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食品安全情報blog mixi支局コミュのビスフェノールAに関する専門家委員会報告書

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■[NTP]ビスフェノールAに関する専門家委員会報告書
Expert Panel Report on Bisphenol A
CERHR
November 26, 2007
http://cerhr.niehs.nih.gov/chemicals/bisphenol/BPAFinalEPVF112607.pdf 
上記の報告書について、パブリックコメントを募集する官報
National Toxicology Program (NTP); Center for the Evaluation of Risks to Human Reproduction (CERHR); Announcement of the Availability of the Bisphenol A Expert Panel Report; Request for Public Comment
Federal Register / Vol. 72, No. 230 / Friday, November 30, 2007 / Notices
http://ntp.niehs.nih.gov/files/BPA_Fnl_72_FR_230.pdf
2008年1月25日まで。
報告書の最終部分
第5章 要約、結論及び必要なデータ
5.1 発生毒性
ビスフェノールA暴露がヒトの発生に与える影響についてのデータはない。齧歯類での研究は大量にあり、他の動物種でもいくつかの文献がある。膨大な実験動物での文献をレビューし、委員会が設定した基準を元にそのリスク評価への利用可能性を精査した。
齧歯類での研究から我々が結論したのは、ビスフェノールAは:
・ ラットやマウスで評価した文献の最大用量である640 mg/kg/d (ラット)及び1250 mg/kg/d (マウス)まで、奇形や出生時欠損は誘発しない。
・ 妊娠後の暴露では、ラットでは450 mg/kg bw/d、マウスでは600 mg/kg bw/d(評価した文献の最大用量)までは雌雄の生殖能力に影響しない。
・ 成熟ラットで450 mg/kg/d、マウスでは600 mg/kg/dまで前立腺重量に永続的影響はない。
・ 成熟後の暴露ではラットでは148 mg/kg/d、マウスでは600 mg/kg/dまで前立腺がんを誘発しない。
・ 約475 mg/kg/dの用量で雌雄ラットの春期発動時期を変化させない

齧歯類の研究で示唆されたのはビスフェノールAが:
・ ラットとマウスの通常の性差に関連する行動や神経系の変化を誘発する(0.01-0.2 mg/kg/d)。
結論を出すには不十分だったのはビスフェノールAが:
・ 最大475-600 mg/kg/dで雄のマウスやラットの春期発動時期を変化させる。
・ 雌のマウスで低用量(0.0024 mg/kg/d)で春期発動の時期を早める。
・ ビスフェノールAに暴露されたラットが前立腺がんになりやすい又はマウスで尿管奇形がおこりやすいかどうか。 
5.2 生殖毒性
ビスフェノールAがヒトの男女に生殖毒性があるかどうかについては評価できるデータはない。大量の実験動物でのデータが、委員会が設定した基準を元にそのリスク評価への利用可能性を評価された。ヒトへのハザードを評価するにのに適切だとみなされた動物実験のデータが利用された。
雌への影響:ラットとマウスで、亜慢性及び慢性の経口投与により生殖毒性が あることには十分な根拠があり、NOAELは47.5 mg/kg bw/day、LOAELは 475 mg/kg bw/dayである。
雄への影響:ラットとマウスで、亜慢性及び慢性の経口投与により生殖毒性があることには十分な根拠があり、NOAELは4.75 mg/kg bw/day、LOAELは 47.5 mg/kg bw/dayである。

5.3 ヒト暴露
ビスフェノールAの食品容器や歯科材料などの消費者製品用ポリカーボネートやエポキシ樹脂への使用はFDAにより認められている。ビスフェノールAから作られた製品は微量のビスフェノールAを含む。

環境暴露
ビスフェノールAは工場から排出されて大気中に高濃度に存在することはありそうにない。しかしながら屋外の空気検体の31-44%にLOD (0.9) 未満から51.5 ng/m3程度の濃度が検出されている。室内空気からは 29 ng/m3以下が検出されている。地表水は検体数が少ないが0-41%の検体から<0.1 から 12 ug/Lが検出されている。室内ダストの25-100%からは検出限界以下から17.6 μg/gのビスフェノールAが検出されている。

食品からの暴露
ヒトがビスフェノールAに最も多く暴露されるのは、ポリカーボネートの食器やエポキシ樹脂をコートした飲料容器などに直接接触した食品からである。米国でのポリカーボネート製哺乳瓶からのビスフェノールA溶出量調査では< 5 ug/Lであった。缶詰ミルクでは最大13 ug/Lで、水と混ぜて最終消費形態にした場合は6.6 ug/Lであった。米国人女性の母乳では最大6.3 ug/Lが検出されている。米国の缶詰食品のビスフェノールA濃度は39 ug/kg以下である。飲料水については検査数は少ないが検出限界以下であった。 
ヒト生体サンプル中のビスフェノールA
感受性と特異性の高い分析法(LC-MS又は GC-MS)による生体サンプルの分析は最も有用である。米国人のバイオモニタリング調査によると、米国成人の尿中遊離のビスフェノールA濃度は0.6 ug/L未満で、総ビスフェノールAは19.8 ug/L未満である。NHANES III調査による20-59才の米国人男女394人の総ビスフェノールA濃度の95パーセンタイルは5.18 ug/Lである。6-9才の少女の総ビスフェノールA濃度は< 54.3 ug/Lで、中央値は1.8-2.4 ug/Lである。血中や精液注のビスフェノールAのデータはない。羊水中総ビスフェノールA濃度は1.96 ug/L未満である。歯のシーラント由来のビスフェノールA暴露は主にビスフェノールAジメチルアクリル酸シーラントを使った場合におこるが、これは一時的で頻度も低く一般人の暴露量推定にあまり影響しない。

ビスフェノールAの摂取量推定
委員会は先の経口摂取量推定は米国人で報告された値を使用したものではなかったため、推定を行った。表104に示す。
乳児でミルクや母乳から0.001 mg/kg bw/day、食品からは乳児0.0016、成人 0.00037 -0.00048程度。
職業暴露では米国のパウダー塗料労働者が最大100 ug/kg bw/day、日本でのエポキシコーティング剤スプレー作業者の尿中代謝物測定による推定は0.043 μ g/kg bw/day (<0.002 pg から 0.45 μg/kg bw/day)。

5.4 全体的結論
専門家委員会はビスフェノールAの「低用量」文献で報告された矛盾する知見を理解し解釈する試みに相当な時間を費やした。低用量研究を行うのは、予想される影響が極僅かであることからバックグラウンドの変動と識別するのが困難であるため、挑戦的なことである。このような類の研究を行うことに固有の困難さは、ビスフェノールAの問題となっているエンドポイントが内分泌系に関わることであり、飼料中の植物エストロゲンやケージや給水ビンからのビスフェノールA暴露やモデルとした動物のエストロゲン感受性などの要因により影響を受けることからさらに困難になっている。高用量での研究では、毒性影響はより確実で変動は少ないため、このような要因による影響は少ない。委員会は必ずしも特定の影響が単純な用量反応応答を示す(例えば臓器重量が増加し続ける)ことを期待したわけではないが、多くのメンバーはビスフェノールAの高用量研究では、
再現性は報告されていないものの低用量影響があるとされた臓器でなんらかの毒性徴候(重量変化や組織学的変化)がみられることを期待した。いくつかの大規模でしっかりした研究が、複数系統のラットやマウスを用いて複数用量で行われているが、ヒトでの暴露経路に即したBPAの中用量から低用量投与による有害影響は全く見られなかった。さらにこれらの研究では前立腺重量やラットの春期発動時期の変化、あらゆる臓器での病理や腫瘍発生、生殖器の異常などは全く見られなかった。こうしたことから委員会は、標的臓器の比較を行っている研究では、低用量影響のみの研究より低用量と高用量の両方を評価している研究の方を重視した。
低用量で細胞や分子の内分泌機能に影響を与える全ての化学物質は、反応が大きくなるカスケード影響を誘発し、それは高用量では、低用量でみられたものとは違うこともあるが、明らかに有害な反応になる。こうした内分泌攪乱物質においては、低用量での影響は高用量での有害影響としばしば因果関係があるがビスフェノールAにはない。例えばテストステロンやトレンボロンのようなアンドロゲン、DESや17β-エストラジオールやエチニルエストラジオールのようなエストロゲン、メトキシクロールやゲニステインのような外来エストロゲン、ビンクロゾリンのような抗アンドロゲンなどでもそうである。従って、BPAが適切な投与経路で再現性のある有害影響を示さないということは、多くの低用量研究の確からしさの欠如(サンプルサイズ、用量の選択、統計解析、実験デザイン、GLP)や再現性のなさとともに、こうした研究の一部の信頼性に疑問を呈する。低用量影響は、ヒト健康への懸念となるためには、適切な暴露経路で、適切な実験デザインと統計解析で、高用量での有害影響と関係した形で再現されなければならない。低用量影響の再現性の無さ、低用量で影響があるとされた組織での高用量での毒性の欠如、報告された影響の有害性の不確実性から、委員会は生殖影響への懸念は「最小限minimal」と結論した。
一方 神経や行動へのビスフェノールAの影響についての文献は、「陽性」研究の間ではより一貫している。しかしながら生殖影響を評価するのに有用であった高用量影響研究は神経や行動については適切に評価しているとは言えない。
さらに異なる研究者が異なるエンドポイントを評価しているものの、委員会は全体的な知見が、ビスフェノールAが脳の神経系の変化や齧歯類の性的二型性と関連した行動変化と関連するかもしれないことを示唆している。このため委員会は、報告された影響が有害毒性影響となりうるかどうかはわからないながらも「いくらかの懸念some concern」を表明する。

懸念は米国人における一般人の暴露量推定に関連して表明されている
1. 妊娠女性と胎児 専門家委員会は、ビスフェノールAにより影響される可能性がある異なる発生上のエンドポイントについて、以下のように異なるレベルの懸念を抱いている:
・神経及び行動影響についてはいくらかの懸念があるsome。
・ 前立腺への影響については、懸念は最小限であるminimal。
・ 思春期が早く来るという影響については、懸念は最小限であるminimal。
・ 出生時欠損や奇形については懸念は無視できるnegligible。
 
2. 乳児と子どもについて 専門家委員会はビスフェノールAに影響される可能性のある生物学的過程について以下のレベルの懸念を抱いている
・神経及び行動影響についてはいくらかの懸念があるsome。
・ 思春期が早く来るという影響については、懸念は最小限であるminimal。
3. 成人 一般人のビスフェノールA暴露による有害生殖影響についての懸念は無視できる。職業上の暴露があるなどの暴露量が多い一部集団については、懸念レベルは最小限である。

5.5 必要な重大なデータ(抜粋)
1. 神経及び行動のエンドポイント
2. ヒト暴露評価
3. 成人暴露による生殖発生影響に関するヒトデータ
4. 生理的根拠のある薬物動態解析(PBPK)モデル
5. 前立腺や乳腺の発達への影響
6. 思春期の変化
7. 低用量のみの影響の生物学的メカニズム
8. 発生時暴露による尿路の形態や組織変化についての研究
9. 研究の他の実験室での再現性
10. 将来の全てのBPA研究について必須の要素
a. 適切な実験デザインと統計解析、特に同腹効果を説明するには。
b. 適切な投与経路(経口)。経口でない投与法を使う場合には、遊離のBPAの体内濃度を測定すること。
c. 低用量から高用量までの複数用量を使う。
d. 作用と有害影響の関連
e. 適切なエンドポイント、エストロゲンに仲介される生殖や行動影響については特に生物学的蓋然性のある結果を。

( 基本的にいわゆる「低用量影響」については否定した。多分vom Saalらからまたコメントが届くのであろう。5.5の10に示された項目については、この分野の研究の大きな欠陥を嘆いているもの。こんな当たり前のことも考慮しない実験が通用するのも一般人の不安を煽って生み出した研究費バブルのせいだろう。低用量影響関連論文の評価については後で詳細を説明する予定。)

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