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THE 感動する話コミュの夢のわたがし

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これは趣味で短編書いてます。
その作品を乗せます。

「お父さん…わたがし、わたがし。」

そう言って娘は空の雲をさしていた。
この子は本当に雲が好きなんだな。
と言っても、わたがしと勘違いしてるんだろうけど。妻はすでに亡く、私は娘と2人で暮らしていた。
お世辞にも裕福ではないけど、でも幸せを感じてる。ただ娘にもう少し良いもの栄養つくもんを食べさせてあげたいんだけど、
ギリギリの生活で。
私のぶんを少し削って、娘にあげるのが精一杯。
それでもきっと足りないんだろうけど、娘は文句も言わずにいつも笑っている。
そんなある日娘は体調を崩してしまった。
熱もあって、病院につれていきたくても、連れてくお金がない。
せめて何か美味しいもんだけど食べさせてあげたい。
この子に苦労ばかりかけて、何も楽しみをさせてあげれなかった。

それから数日、近所で祭りがあった。
娘は朝から行きたいと行った。
今まで何も言わなかった子が。
少し熱も下がって元気そうだったので、せめて楽しみくらいと思い、祭りへ連れていった。
そこで娘が、
「わたがし、わたがし」

と言った。
本物を、食べさせてあげたい。
これくらいのことなら、叶えてあげたい。
そう思って、わたがしを買った。
娘は嬉しそうに食べた。
「お父さんありがとー。」

娘は満面の笑顔だった。
やっと楽しい思い出ができて良かった。
そう思った。
家に帰ると娘は何かを書いていた。
何を書いてるの?
と聞くと慌てて隠した。
「見ちゃダメ…内緒」

と言われて、そっとしておいた。

その日は疲れたので早く寝ることにした。

次のひ、起きて娘を起こすが、起きない。

よっぽど疲れたんだろうと思い、そのまま寝かした。
お昼すぎになっても起きない。
さすがに異変に気付き、何度も呼びかけた。
それでも起きない。
結局そのまま二度と起きることはなかった。

なんで、借金してでも病院に連れていってあげなかったんだ。
医者に土下座してでも、
自分の食べ物犠牲にしてでも、
もっと早く異変に気付いていれば、
後悔ばかりがよぎる。
祭りへ行かず休ませてあげれば良かった。
ゴメンね…きっとお父さんの子供に生まれて不幸だったよね…
きっと恨んでるよね…
ゴメンねですまないかもだけど…ゴメンねしか言えない。
ずっとそれから後悔ばかりして時間ばかりすぎた…
一つ思い出したことがある。
娘は最後の夜に何を書いてたのか。
せめて形見にしよう。
そう思って、書いてる紙を置いてある場所にいき…読んでみた。


大好きなお父さんへ

私はお父さんと一緒で幸せです。
いつもお父さんのぶんも、食べちゃってゴメンね…
私、食いしん坊だね…。
お祭り楽しかった。
わたがしおいしかった。
とっても甘くて。
お父さんに肩車してもらって、ちょっとだけ空のわたがしに近づけたよ。
でも祭りの時は見えなかったよ…。
私ね…もうすぐ空のわたがしに乗れる気がするんだ。そうしたら、いつものお返しに、空からお父さんにいっぱいわたがしを落としてあげるね…
お腹いっぱい食べれるね。空のわたがしは、私とお父さんの夢のわたがしだね。
それを読んで泣くしかできなかった。
お父さん…ずっと夢のわたがし降ってくるの待ってるからね。

おしまい

コメント(4)

>>[001] ありがとうございます。他の短編ものせてくね。
日記にもありますほっとした顔
切なさと 悔しさ 素晴らしい父娘と複雑な気持ち涙
雲見ると思い出すね

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