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ニューロエシックスコミュのブレント・ガーランド編『脳科学と倫理と法―神経倫理学入門』

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脳科学と倫理と法
神経倫理学入門
NEUROSCINCE AND THE LAW
編 ブレント・ガーランド
訳者 古谷和仁
訳者 久村典子
本書は、神経科学の発展が倫理および法の枠組みに及ぼしうる影響について複数分野の専門家を集めて議論した、米国科学振興協会(AAAS)主催の研究会をもとに編まれた。神経倫理学という新しい分野の最初期の議論を跡付ける報告書として、今後の研究に多くの糸口を提供するものである。
研究会の議論のベースとなった4報の論文(第II部)は、専門的観点から問題提起するとともに、異なる専門分野間の焦点や見解の違いを例示している。5章では神経科学者が、自由意思・法における人格・責任の概念を科学が揺るがしうるかについて論じる。6章の前半では同じ命題が、法哲学の専門家によって検討される。
6章後半では法制度運用の場で生じうる実際的問題が考察され、7章はそれを引き継いで、プライバシーや自由の侵害の可能性、訴訟における神経科学的証拠の採用の可能性についてより具体的な検討を加える。8章は神経科学の発展の方向と、生じうる社会的摩擦を推論的に考察している。
以上の4報と研究会の場で出された意見をふまえてまとめられた報告書を第I部として収録。議論の俎上に載った課題を概観するこの部分だけでも押さえておきたい。
この研究会が、世界の神経科学を牽引する立場にあるAAAS主催であることも念頭に置いて読むべきだろう。先駆的な試みにともなう限界は考慮したうえで、本書に提示された顧問団の認識や姿勢が、市民の目に頼もしいと映るか、否か。いずれにしろ今後ますます、より多角的で濃密な、学際的対話が必要であることは明らかだ。
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「脳科学と倫理と法」の著訳者:ブレント・ガーランド
Brent Garland
M.S., J.D. 米国科学振興協会(AAAS)の「科学における自由、責任、法律に関する行動計画」(科学、倫理、法律に関係する諸計画の推進および管理を担当する部門)で次席責任者。弁護士でもあり、ヴァージニア州弁護士協会において積極的に活動している。生体臨床医学、生命倫理学、生物工学といった分野を守備範囲とし、科学と法律との交点において生じる問題も多く扱う。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです(以下同じ)。
マイケル・S・ガザニガ
Michael S. Gazzaniga
Ph.D. カリフォルニア大学サンタバーバラ校心理学教授。SAGE Center for the Study of the Mindセンター長。ニューヨーク大学神経科学センター顧問。それ以前は、ダートマス大学David T. McLaughlin特別教授および認知神経科学センター長、カリフォルニア大学デーヴィス校神経科学センター長などを歴任。1998-2002年には理化学研究所のBSIアドバイザリーカウンシル委員も務めた。またジョージ・W・ブッシュ大統領の生命倫理委員会にも参加している。
メーガン・S・スティーヴン
Megan S. Steven
Ph.D. ハーバード大学医学校Beth Israel Deaco-ness Medical Centerのポスドク。オックスフォード大学医学部大学院博士課程修了。2002年、心理学を専攻、神経科学を副専攻としてダートマス大学を卒業。全米学生研究者協会ダートマス支部を創設、支部長に就任し、またニューハンプシャー州の障害を持つ中学生のための支援計画を立ち上げた。
スティーヴン・J・モース
Stephen J. Morse
J.D., Ph.D. ペンシルヴェニア大学Ferdinand Wakeman Hubbell法学教授、同大学心理学部の心理学法学教授兼任。刑法と精神衛生法とを専門とし、中でも刑法および民法における個人の責任について研究している。米国司法心理学アカデミーの特別貢献賞を受賞。ペンシルヴェニア大学に着任する前は南カリフォルニア大学に長く在籍し、法学、精神医学、行動科学に関するOrrin B. Evans講座教授を務めた。
ヘンリー・T・グリーリー
Henry T. Greely
J.D. スタンフォード大学法学部のDeane F. and Kate Edelman Johnson講座教授、同大学の遺伝学特別教授兼任。保健法や保健政策、また生命科学の発展に起因する法的、社会的問題を専門とする。「カリフォルニア州ヒトクローン助言委員会」の委員であり、スタンフォード大学生命医学倫理センター運営委員長。「ヒトゲノム多様性計画」北米委員会の倫理小委員会委員長も務めた。米国控訴裁判所や米国最高裁判所の裁判官の補佐官を務めた経験もある。
ローレンス・R・タンクレディ
Laurence R. Tancredi
M.D., J.D. ニューヨーク大学医学部臨床精神医学教授。またニューヨーク市の開業医でもある。以前はテキサス大学ヒューストン健康科学センターで医学と法律に関するKraft Eidman講座教授と精神医学教授とを務め、法律、倫理、精神医学を扱った記事や書籍を多数執筆している。米国自殺予防財団の科学助言委員会に参加し、「法律と精神衛生に関する国際アカデミー」の理事でもある。
マーク・S・フランケル
Mark S. Frankel
Ph.D. 米国科学振興協会(AAAS)の「科学における自由、責任、法律に関する行動計画」責任者。AAASにおいて、科学に関する不正行為、裁判における科学的知識の利用、遺伝学の発展が政策に与える影響、といった事業分野において指揮を執ってきた。またAAASと米国弁護士協会との合同委員会である全米弁護士科学者会議において役員を10年以上務めている。
古谷和仁
ふるや・かずひと
翻訳家。東京大学工学部建築学科卒。東京大学大学院修士課程修了・博士課程単位取得退学。訳書に、ブルース・カミングス『北朝鮮とアメリカ確執の半世紀』(共訳、明石書店、2004)、マーク・カプリオ『アメリカの対日占領政策とその影響』(共訳、明石書店、2004)ほか。理系と文系の真ん中を歩く。
久村典子
ひさむら・のりこ
翻訳家。訳書に。、ピーター・バラム『料理のわざを科学する――キッチンは実験室』(共訳、丸善、2003)、アーサー・グリーンバーグ『痛快 化学史』(共訳、朝倉書店、2006)ほか。
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目次
刊行に寄せて   マーク・S・フランケル
謝辞   ブレント・ガーランド
    
第I部 問題のありか  ブレント・ガーランド
はじめに
第一章 脳機能計測と画像化
第二章 脳機能の操作
第三章 法律的諸問題の検討
第四章 将来的方向性
まとめ

第II部 専門論文
第五章 二十一世紀における自由意思
──神経科学と法律に関する一考察
  マイケル・S・ガザニガ、メーガン・S・スティーヴン
自由意思についての哲学的見方
自由意思の存在をめぐる神経科学的議論
決定論的世界における自由意思の存在
自動的な脳と解釈的な精神
要約
謝辞

第六章 新しい神経科学、旧知の問題
  スティーヴン・J・モース・D
法における人の概念
法における責任の概念
人間性と責任に対する神経科学からの疑義
決定論の挑戦
責任に関する判断基準
インフォームド・コンセント
既存の法理論の見直し
市民の自由に対する脅威──プライバシー、予測、治療
正常な認知機能に対する増進操作
神経科学的証拠の許容性
結論

第七章 予測、訴訟、プライバシー、知的財産
──神経科学の発展が法律および社会に与える影響
  ヘンリー・T・グリーリー 
神経科学的予測の可能性と問題
訴訟における神経科学の使用
守秘義務とプライバシー
特許
結論

第八章 神経科学の将来と法
  ローレンス・R・タンクレディ
脳死
認知と法的責任能力
認知機能をふつう以上に高める
神経科学を利用した嘘発見器
神経科学情報濫用の可能性

用語解説
訳者あとがき
索引

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