『死なない頭脳 The Brain That Wouldn't Die』 公開:1962年 監督:ジョセフ・グリーン 主演:ハーブ・エヴァース、ヴァージニア・リース、レスリー・ダニエルズ、アデール・ラモント 人体実験にとりつかれたビル博士は、交通事故で死んだ婚約者・ジャンの頭部を持ち帰って蘇生させる。首だけになったジャンは死なせてと懇願するが…。人体実験で作られたモンスター人間とジャンが博士に復讐を企てる一方、当のビル博士は婚約者の頭に理想のボディを移植しようと能天気に街で女漁り、という対照が可笑しい。クレイジーでちょっとチープなSF映画。日本未公開。
『ハネムーン・キラーズ The Honeymoon Killers』 公開:1970年 監督:レナード・カッスル 主演:シャーリー・ストーラー、トニー・ロー・ビアンコ、メアリー・ジェーン・ヒグビー、ドーサ・ダックワース、ドリス・ロバーツ、マリリン・クリス オールド・ミスの看護婦・マーサは、文通欄で知り合ったラテン系色男のレイが結婚詐欺師なのを承知で、詐欺の片棒を担ぐようになる。彼らの犯行はエスカレートし…。1940年代の殺人鬼カップルの実話を基にした本作はカルト的人気を得、その強烈に一途な愛の物語にトリュフォーやデュラスが賞賛の声を送った。マーティン・スコセッシが降板してメガホンを取った作曲家のレナード・カッスル唯一の監督作品。
『笑ふ男 The Man Who Laughs (サイレント)』 公開:1928年 監督:パウル・レニ 主演:コンラート・ファイト、メアリー・フィルビン、オルガ・バクラノヴァ、ジョージ・シーグマン、サム・ド・グラッス、チェザーレ・グラヴィナ 英国王によって父が処刑され、息子のグウィンプレインは口の両端を裂かれ常に笑ったような顔に変えられ捨てられた。後にサーカスのピエロとして人気を得、盲目の少女デアへ思いを寄せる彼は…。容姿へのコンプレックスに苦しみ愛を告白できず、さらに悲劇的な運命を辿る笑い男を演じるのは、『カリガリ博士』で眠り男を演じたコンラート・ファイト。
『透明人間 The Invisible Man』 公開:1933年 監督:ジェームズ・ホエール 主演:クロード・レインズ、グロリア・スチュアート、ウィリアム・ハリガン、ウナ・オコナー、E・E・クライヴ、ダドリー・ディッグス イギリスの小さな村に現われた、顔に包帯を巻いた奇怪な男。その正体は、透明人間になる薬を発明した科学者・グリフィンだった。しかし、その薬には恐ろしい副作用が…。村人に怪しまれたグリフィンが、ヒステリックな笑いと共に包帯を取ると顔がないというショッキングな映像が話題を呼び、1930年代で最も偉大なユニバーサル・ホラー映画の1つとなった。
『グレンとグレンダ Glen or Glenda』 公開:1953年 監督:エドワード・D・ウッド・Jr 主演:ダニエル・デイヴィス(エドワード・D・ウッド・Jr)、ベラ・ルゴシ、ドロレス・フラー、ライル・タルボット、ティモシー・ファレル 自分の服装倒錯を婚約者のバーバラに打ち明けられないグレンは…。自身も女装趣味のある“最低映画監督”エド・ウッドがグレン=グレンダを演じ、「女装は悪くない!」という心の叫びをスクリーンにぶつけた問題作!?当時モルヒネ中毒だったベラ・ルゴシを起用したことで映画は益々混乱。突然ドラキュラ風の人物が登場するは、バッファローの大群が暴走するはと、前衛映画さながら。
『怪物の花嫁 Bride of The Monster』 公開:1955年 監督:エドワード・D・ウッド・Jr 主演:ベラ・ルゴシ、トー・ジョンソン、ロレッタ・キング、トニー・マッコイ、ハーヴェイ・B・ダン、G・ベックワー、ポール・マルコ 放射線により「巨大人間」を作り世界征服を企てるヴォーノフ博士。そのころ、研究所の近隣では謎の失踪事件が…。何故か人でなくタコやワニを巨大化させたり、近隣住民を改造しようとして死なせたりと、無茶をしでかす博士。遂には自ら巨大化し、真冬の沼で巨大タコ(のヌイグルミ)と戯れ、じゃなく格闘することに。博士役のベラ・ルゴシが、重病の老体にムチ打って渾身の演技をみせる!
『プラン9・フロム・アウタースペース Plan 9 From Outer Space』 公開:1959年 監督:エドワード・D・ウッド・Jr 主演:グレゴリー・ウォルコット、トム・キーン、デューク・ムーア、モナ・マッキノン、ダドリー・マンラヴ、ジョアンナ・リー、トー・ジョンソン、ライル・タルボット、ベラ・ルゴシ、ヴァンパイラ、クリスウェル、ジョン・ブリッケンリッジ、トム・メイソン、トム・ニー 謎の円盤が飛来し繰り返される墓荒らし。すると死者が次々によみがえり…。意味不明のストーリー、ホイールキャップ状の円盤やダンボール製の墓石などチープな特撮、素人以下の演技はお馴染み。しかし、主役のベラ・ルゴシが撮影前に死んだため、登場場面は残されたフィルムを使い回し、残りは全然似てない代役がマントで顔を隠して演じるという離れ業をやってのけ、見事「史上最低映画」に選ばれるという栄誉(?)に輝いた1本!
『火を噴く惑星 The Planet of Storms』 公開:1962年 監督:パーヴェル・クルシャンツェフ 主演:ウラジーミル・エメリヤノフ、ゲオルギー・ジジョーノフ、ゲンナジー・ヴェルノフ、ユーリー・サランツェフ、キューナ・イグナトヴァ、G・テイフ 金星探査に向かった3艇のソビエト有人宇宙船。1艇は爆発、残る2艇で上陸作戦を決行するが、クルーが遭難するなど困難続きで…。宇宙船や水陸両用車、巨大な恐竜やワニ型爬虫類など、造形と特撮の素晴らしさには目を見張るものが。配給権を買ったロジャー・コーマンが追加撮影、再編集し、別作品としてテレビ放映したことでも有名になった、SF映画ファンの間でカルト的人気を誇る作品。
『エル・トポ EL TOPO』 公開:1970年 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー 主演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ブロンティス・ホドロフスキー、デヴィッド・シルヴァ、ポーラ・ロモ、マーラ・ロレンツォ、ロバート・ジョン 幼い息子を連れた流浪のガンマン、エル・トポは、村人を虐殺したならず者たちを倒す。その後、最強のガンマンになるべく4人のマスターに対決を挑むが…。アンディー・ウォーホールやジョン・レノンなど超有名人から絶賛された、ホドロフスキーの代表作にして伝説的カルト映画。西部劇スタイルながら、その内容は神秘的で宗教的、背徳的で難解。サイケな色使いやショッキングなシーンがトリップ感を高める!
『小人の饗宴 Even Dwarfs Started Small』 公開:1970年 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク 主演:ヘルムート・ドーリンク、ゲルト・ギッケル、パウル・グラウアー、ギーゼル・ヘルトビヒ ニュージャーマン・シネマの旗手ヘルツォークが28歳で撮りあげた、隔離された施設での小人たちの反乱を描いた問題作。20人余りの出演者は全員小人で、全編に渡って加速度的にエスカレートしていく彼らの悪ふざけが映し出されるのみ。猿を十字架に縛り付けて練り歩くは、何故かラクダが現れて糞をポロポロひり出すはと、ナンセンスかつグロテスクな映像が続く。癖になる1本。
『ホーリー・マウンテン The Holy Mountain』 公開:1973年 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー 主演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ホラシオ・サリナス、ラモナ・サンダース、アリエル・ドンバール、ホアン・フェラーラ、アドリアナ・ペイジ 磔にされた盗賊が十字架から降りて向かった喧噪の街。そこで錬金術士と出会い、不老不死の秘法を求めて9人の男女と共に聖なる山を目指すが…。服を着たカエルとトカゲによるサーカス団や、膨大な数のキリスト似の主人公の人型など、ジョン・レノンが出資したメキシコ映画史上最大の製作費を湯水のごとく使い、前作を遥かに凌ぐシュールで奇抜なビジョンを実現。ラストのオチも見逃すな!
『サンタ・サングレ/聖なる血 Santa Sangre』 公開:1989年 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー 主演:アクセル・ホドロフスキー、ブランカ・グエッラ、ガイ・ストックウェル、セルマ・ティゾー、サブリナ・デニソン 父が母の両腕を切り落とし自殺するという惨劇を目撃した少年・フェニックス。やがて、狂気の母の意のままに、次々に女たちを殺害するが…。カルト映画の王・ホドロフスキー監督が、メキシコで30人もの女を殺した人物を取材し撮りあげた傑作ホラー。監督が「初めて観客のために撮った」というだけあって解りやすい内容ながら、衝撃的で残酷な描写が、幻想的で美しい印象を紡ぎだす美学は健在。
『UFO少年アブドラジャン Abdulladzhan, or Dedicated to Steven Spielberg』 公開:1992年 監督:ズリフィカール・ムサコフ 主演:ラジャブ・アダシェフ、トゥイチ・アリボフ、シュフラト・カユモフ、トゥチ・ユスポワ 田舎の村にやってきた金髪少年風の宇宙人・アブドラジャンが巻き起こす珍騒動を、とぼけたテイストで描く。鍋みたいなUFOを吊っている糸が丸見えとか、背景の巨大なスイカが書き割りとか、チープな特撮が微苦笑を誘うが、実はスピルバーグ監督への手紙の内容を描いたという設定。タルコフスキー作品への目配せや共産主義への皮肉も効いた、ひと癖もふた癖もあるキュートな共産圏SF。
『深紅の愛 DEEP CRIMSON Progundo Carmesi』 公開:1996年 監督:アルトゥーロ・リプスタイン 主演:ダニエル・ヒメネス・カチョ、レヒナ・オロスコ、マリサ・パレデス 太った子持ち看護婦・コラルの唯一の楽しみは、シャルル・ボワイエの映画を観ること。そんな彼女がボワイエ似の詐欺師・ニコラスと出逢って恋に落ち、子供も捨てて詐欺の片棒を担ぐようになるが…。『ハネムーン・キラーズ』のリメイク作品だが、いかにもラテンな音楽や雰囲気はまた別物。鬘を被ると性格が変わる、禿のニコラスの設定もいい!
『チャイルドプレイ/チャッキーの花嫁 Bride of Chucky』 公開:1998年 監督:ロニー・ユー 主演:ジェニファー・ティリー、ニック・スタビル、キャサリン・ハイグル、ジョン・リッター、アレクシス・アークエット、ゴードン・ウールヴェット、ローレンス・デイン、マイケル・ジョンソン、キャシー・ナジミー、ヴィンセント・コラッツァ バラバラにされて10年、人間時代の恋人・ティファニーによって復元されたチャッキーは彼女を殺害し花嫁人形に魂を封じ込める。新婚ホヤホヤのチャッキーとティファニーは、人間の体を取り戻すべく、生贄カップルを求めて旅に出るが…。「チャッキー、電撃入籍!」そして「恐怖の殺戮ハネムーンに出発!」という1本。人形夫婦漫才に笑えるかどうかが、評価の分かれ目!?
『リュシアン 赤い小人 Le Nain Rouge』 公開:1998年 監督:イヴァン・ル・モワーヌ 主演:ジャン=イヴ・チュアル、アニタ・エクバーグ、ディナ・ゴージ、ミシェル・ペルロン、アルノ・シュヴリエ 法律事務所で離婚訴訟を担当し、他人の結婚をぶち壊して鬱憤を晴らす中年小人のリュシアン。依頼人の伯爵夫人の愛人となった彼を事務所は解雇、やがて夫人にも捨てられて激怒したリュシアンは…。たどり着いたサーカス団で心の安らぎを得、ピエロとして大うけするリュシアンの姿はあっぱれ!黒いユーモアに彩られながらも、不思議な余韻を残すダーク・ファンタジー。
『ベレジーナ Beresina Oder Die Letzen Tage Der Schweiz』 公開:1999年 監督:ダニエル・シュミット 主演:ジェラルディン・チャップリン、イェレーナ・パノーヴァ、マルティン・ベンラス ロシアからやってきたイリーナは、市民権を餌に政財界人相手の高級娼婦に仕立て上げられ…。ダニエル・シュミットが実際に起きた汚職事件を基に描く、スイスの政財界を痛烈に風刺したブラック・コメディ。客の変態プレイを遊びと思い込み、自分が娼婦とも気づかない天然ボケのイリーナが、熱烈なスイス・ファンなのも皮肉が効いている。最後のどんでん返しには度肝を抜かれること必至!
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ Hedwig and The Angry Inch』 公開:2001年 監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル 主演:ジョン・キャメロン・ミッチェル、マイケル・ピット、ミリアム・ショア、スティーヴン・トラスク、セオドア・リスチンスキー、ロブ・キャンベル、マイケル・アロノフ、アンドレア・マーティン 東ドイツで受けた性転換手術の失敗で、股間に1インチのしこりが残ったヘドウィグ。アメリカでロックシンガーとして一歩を踏み出すが、信じていた恋人に裏切られ…。大ヒットしたミュージカル同様、映画でもジョン・キャメロン・ミッチェルが監督・脚本・主演を務めた。国境も性別も超え、孤独と絶望の中それでも愛を叫ぶヘドウィグ。魂を揺さぶる歌声に泣け!
『シティ・オブ・ゴッド Cidade De Deus』 公開:2002年 監督:フェルナンド・メイレレス 主演:アレクサンドル・ロドリゲス、レアンドロ・フィルミノ・ダ・オラ、セウ・ジョルジ、アリシー・ブラガ、ドグラス・シルヴァ、ダルラン・クーニャ 神の街と呼ばれるリオデジャネイロのスラム街で繰り広げられるストリート・チルドレンの抗争劇。子どもが自然に人を殺し薬をやる映像はショッキングだが、疾走感溢れるスタイリッシュな映像と、複数の人物を平行して描く洗練された手法はとにかくカッコイイ!カンヌで熱狂を巻き起こし、本国では大統領も絶賛した傑作!
『スペル Drag Me To Hell』 公開:2009年 監督:サム・ライミ 主演:アリソン・ローマン、ジャスティン・ロング、ローナ・レイヴァー、ディリープ・ラオ、デヴィッド・ペイマー、アドリアナ・バラーザ、チェルシー・ロス、レジー・リー 銀行員のクリスティンは、出世を意識して老婆のローン延長の申請を却下するが…。真面目に仕事しただけなのに、逆恨みで「3日間恐怖を味わい地獄行き」の呪いをかけられたクリスティンの運命は!?口の中にゲロしたり、手を肘まで突っ込んだり、顎に噛みついたりと、老婆による嫌がらせは恐怖というより大笑い。構想10年、サム・ライミ監督入魂の“映画史上最凶老婆コメディ・ホラー”!!