THE　感動する話コミュの白い運動靴

微妙さんのホームページより転載（許可を得ています）

結婚の決まった娘さんのお父さんは義足をつけていました。
娘の結婚式では手をとって娘と一緒に式場に入りたいと思いそれまではしなかった歩く練習を始めます。

しかし娘さんはお父さんのそんな姿を婚約者に見せるのは嫌でした。

結婚式が近付くと、お父さんの練習はより熱心になり土日はいつもどこかに行って練習していました。

どこかに行く様になってからお父さんはそれまでの礼服に合う革靴ではなく真っ白な運動靴を履いて出掛ける様になりました。

お父さんは律義な人で歩く練習の際も礼服を着て行ってたので真っ白な運動靴は見た目おかしかったので娘さんの目には『やめて欲しい物』に写りました。

『結婚式でお父さんが転んだらどうしよう…、婚約者の家族はどう思うだろう…』

娘さんは婚約者にも婚約者の家族にもお父さんの足の事は伝えていませんでした。

式の当日、練習の成果もありお父さんは違和感なく歩く事が出来ました。

ただ足元は真っ白な運動靴です。娘さんは内心婚約者の家族に常識がない父親に思われないか不安でした。

しかし不思議な事に何も言われませんでした。

8年後、お父さんが危篤になったと連絡を受け娘さんは病院に駆けつけます。
お父さんは娘の手を取りながら

『おまえは夫を大切にしなさい。お父さんは結婚式で式場に手をとって入る自信はなかった。
でもおまえの夫が最初のあいさつの時に足の事に気付いてくれて、結婚の話が決まった時におまえに内緒で一緒に練習しましょうと言ってくれた。

倒れたら危ないからと真っ白な運動靴も色んな底の物を5種類も買ってくれて。

本番は革靴でと思っていたが、そうすると式の事よりお父さんの足の方が心配で式が出来ないのでお願いだから白い運動靴で歩いて欲しいと言われた。教会や家族には僕が話すからと。

あれは良い息子だ。おまえの夫だがまぎれもない私の息子だ。息子に会いたかった』

と言って息を引き取りました。

娘さんは胸がいっぱいになり自分の考えの小ささが恥ずかしくなりました。

しばらくして夫が病院に着き、言葉全てを夫に伝えると夫は泣き崩れました。