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THE 感動する話コミュのルパン三世カリオストロの城〜幸せを訪ねて〜

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※二次創作ですルパン三世のイメージが崩れる危険があります。

それでも良い方はどうぞ。







……埃臭く薄暗い本屋に身を寄せ

……深く目を閉じると脳裏に浮かぶあの日の情景…





正妻をほったらかしにして女遊びに酒飲みの遊び人といったロクデモナイ
俺の親父が建国したドロボーの帝国、その名もルパン帝国は栄華を極めたがクーデターで親父とともに灰となって綺麗に消えちまった


一面に広がる焼け野原を背にガキだった俺は一夜にして宿無しの一文なし

ロクデモナイ親父が着ていた緑のジャケットを手に。

不安はある。心の痛みもある。

でもそれは、あくまでルパンじゃない人間の感情だ。

俺は、財産、国、親父、母さん…を焼いた火を見て至って冷静だ。


今まで培ってきた生活にもう興味もない


ただ揺れる炎とともにそこにいる。


風が吹けば消えてしまうと思えるほど自分が生きているなんて、実感できないまま…

だが幸いにも爺さんが残した盗術という財産があった俺はそいつを足掛かりに好きに生きて帝国なんてちっぽけなモンに縛られることなく生きよう……

そう思った



そう…


思うことにした。



月日は流れ

形見のジャケットを着た俺は毎日派手に盗みを重ね

ロクデモナイ親父をなぞるように女やカジノといった遊び人をしてロクデナシになってた


そんな時


風の噂を聞いた


カリオストロの城にはとてつもない財産や秘密があって盗みに入って帰ってきた俺みたいな同業者はいないってことを。


俺の爺さんがカリオストロ伯爵夫人との血縁関係ということを酒の入った当人に耳ダコが出来るほど言われていたことを思い出した俺は

何か運命的なものを感じていたし、調子にも乗ってた

暗闇に紛れて厳重なお城に入れば怖ぁ〜い英士隊だ鬼の形相した現伯爵に追いかけ回されて

逃げる途中、背中に痛覚が走る

深傷を負っちまった

やっとこさで海岸に上がり体を引き摺って息が続かなくなり木にもたれたまま動けなくなった

同時に酷く喉が渇いた

年代物のワインなんて上等じゃなくてもいいクラブの安酒でもいいから喉を潤したくてたまらない…

初めてヘマをしたことに悔しがるわけでもなく、自分を責めるわけでもない…

どうしようもなく

俺はロクデナシ…



……ワン!ワン!ワン!


犬の鳴き声が響く


重い視界に一人の少女が映る


怯えた様子で俺を見ている

彼女から見れば怪我をした異国の見知らぬ大人がいることはさぞ怖いだろう…。


その子はそのまま何処へと駆けてゆく


俺は年貢の納め時だと悟った


少なからず少女は大人に俺のことを言い、大人はカリオストロから既に配られただろう手配書から通報する

そして、俺は良くて死ぬまで強制労働か最悪極刑であの世行きが関の山か…。









つづく…。

コメント(1)

でも意外な結末が俺を待っていた



「あの…お水……」

戻ってきた少女が

震えた手で差し出されたコップ一杯の水

今まで高級な酒を盗んだ金で飲んできたが、これはそれにも勝り無償でどこにでもあって俺には到底手にできない優しい味だった


ふと彼女の手を見るとカリオストロの紋章が入った指輪が光っていた




こそ泥の俺と人に無償の優しさを与える名も知らないカリオストロのお姫様


それは正に光と闇




同族であろうと決して相容れちゃいけない…

俺は静かに立ち上がる

「水旨かったぜ…あばよ」


「おじ様、動いちゃ!?、怪我をしてるのに…!」


「おじさんは怖い怖いドロボーだよ?そんな人を心配するもんじゃない」


「ドロボー…」


ドロボーという言葉に彼女の青い瞳が小さく収縮する

…そう、相容れちゃいけない。俺は昔から在っちゃいけないままだ。

俺はドロボーの宿命か、その子が通報しないうちに一歩一歩重い足を踏み出す


「ドロボーさんでも人です痛いことや悲しいこと楽しいことを感じるはずです…だから私も貴方も何ら変わりない!」


背中越しに彼女の透き通る声が響いた



俺は歩みを止める


「もし、おじさんが君の大切な物を盗むとしたら?例えばその指輪とか」


「この指輪が欲しければ差し上げます。でもその代わり、これ以上罪を重ねないで下さい。」


「そいつは難しいなぁ、おじさんの本業はドロボーだからな。」

「……」


「でも、ドロボーにはドロボーの恩ってものがある!よし!決めた!何か君が困ったことになったらおじさんは世界の裏でも飛んで来て君を助けよう!幸せを訪ねて」


俺は彼女に向き直って視線を合わせると小さな小指に指切りをする


「……?」


「それに俺は君に大切な物を盗まれちまったからな!」

「ぇ、わたしが…?」」

「いや、良いんドロボーの独り言だと思って聞き流してくれ!あばよ!」


俺は首を傾げた彼女のよそに軽くなった足取りでその場を後にした。


青い空の下、カリオストロ公国でのとても清々しい気分だった。



それから何年経って


カリオストロ公国に伯爵の不穏な動きを知り

かつてのルパン帝国の悲劇を阻止、幸せを訪ねて俺がクラリスと再会するのはまた別の話……。








…不意に目を開けると次元が書店に顔を出した



ヤスオは…



新しいルパンは


奴が担っていくだろう…


まぁ、俺も隠居には早いっちゃ早いけどもな!








おわり

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