しかしそれを無視してでも、このデビュー”ジャズ”アルバムは素晴らしい。 なんともメランコリックなムードで始まる一曲目『Autumn in Rome』は、これぞまるでアメリカじゃない艶っぽさの、まるで憂鬱なチェット・ベイカーを思わせる中性的な歌声と歌いぷりで、これが19才の黒人青年の歌!!と思うだけで失神寸前!一曲目で、もう、そう、(妄、想、?)なのである。。 二曲目『Easy to Love』三曲目『Street of Dereams』四曲目『Love, Your Magic Spell is Everywhere』から5曲目『Prelude to a Kiss』まで、これでもか!と軽妙で豊かで…信じられないくらい上手い!上手い上になんと感情表現の豊かな、デビュー・アルバムにして例の、ジョニー・マティスの歌!を聴かせてくれる。何のインフォメーションもなく聴くだけでも、圧倒的に上手く、魅惑的な可能性に胸膨らむ19才の新人歌手の登場である!
そんな夢から急に醒めた寂しい夜のように、Fly Me To The Moon~と歌われるお馴染みの『In Other Words』の…ああ…なんと寂しい…泣けるバラッドよ。ここにはそんな醒めてしまった儚い夢を悲しむ素直な19才の青年の蒼い想いがまっすぐ素直に歌われる。 さて、そこからは気を取り直して、かの如く再び見事なテクニシャンっぷりを聴かせる新人ヴォーカリストとしてのジョニーが登場する『Star Dust』で再び華麗な夜のショーへと導かれ、『It Might to be Spring』『Cabin in the Sky』と続くうち、ここにナット・キング・コールに続くMaleジャズ・ヴォーカルの新星登場!との確信を確かに感じさせ、最後の『Angel Eyes』の、この暗い裏道の、路地に光るその目は悪魔かはたまた天使か…などと、まるで『ウエスト・サイド・ストーリー』の一幕か?思わせて、もしやこの子はジャズならず、ブロオドウェイやポップの道にも行けるのではないか…と、そのダークなメロディの中で、より明るい未来を感じさせるエンディングがお見事!
そして、その後は誰もが知るであろう前人未到のポップの王者の道が、彼を待っているとは露知らず…?
JOHNNY MATHIS a new sound in populer music
Arranged & Conducted by Gill Evans, John Lewis, Manny Albam, Teo Macero & Bob Prince (Columbia CL-887)