ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

電蓄 (for gay)コミュの夜のスイングとワイン 2012年11月08日02:21

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
部屋の整理をしていると、忘れていたモノに出くわす。ディックミネのレコードが出てきた。祖父の形見のレコードだった。
テイチクレーベル。半ば消えかけた金文字に目をやる。ほとんどは戦前のスイングジャズだ。原語の吹き込みも希にあるが大抵は翻訳詞のものか、翻訳の詞と原語のトリプルで録音されている。ダイナ、君微笑めば、セントルイスブルース、君いづこ、煙草の輪煙など原題は文字が小さくて読めない。幸いわが家にはSPレコードが再生できるポータブルがある。音を細めて、最近覚えたワインを舌ずみつつ暫しの時を楽しむ。ほとんどが昭和10年代の録音のものと思われる。 幼い頃、祖父は勤めから買えると客間の座敷に腹這いになり、僕を呼んだ。
祖父の背中に乗るのとレコードのかけがえが僕の日課だった。 床の間の電蓄に踏み台を置いて レコードをかけかえた。その頃の僕にとって、それは一寸した冒険だった。
レコードのかけかえは、慎重だった。エボナイト製のSPレコードは、脆く、誤って落とせば木っ端微塵に砕けてしまう。
あの頃電蓄は演奏が終わるとターンテーブルの回転が止まる仕組みになっていた。レコードの溝をかすらないようにピックアップを垂直に上げ定位置に戻す。次にピックアップの先端にあるネジの頭を緩めると針が用済みの入れ物に落ちる。隣の入れ物から新しい針を一つ取ってピックアップに差し込んでネジを戻して固定する。レコードを裏返すか、レコードケースに丁寧に戻して次のレコードを取り出してこれまた、慎重にターンテーブルに載せて ピックアップの針を盤面に近づける…すると「ゴロロロ…」待っていたようにターンテーブルが音をたてて回転する。静かにそっと針を下ろす。緊張の一瞬だ。ノイズと共に前奏が流れる。 それは感動の一瞬だった。そして踏み台から降りると祖父の背中に乗り換えだ。その繰り返しを四回ほど繰り返すと…「どれっ」と祖父は起き上がり
目を細めて満足そうに僕の頭を撫でて「ありがとう…一郎は偉いな…どれ、ご飯たべよう。」電蓄の電源を落として茶の間へ。茶の間には、すでに祖母の用意した夕食が並んでいた。 母親も勤めから戻ってきた。
父親の泊まりの日はこんな夕げだった。祖父の笑顔、今、考えれば些細なことだけど、その頃の僕は何か大きな達成感のようなものを感じていたように思う。
……演奏が終わったようだ…「シャーシャー…」ノイズと共にピックアップの頭が左右に振っている。
数曲聴いた。
ワイン二杯は飲みすぎたな…今日はお開き。 書斎に戻ろう。
居眠りしませんように…

コメント(3)

>>[1]
いえいえ、素敵なエピソードですね(^^)
レコードって、ただ音楽を鳴らすだけでなく、それまでのプロセスと演奏が終わった後の空気の感じがいいんですよね。これはCDでは残念ながら味わえない。生演奏を見に行ったときの緊張感にも少し似ているような気がします
僕も、実家の倉庫に眠っているディック・ミネの「暗い日曜日」のSP盤を取りに行こうかな?
子供のころに好きだったのはその裏面の「リラの花咲く頃」でしたが・・・
>>[002]
リラの花咲く頃ですか、僕も好きですよ。話変わりますが、小さい頃、日記に出てくる客間でレコードやラジオを聴くときに 電蓄に向き合って背筋を伸ばして、正座するようによく注意されたのを覚えてます。歌や音楽を何かをしながら聴いてたり寝転んで聴いたりするとすごく叱られました。
あれは一体なんだったのかな?未だに謎です。
祖父母はだいぶ前に他界しているので、真相は墓の中になってしまいましたが…(*^O^*)

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

電蓄 (for gay) 更新情報

電蓄 (for gay)のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング