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野田正彰コミュのレオとの別れ

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11月25日(金)
今日の視角 レオとの別れ

▼十一月一日夜、家へ帰ると、レオが息を止めた直後だった。妻がレオを抱いて泣いていた。しばらく胸を押して人工呼吸をするが、勿論もどらない。聴診器にも心音はない。ただいつものレオの温もり、柔らかい毛の肌触りが残るのみ。安らかな顔は半眼を開けて、静止している。

▼美しく生きた十七年半だった。断片的に浮かんでくる思い出を重ねながら、チャウチャウ犬のレオをなでる。体は温かいのに、手先は冷たい。二週間ほど前から、炎症であんなに熱かった掌が冷たくなっていた。循環不全になっていたのであろう。

▼三年前、悲痛な声をあげてたおれた。あきらめきれず巡った三軒の獣医ともに、「もう無理でしょう」と言った。それでもあきらめられず大学時代の友人に紹介してもらい、獣医学部の内科の教授にエックス線写真と血液検査の数値を送り、脾臓の腫瘍だが手術可能との助言をいただいた。岐阜大学・獣外科学の工藤忠明教授が、脾臓摘出の手術をしてくださった。十分な医療を受けられない人も少なくないのにと、心苦しかったが、回復を祈る気持ちは抑えられなかった。

▼それから二年間、ほぼ元気にしていたが、昨年より痩せ始め肝機能も悪化した。下肢が立たなくなり、三カ月前からおむつをはずせなくなった。人間と同じく夜間譫妄になり、夜中に三度ほど手足を動かし、鳴く。支えて起こし、しばらく抱きしめていると、不安がとれ、再び眠るのだった。

レオは病気によく耐えた。私たちは二晩、レオを撫でながら通夜を過ごした。彼女が散歩していた道の花、白菊、秋明菊、秋海棠、ホオズキに似た橙色の実をつけた草花などを摘み、彼女の棺に散らした。

▼私はペットを喪った老人のうつ状態の精神療法を何度かしてきた。自分の喪失感、悲哀がどのようなものか、よくわかる。わかりながら、悲しみに浸り、やっと仕事をこなす自分を肯定している。愛する人、愛する生命と次々に別れながら、自分もまた死に近づいているのだから。

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