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妄想空間 -for Reina-コミュの【Detective Syndrome】開幕

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ミ―ンミンミンミ――――………

「う〜、今日も暑いわね〜……」
 都会の高層ビルが織りなすクレヴァスの底に差し込む太陽は、容赦なく人々の肌を焼いている。
 八月半ば、東京は真夏日がここ二週間ほど続いており、秋田では今年も最高気温を更新したと朝のニュ―スで報道されていた。その上セミもここぞとばかりに愛の旋律を奏でている事が一層暑く感じる所以かもしれない。
 街を行き交う人々も滴る汗を拭っている者や、日傘を差して日光を避けている者もいるが、アスファルトからわき上がる熱気の所為で効果はまるでなさそうだ。

 ――急いで事務所に行こう。そう思ったが、急ぐとさらに汗をかくので諦めて灼熱の中歩いている。
「―――っと、ここで曲がるのでしたか…」
 曲がる場所を間違えそうになる。これはいつものことだ。
 同じ景色が続くこのオフィス街は、頻繁に道を間違える。この地に腰を据えて既に一年半は経つが、未だに道を間違えてしまう。

 さて、少し急がないと時間に遅れるかな…と思って足を早めようとするが
 ―――ガタッ!
「っ!」
 突然脇にあったゴミ箱が大きな音を立てて倒れる。
 ――息を飲み込む…が、
「にゃ〜ぉ」
 ―――ホッ、猫でしたか…
 灼熱地獄の大通りとは異なり、この路地は薄暗く肌寒い。人が行き倒れになっていることもよくある。今回のようなことも稀ではない。一度脱水症状になっていた人を助けたこともある。

 そうこうしているうちに一つのビルの前に到着した。
 入り口が大通りには無いビルで、怪しい雰囲気がにじみ出ているが、賃貸料の関係上仕方がない。というか、ここに入口があって、よく依頼者は来るものだといつも思う。
 このビルの四階の一角にある一室――ここが、私が所長を務めている”峰岸総合探偵事務所”だ。目の前の扉に申し訳程度に掲げられているが、若干字が剥げかけている。…そろそろ修理を頼まないといけないかしら…。
 今日も頑張ろう――と、意気込みつつドアを開けようとしたが、その手は途中で止まってしまった。

「いやはや、今日も暑いですなぁ〜所長殿!おはようございます!」
 …耳鳴りがする。声が大きい……
 後ろを振り返る。…ああ、やっぱり。
オ―ルバックの髪型にサングラス、あごひげは立派に生え揃っている。大きな図体に背広のボタンが閉められるかも判らない大きなお腹。別に妊娠しているわけではない。そのお腹にあるものは生命ではなく脂肪の固まり。相変わらずの格好ね…
「あのですね、香折さん?ここはあまり大きな声で話してはダメだと…」
 と小声で話すように催促してみるが、
「挨拶は元気が一番!所長殿も元気よくいきましょうぞ!ハッハッハ…」
 ――いつもの事ながら馬の耳に念仏ですね…
 彼の名は香折徹也(かおりてつや)と言い、私の事務所で助手として働いている。一見するとヤクザの幹部に見えるが、至って気さくなおじさんである。そのうえ子煩悩で愛妻家、奥さんと子どもには頭が上がらないという。――人は外見で判断してはいけないと言いますが…
「…とにかく、早く中に入りましょう。ここは薄暗くて適わないわ」
 と、香折を促しながらドアを開ける。


 中から涼しい風が吹いてくる。今日も早く来ていたのね。
「あ、おはようございます、みう所長♪」
 機嫌良くでそう挨拶する彼女は一ノ瀬恵(いちのせめぐみ)といい、彼女は私の秘書として働いている。童顔で非常に幼く見えるが(体系的にも)、実は私よりかなり年上だったりする。正直私も年齢を聞いたときは耳を疑ったものだ。
「ええ、恵さんおはようございます。…にしても寒くない?この部屋…」
 入ったときから思っていた。ここは北極ですか?と。非常に寒い。外が暑いせいかなのか、私が薄着なのかは判らないけどとにかく寒い。
 私が訊ねると恵は微笑みながら
「えへへ―、涼しいでしょう♪なんと、冷房を16度に設定してガンガンに冷やしているですよぉ〜♪」
 …あきれて言葉が出ない。そりゃ寒いわよ…よく見ると恵、長袖の服を着ているじゃないの…
「・・・一ノ瀬さん、今の世の中エコだのネコだのと、夏の冷房は28度に設定するようにと言っているのですよ。25度くらいならまだ判りますが16度はいくらなんでも下げすぎでしょう?」
 香折さんナイスツッコミです!しかし恵は
「ネコですかぁ〜?ネコさんかわいいよね〜、ネコさん、ネコさん♪」
 ――はぁ…
 香折と二人顔を見合わせて溜息をつく。相変わらずの天然ぶりにはどう対処すればいいのか未だに判らない。
 とりあえずエアコンの設定温度を25度に上げる。恵が文句を垂れているが、こんな寒い中で仕事は出来ないし、風邪を引いてしまう。そう説明すると恵もなんとか折れてくれた。


 色々あったが、今は9時54分。私の事務所は始業時間が10時なのだが…
「いやぁ、いつもの事ながら遅いですねぇ」
「そうですね―、また寝坊かしら、うふふっ」
 ――二人が話しているのは、ここに勤める3人の助手のうちの一人、小林成朗(こばやしまさお)のことだろう。彼は会計担当で、非常に有能…なのだが、遅刻が多いという弱点がある。相変わらず彼女と楽しんでいるのだろうが、仕事には遅れないで欲しい。

 ちゃらら〜〜ん♪ちゃらららら〜ら〜♪
 始まりを告げる『トッカ―タとフ―ガ ニ短調』。センスが悪いとみんなから言われているが、私は気に入っている。そういえば彼氏からも『お前の選曲センスだけは理解できない』と言われていたっけ。
「ちゃらり〜♪○から牛乳〜♪」
 ……恵がまた替え歌を…しかも卑猥に変えているし…
「あのねぇ恵さん…だからその替え歌にしn」
 バタ―ンッ!
「はぁ…はぁ……、すんません、遅れましたっ!!」
 恵を注意しようとしているのに空気読んで欲しいわ…。この人が小林成朗。相変わらずネクタイが曲がっている。シャツも出ている。もう少しゆっくり来ればいいのに。
「とにかく、恵さんはその替え歌辞めてくださいね。それと…小林くん?」
 あ、香折さんが笑っている。恵は…ちょっとしょげているかな。いつものことだから大丈夫でしょう。
「う〜…、すみません…」
 もう何言われるか判っているみたいね。毎回のことだから当然か。
「貴方、4月に入ってから何回遅刻していると思っています…?もう34回目ですよ!?普通の会社なら首ですよ、首!リストラですよ!」
「も、申し訳ありません…次は気をつけます…」
「次は、っていって遅刻がなくなった事があるのかしら…?まぁ、いいわ。次遅刻したら何か考えておきます。」
 といいつつ口元をニヤリと歪めてみる。
「あ―、麻生総理の口だ―!閣下、閣下♪」
 …恵がまた何か言っていますが気にしないでおこう。
 成朗はビクッとしていたが、もう一度謝ってから自分の席に戻った。
 さて、今日はどんな事件が舞い込んでくるのかしら。大きな事件が来たことはあまりないけど…たまにはド―ンと来てくれないかしら…




(TO BE CONTINUED...)

コメント(7)

開幕更新終了です。


なお、作中に出てくる『トッカ―タとフ―ガ ニ短調』については下記URL参照です。(※要ニコニコアカウント)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm545380
香折=ダイスケ
一之瀬=エリカ
小林=マックス
みう=アリン

異論は受け付ける!(笑)
>るー
マックスねーわwww

私的には
みう=エリカ=私の嫁
恵=…いないかな?こう、デロデレキャラを…(笑)
香折=本当にダイスケです本当にあ(ry
小林=ケン

ぱにゃはイメージして書いてなかったわw

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