■[COT][添加物]ある種の合成着色料と保存料の混合物の子どもの行動に与える影響を調査する研究プロジェクト(T07040)についての声明 STATEMENT ON RESEARCH PROJECT (T07040) INVESTIGATING THE EFFECT OF MIXTURES OF CERTAIN FOOD COLOURS AND A PRESERVATIVE ON BEHAVIOUR IN CHILDREN Thursday 6 September 2007 http://www.foodstandards.gov.uk/multimedia/pdfs/committee/colpreschil.pdf 1. COTはFSAより、ある種の人工食用色素と保存料である安息香酸の混合物2種類の子どもの行動への影響を調査する研究プ ロジェクトの結果を評価するよう依頼された。この研究はサウサンプトン大学の研究者により行われ、FSAが出資したものである。この研究は雑誌に投稿されCOTは論文原稿3件と研究者達が書いたコメントを評価材料として与えられた。この研究はthe Lancetに発表される。 (3歳児及び8〜9歳児における食品添加物と多動性行動:ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、クロスオーバー試験 Food additives and hyperactive behaviour in 3-year-old and 8/9-year-old children in the community: a randomised, double-blinded, placebo-controlled trial Lancet, Available online 6 September 2007, Donna McCann, et al.) 2. 謝辞(略) 背景 3. 多動Hyperactivity とは、定義はあまりはっきりしないものの多くの人が活動量が多いことを意味して使っている用語である。一部は不注意や衝動性を伴う。不注意・衝動性・多動が一緒に重度にみられると子どもの家庭生活や学校生活に支障がある行動疾患となる。この疾患は注意欠陥多動性障害(ADHD)又は多動障害(HKD)として知られている。ADHDは典型的には幼児期に発症し特定の行動パターンをとることで特徴づけられる。Swansonらによる1998年の国際研究レビューによれば就学年齢の子どもの5-10%がこの疾患であるとされる。英国では1999年の1万人調査のデータに基づき2.4%と推定されている。ADHDの原因には複数の要因が考えられており、遺伝要因と環境要因(例えば未熟児で生まれたこと、養育環境、母親の妊娠中の喫煙)の両方が関与すると報告されている。 4. COTはワイト島研究として知られる先の研究結果を検討しており、 2002年に声明を発表している。COTはこの知見については研究デザインに問題があることから知見の解釈を保留していた。COTは一部の子ども達の特定色素摂取後の行動変化は報告と一致することを指摘した。しかしながら観察された影響の臨床的意義については結論を下せなかった。プラセボ効果が大きく結果の解釈や一般化ができなかった。さらに統計学的有意差は保護者の場合にのみ報告されており客観評価では明確ではなかった。 5. その後FSAは特別ワーキンググループを作りさらなる研究について助言してきた。助言は2003年に発表され、2004年に公開競争入札で助言に従った研究が行われた。COTが評価を依頼されたのはその新しい研究の結果である。 研究デザイン 6-10 略 11. 行動については保護者による家庭での様子の評価や教師や無関係な観察者による教室での評価などを含む異なる一連の指標を用いて評価した。8/9才の子ども達についてのみ、追加でコンピューターを用いた注意力試験を行って評価した。個々の評価項目について標準化された多動行動評価ツールを用いて点数化した。保護者や教師には、個々の子どもの先の週一週間分の行動の様子を点数化してもらい、無関係な評価者には週に三回観察してもらった。それぞれの評価を子ども一人について合計して各週の全体的多動集計(GHA)スコアとした。この評価方法は、主観的評価と客観的評価の両方を組み合わせたものとしてこの研究者達が新しく作った指標である。 12-16 略 先のワイト島研究との研究デザインの違い 17. 略 18. 略 結果 19-28 略 COTによる議論 研究デザインについて 29. COTは先のワイト島研究に比べて変更されたデザインが、行動への影響の統計学的検出力を改善したことを認める。試験中毎日飲料を与えることで先のデザインで主な問題点であったプラセボ効果を概ね克服している。 30. 二つの投与混合物中の個々の添加物の用量は、この年齢集団の子ども達のこれらの添加物の摂取レベルに相当し、それぞれのADIより少ない。研究者らが一方の混合物(ミックスA)でワイト島研究に使用したのと同じ色素の組み合わせと同じ保存料用量を使用したため、先の研究との比較が可能になった。実験が行われた時点で、より普通に子ども用食品に使用されている色素と保存料からなる二つめの混合物(ミックスB)を高用量で加えたことにより、さらに研究デザインが改善されている。 31. しかしながら、COTはこの研究デザインと解析に限界があることも指摘する。飲料を投与したことによる行動変化の評価時期は、影響が長く持続するという仮定に基づいている。飲料を飲む時間は保護者向けの説明書には指示されていないため、比較的短期の影響を調べるには適切ではない。子ども達の体重を記録してもらえばより正確な投与用量評価や個々の子ども達への影響比較に役立ったであろう。予備的解析で全員にGHAを使用したことにより、行動評価の際の保護者と他のより客観的指標のどちらの寄与が大きいかを評価できなかった。洗浄期間のGHAスコアを解析すれば個人の経時変化に関する有用な情報を提供できるであろう。