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文字で紡ぐ幻想コミュの性と性慾について

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 1.「海辺のカフカ」から始めます。
 佐伯さんはなぜ死ななくてはならなかったのか。初めて読んだときも腑に落ちなかったのですが、小森陽一の「村上春樹論」(平凡社)をめくってどうやら意味がわかりました。
 かつて愛した、そして亡くなった恋人がいたにもかかわらず、他の少年と性関係をもち、しかも自分の本来の恋人と重ね合わせた、という罪をもったということのようです。
 つまり、女性自身が性的欲望を抱き複数の男性と性的関係を結んだことが罪と意識されているらしいです。
 ここにあるのは、「近代家父長的性倫理」、つまり一人の女性は、一人の男性に対する貞節を守らなければ罰せられるという、単純で古めかしい論理です。

2.他の宗教と比べて、ユダヤ=キリスト教社会は性行動についてきわめて偏った概念を育んできました。そこでは、性行動の抑圧が人間の人格にとって本質的な意味をもつものとみなされているわけです。副次的に「告白」の意味も現れます。抑圧によってはじめて存在させられる性、というものもあるのです。
 ここまでは小森陽一さんをたどるような形で綴ってみました。

3.講談社のPR誌「本」12月号に、石原千秋さんの「性慾を研究する時代がやってきた」という小文(8頁)が載っています。
花袋の「蒲団」から始まります。この作品は短いながら、いろいろ読めるので貴重です。
性慾は、それまでも存在していたが抑圧され隠されていた何かを明るみに出したもの、それだけにかぎりません。
性欲とは、自分の内面に見出すべきものとして作り上げられたもの、という意味ももたされます。
「色情」とは、実行されようとされまいとその場で終わるものであって、隠されたものでもなければ煩悶の対象でもないし、告白とも内面とも関わりません。しかし性慾は、色情とは異なります。

4.近代は、性的な現象がそのひとの内面を語る情報となった時代です。性的なことにまつわる話は、内面奥深くに隠すべきものとなっています。
石原さんは、大橋洋一さんのテキストの例をひいて、やさしく解説しています。
大学教授が、授業のあとデパ地下でマグロの刺身を買ったところを見られても、ただ生活のなにがしかがわかるだけです。
しかしデパートの地下で男を買ったとしたら、その本人の真実とみなされます。

5.他の宗教では、この種の抑圧は実行されてきませんでした。制的快楽は、逆に謳歌されてきたものです。ニホンでも江戸時代までは男色はごくふつうのことでした。
明治三十年代までトウキョウ帝国大学の学生のあいだでも、「女色」は汚れていて「男色」は流行っていた、と石原さんは説明します。

6.この件については、とりわけフーコーの「性の歴史」が詳しく論じています(わたしは未読)。しかし、柄谷行人の「日本近代文学の起源」の「告白という制度」においても、ひろく取り上げられています。

コメント(1)



  性


というテーマは こわくて 魅力的です

抑圧によってはじめて存在させられるからこそ

性欲は どうどうめぐりの複雑さを持たされたような気がします

それゆえ 性には中毒性もあると つくづくおもいます

性って個人的な問題に深く踏み込んでしまうので

扱うのがむずかしいですねえ
 

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