トラウマティック銀幕コミュのマイ・ビューティフル・ランドレット

もうすぐスラムドッグ・ミリオネアが公開される。楽しみだな。
インド系映画は一本だけ観たけど、昔の白黒映画で題名も覚えてない。
パキスタン人が主人公の映画は一本、なんか不思議な味わいの映画だったな。

「マイ・ビューティフル・ランドレット」
パキスタン移民の息子オマールはアル中の父親を抱え、大学に行く金を稼ぐため、
手広く商売する実業家の叔父ナセルの元で働くことにする。
日曜日に叔父にパーティに招かれ、ナセルの娘でいとこのタニアと久しぶりに再会。
結婚すればこんな家から出られると、色仕掛けで誘惑するがオマールは煮えきれない。
酔っ払ったいとこのサリムを送って帰る途中、パンクスに車を襲われる。
リーダーは５歳の頃から遊んだ幼なじみのジョニーで、オマーンは再会に喜び、連絡先を聞き出す。
やがてオマーンは南ロンドンにあるコインランドリー経営を任される。
でも商売に行き詰まり、いとこのサリムから頼まれたビデオの運び屋で小遣い稼ぎ。
届けたビデオを勝手に見てると、サリムの態度は豹変していきなり殴られる。
ビデオには何も写ってなく、中にヤクが仕込まれていた。
オマールからの連絡をもらい、パンクスから足を洗おうと決心したジョニー。
ちょうど店を手伝いにやって来たところ、オマーンはヤクの売り捌きを頼み、
その金でおんぼろランドリーを改装し、店を盛り返してサリムを見返してやろうとする。
新装開店の日、招待した父は姿を見せない。待っている間、事務所で裸で抱き合うオマーンとジョニー。
叔父ナセルは愛人のレイチェルを同伴してやって来た。そこでようやく開店。
タニアもやって来て愛人と鉢合わせ。「あなたみたいに男に囲われた女は最低」とタニア。
「あなたもお父さんから養ってもらってるじゃない」とレイチェル。
その言葉に何も返せないタニアは、オマールに結婚の承諾をさせる。
それを知ったジョニーは憤然となってパンクス仲間と飲みに行ってしまう。
しばらく気まずくなるオマーンとジョニー。
オマーンの父から息子を大学へ行くよう説得してくれと頼まれるジョニー。
一方、サリムと和解したオマーンは自信過剰となり、商売を広げようとする。
ある夜、サリムは運転していた車で故意にパンクスの一人を轢く。
オマーンの不在中、店に来たサリムは表にその車を停める。パンクスはその車をぶっこわし、
それを止めようとするサリムにも襲いかかる。それを見ていたジョニーは…。

ウィンブルドンにグラコロが二年間住んでたフラットの大家さんは、
パキスタン人のミスター・マリック。メンテナンスはインド人のシーク教徒のおじさん。
この映画の舞台はストックウェルとかブリクストンあたりかな？
監督は最近では「クィーン」（まだ見てない）のスティーブン・フリアーズ。
脚本は「郊外のブッダ」のハニフ・クレイシ。
どん底大不況の失業とホームレス問題、人種と階級問題、
それにパキスタン人の抱える宗教と女性の自立問題などなど、様々な問題がミックス。
幼い頃は仲良く遊んだ幼なじみはアジア移民追放運動のデモに加わったり、
社会主義者でジャーナリストの父は失職でアル中となり、母は自殺。自分も大学に行けない。
でもオマーンは野心満々で、メゲない。ものすごく前向き。
「これ以上踏みつけられないために、金を作るんだ」
大学へ行けというのはわかるけど、タニアと結婚しろって、このお父さんはわからん。
そんな理想主義で故郷に帰りたがる兄に、故郷では商売ができないと言う現実主義の弟ナサル。
自立はしたいけど、家を出るには男に依存する以外どうすればいいのかとわからないタニア。
そして子供時代にオマーンの父から薫陶を受けたのに、今はパンクスのなれの果てのジョニー。
自分のふがいなさを自覚し、変わることを選んだジョニー。
調子に乗るオマーンを心配し、でも出来る限り彼のために働くジョニー。
グラコロも惚れるダニエル・デイ・ルイスのジョニーに、パンクスたちも惚れている。
だって、店の改装を遠巻きに見ていたはずのパンクスがペンキ塗りを手伝っているじゃないか。

トラウマ度満点のこの映画、まずテーマ曲がいかにもランドリーで面白いし、
ビデオの受け取り先のヒゲのおじいさんがおもむろにそのヒゲを取ったり、
新装開店に使われた曲が「庶民のファンファーレ」がＥＬＰかな、
どうかな？って思ったら、途中で切れたり…。
今回のトラウマはナサルの奥さんが愛人のレイチェルを呪う秘薬。
見事レイチェルのお腹にじんましんが！作り方を知りたい。使わんけど。