好きだということをくり返し述べているに過ぎない。
夜も丑三つ時にあと十分。ここらでこの駄文を終える。