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オーストリア学派コミュの“Qui bono ? ”という視点がない現代経済学

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マレー・ロスバードというアメリカのリバータリアン経済学者の本に、仰天するようなことが書いてありました。ロスバードは、ハイエクやフォン・ミーゼスのような「オーストリア学派」の流れをくむ経済学者で、ミーゼスは直接の師匠に当たります。

それで、ロスバードは、同じくオーストリア学派に近い、シカゴ経済学派や公共選択論のヴァージニア学派ともだいぶ違うんです。

ロスバードは現代の「計量経済学」(cliometrics)を片手落ちだとして激しく批判します。現代経済学は、実証主義的であるという批判です。実証主義的(positivist)とはこの場合は、「自分の経済理論を実際の歴史上のイベントに当てはめて、『ほーら、俺の理論は正しかっただろう』と自慢する」立場のことです。つまり、実際の歴史や社会環境を、実験場と見なす立場ですな。

計量経済学に何が足りないのか。それは、数字では計ることのできない、「人間の動機」の”理解”であるといいます。オーストリア学派にとっては、経済学というのはもっと広い人間行動学(パレクシオロジー)の一部にすぎず、統計的なデータをいじくっているだけでは不十分で不完全だというのですな。

だから、ロスバードの師匠のフォン・ミーゼスは、人間行動の原理を理解することが必要であると考えており、それを『ヒューマン・アクション』という著作にまとめたようです。人間行動学とにたような言葉でミーゼスは、サイモロジー(thymology)という言葉を造語していますが、これも定義が難しいですが、「人間が経験値で理解した人間行動の法則とか、歴史学者が歴史を研究した結果蓄積された、歴史上の人物の行動データの蓄積」というような意味であるようです。(辞書にも載っていないので適当な推測ですが・・・)

しかし、延々とロスバードの著作、『A HIstory of Money and Banking in the United States 』でこの人間行動学とサイモロジーの話が書かれているのですが、

要は彼の言いたいことは、「統計的分析もむろん、必要だが、もっと大事なのは、ある歴史的事象やイベントがあったとして、それを後付の理屈で説明するのではなく、その出来事を起こそうとしたアクターの動機(motivation)の分析が必要だぜ」ということのようです。

つまり、オッカムのカミソリ的に端的に一言で言うと、今の経済学には「Qui bono」の視点が無いんじゃねーの、と言っているわけですな。

このQui bonoというのはラテン語で英語ではwho benefits?と訳されます。「その事件で一番得をした奴は誰だ?」ということです。「その事件で一番儲かった奴こそが真の犯人だ」というのです。これを社会経済学の分析の手法として、援用すべきであると本気でロスバードは言っているのです。いやあ、ブッたまげました。一歩間違えば「陰謀論」です。

単純なことにこそ、真実はある。これぞ神髄。今たまたま読んでいた、さわかみファンドの沢上篤人氏の「図解 長期投資学」(講談社)にも、「経済は自分に損か得かで判断すると俄然分りやすくなる。数字なんて物差しみたいなもので、どのくらい損か得かを教えてくれるものだ」と書かれありましたが、ロスバードの「Qui bono」論と共通しているように思います。

以前から「合理的選択論」(ヴァージニア学派)は裏を返せば陰謀論ではないか?と思っていたのですが、ヴァージニア学派を裏返したのが、オーストリア学派であると言うことのようです。やっぱり私の思ったとおりでした。

要するに、本当の秘密を暴く、「暴き系」だと、権力者から仕事もお金も貰えないので、真の権力者に害のない程度に「官僚制度」を批判しておけばいいや、というのが、ヴァージニア学派だったんでしょうなあ。一部は正しいけど、重要な部分を言ってないというわけです。

それで、ロスバードは、この「Qui bono」的な視点を持たない学者を、Court Intellectuals(御用学者)と批判しております。彼らは、真の支配階級の動機を隠蔽するために、後付の理屈を考えて、それを理論にして、その理論付けが「公共善(パブリック・グッド)とか大衆の利益に適っている」ように演出すると言うわけです。この観点で、フリードマンも批判されています。

要するに、計量経済学というのは一種の「煙幕」(smokescreen)なんですよ。

例えば、彼は「マーシャル・プラン」について説明します。

表の目的:反共の防波堤構築、西欧の人を飢えさせないための方策(煙幕)
裏の(本当の目的):アメリカの輸出産業の援助・補助金政策(真相)

同じような観点で、「1907年恐慌への反動」としての連邦準備法制定というフリードマンのロジックを批判します。「フリードマンも全然間違っている訳じゃないけどさあ、モルガンとかロックフェラーの動機について書いて無いじゃねえか」というわけです。

このオーストリア学派(=裏の合理的選択論)の考えに私はどうも一番近いようです。

【参考】
http://amesei.exblog.jp/pg/blog.asp?dif=m&acv=2006-07-01&nid=amesei

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