TRPGサークル ludusコミュのNumenera（ニューメネラ）：第九世界の解説（トピック③：９～12）

＞第九世界の解説（トピック③）

■９　第九世界の技術と歴史的レベル
　現在から見たら魔法のような技術がステッドファストには“氾濫”する。村や町の大小、恵みと呪いに関係なく大型のニューメネラ（Numenera）が、人々の住むところに１つや２つはあるものだ。ただ、それ以外、ステッドファストの人間が過去によらず、みずから生み出し、理解する技術は、我々の歴史の10世紀～11世紀前後のものだ。

　火薬はあるが小銃と大砲はまだなく、爆発物や手榴弾があった。活版印刷と筆記用具（万年筆と方眼紙）があり、医療については驚くべきことにメスや外傷手術の道具、麻酔技術、初期の化学療法や薬物療法が普及していた。各種時計（日時計や砂時計、機械時計と天文時計）が存在し、それらを利用した航海道具も存在する。

　巨大都市ではガスや灯油の街灯が夜をてらし、公共の図書館や公会堂、王立の観劇場と歌劇団もあるかもしれない。学校など教育機関はもちろんだ。現在ある一般の商店形態はすでに存在していた。飲食店、雑貨店、専門の食品市場、書店、裕福な客の通う、それらの高級商店があるだろう。

　食べ物は“食器”を使う、肉や魚の中世料理、ワイン、ビール、クリームと砂糖の入る甘い菓子、初期の氷室を利用した冷たい物（シャーベット、アイスクリーム、ジュース、シロップ）があった。また、食事療法も発展した。食べたら出す話で、下水や水洗の便所、公衆浴場や清潔技術、廃棄物再利用もあるだろう。

　ステッドファストの技術は、10世紀～11世紀前後の東西文明の知恵、我々の知る歴史の集約で形づくられる。その様子は、人口の多い都市なら我々が想像するものより、よほど文明的で文化的だ。現代（21世紀）と、そう大差ない。一部の人々はこれで十分で、よほど個性的で独創的だとかんがえるかもしれない。

　テレビやラジオ、電子記録装置や通信、コンピューター、インターネット以外のものは形態こそ古いものの、おおよそすべてが存在する。もっとも、それすら存在するかもしれない。あるいは我々の知る技術以上のものが――。なぜなら、この世界はニューメネラが“氾濫”する世界だからだ。

■10　第九世界の階層
　『ニューメネラ』も、階層では、ファンタジーのよくある区分を採用している。大体において第九世界の人々は「貴族」「農民」「奴隷」の３種からなる。一部「農民」の集団が「中産階級」と「商人」となるだろう。人々の地位や影響は、家柄ではなく富裕さで決定され、真実の封建制度は特定の場所と家柄、人物にのみに存在している。たとえば土地を所有する人物は、予想通り、「農民」を労働させ、利益を得て、「農民」は１日に２、３シンの日当を得る。「商人」は、その百倍以上を稼ぎ、「貴族」はそもそも貨幣など使用する状況などない。「貴族」のみ「奴隷」を所有する。「奴隷」は資産であって、通常、征服した土地の人々や、その人々の子孫だったりする。「奴隷」の子供の身分は、やはり「奴隷」である。罪人が時折、「奴隷」として「貴族」に譲渡され、邸宅の下男や警備として労働を行う。「貴族」には人間ではなく亜人（Abe Humans）の奴隷を好むものもいる。あるいは両方を所有する「貴族」も存在する。

■11　第九世界の仕事
　「■９　第九世界の技術と歴史的レベル」を参照にすれば、ある歴史的レベルの文明と文化が、それへと付随した、あらゆる仕事をもたらすことがわかる。ホームジョブ（一般の仕事）は、10世紀～11世紀前後のすべての仕事を提供する。一次産業なら農業と牧畜、林業と漁業、くわえて狩猟。二次産業なら鍛冶、調理、布織、細工、建築。三次産業なら小売や整備、運送や保険、医療や福祉といったサービス。役所のインフラ管理など公務になるはずだ。我々が現代に見る、一般の職業と組合は、すべてが存在している。

　ただ、第九世界独特のものも存在する。それが発掘と、発掘したテクノロジーの修理と解析だ。ステッドファスト各所には、太古の遺跡が数多く存在する。そこから当時の品物の残骸や素材、PCも使用するサイファーやオディティを発掘する仕事だ。非常に実入りが良く、同時に非常に危険な仕事。太古のガラクタひとつあれば１日生活するのに十分な金（１シン～３シン）が手に入る。多くの者が遺跡発掘に力を入れ、都市なら組合もあるだろう。ただ、発掘物が災厄をもたらすこともある。その解決はPCの仕事だ。

　テクノロジーの修理と解析は、発掘で経験をつんだ人物や、過去の文明に興味を抱くナノや学者が行う。都市なら複数のこれらの工房や工場が存在し、金銭、もしくは同程度の価値を持つサイファーと交換に、修理や分析をしてくれる。また、過去の知識が必要な場合、イオン・プリーストと同様、工房を訪問してもよいだろう。もっとも訪問が最期、あらたな仕事と厄介をおしつれられるかもしれない。それはそれで冒険のタネにはなる。いずれにしろ遺物の発掘は、第九世界の特色ある仕事だ。

■12　第九世界の金銭価値、交易、商売
　ステッドファスト全般で流通する通貨は、罪の名そのまま単位をシン（Sins）と呼ぶ。シンはアンバー・ポープと真教の信用が保証された地域において流通する。ビヨンドといったステッドファストの向こう側では信用を落し、貨幣経済の外側ではステッドファストの内部でも価値が大幅に減少するかもしれない。

　広く流通している確実な信用取引は物々交換だ。基本的に同種と同種のもので交換は成立する。サイファーはどんな場所でも、どんな要件でも交換に有利な品物となるだろう。第九世界においてテクノロジーはもっとも貴重なものだ。ゆえステッドファストでは現在の我々の価値が意味をなさない。

　たとえば宝石や黄金は、ステッドファストではありふれたもので、過去に人工的に作り出されたものが地表にゴロゴロしている。なにかの素材にはなっても、従来のＲPGと違い、『ニューメネラ』においての価値はゼロにひとしい。それなら第九世界以前の建築素材を発見したほうがよほど実入りが良いだろう。

　物々交換で盛んなため、交易では、サイファーやニューメネラ、日用品からビヨンドの珍奇な品物まで、あらゆる品物がステッドファストで流通している。商売の大小、陸、海、“空”の運路、地域によって取引や運搬方法は様々だ。都市を定期の運路で往復する隊商がいる一方で、寒村や荒野を個人で手広く回る行商もいる。

　各地を転々と回る商人は専門知識をそなえており、PCの良い雇用主（依頼主）と同時に相談相手にもなる。商人をシンをジャラジャラもつ金袋と油断しないほうがいい。PCがその役目でないならば、大抵、優秀な護衛をつれている。また、攻撃に便利なサイファーやアーティファクトを彼等は大抵２、３（あるいはそれ以上）常備する。