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ミカエシ / 見返しコミュの見返し/ミカエシ

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※誠文堂新光社の「アイデア331号(2008年11月号)」に
掲載の原稿を転載したものです。

アイデア331特別企画 「デザインを書く」
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見返し/ミカエシ
坂野公一

見返しに一仕事工夫された本に出会うと嬉しくなります。なりませんか? 
大胆に写真が印刷されたもの、大胆な柄が印刷されたもの、美しい色彩の色ベタ、カバーイメージを流れ込ませたようなものエトセトラ…。それはクドイ? 無駄に思う?
書店や図書館で手にした本の表紙をめくると、案外工夫が凝らされたものが多いことに気がつきます。そんなときは本をジャケ買いではなく「見返し買い」したくなる衝動にかられます。

遡れば中学生の時に手にした大友克洋さんの「AKIRA」は、表紙をめくった「裏側」にも関わらず、独特の色彩のマンガがあしらわれていて衝撃を受けた記憶があります。これがおそらく人生最初の「見返し体験」。
デザインをするという意識が備わってからは、杉浦康平さんのお仕事で見返しを含むブックデザインの手法に強烈なショックを受けました。カバー、本表紙、見返し、別丁扉から本文まで一貫したデザインで包まれた本はモノとしての存在感が猛烈に強く、特に装幀のイメージを地続きで本文に連続させていくようなデザイン(もしくは本文側のイメージを装幀側に押し出す)が好きで、なんというか映画のオープニングの様な時間の経過を感じ取ることが出来ました。結果見返しと言うただの「ペラ紙」が本の中の一員に格上げされる。そういう影響から、見返しに対しての愛着や憧れが強く育ってしまいました。

見返しは表紙を開かなければ見えない部分であり、開いても下手するとカバーの袖に隠れたりもするし、ガバッと捲り飛ばされて読者に気付かれない可能性の高い部分です(これは本表紙も同じ)。
そもそも見返しは本表紙と本文用紙を繋ぐための紙なので、その強度を維持さえすれば良く、デザイン(絵柄)を施さなくとも全く問題のない部分。なので装幀の依頼が来るときには「見返しのデザインもお願いします!」なんてことはまずありません。少なくとも僕はそういう依頼を受けたことはありません。紙の銘柄を指定する、そんな程度です。
そんな見返しに一手間加えるとなるとこれはもう「デザイナーのエゴ」としか言えなくなる訳で、如何に「見返しに一工夫すれば素敵な本になりますよ! 裏地の美学ですよ!」などとクライアントに力説したとしても満場一致で同意を得られる事はありえません。店頭では見えない部分に労力とお金をかけようと言う訳ですから。それでも交渉の余地はあって、クライアントの了解が得られればそこに「着手」することが許されます。間違っても「見返しもデザインして差し上げます」とそんな気持ちでは挑めません。
なのでここはデザイナーに残された遊び場であり、故に妙なテンションがかかり、力を込めてデザインすることになります。

見返しをデザインするかどうかは、その仕事が「装幀(カバー回りのみのデザイン)」にとどまるか、「ブックデザイン(中身までどっぷりデザイン)」にまでたどりつけるかを切り分けてしてしまうほどの影響があると言っても過言ではありません。
つまり見返しは「装幀」と「ブックデザイン」という二つの仕事の「境界面」と言えるのではないでしょうか、という妄想を抱いたりする日々です…。


 

コメント(2)

ジャケットの折返し部分と見返しがつながっているのは嘗て結構やりました。

そう言えば随分やっていないなあ。

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