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1ページのメッセージコミュの【お題】還る場所に(作:久遠

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『おかえり』
その声は、とても優しく、どこか懐かしく感じた―――


ふと気が付くと、足下に自分の身体があった。

(…なぜ?)

しかしその疑問はすぐに解決された。

「女の子が車に跳ねられたぞ!」
「救急車を呼べ!」
「おい、大丈夫か!おい!」

私の身体を囲んで、オトナたちが騒いでいる。

(そうか。跳ねられたんだ)

何故か納得して、自分の身体を見下ろす。
よく見れば、出血がひどいのか、血溜まりの中に横たわっている。

(これじゃあ助からないだろうなぁ…)

なんて、ぼんやり考える。
次に考えたのは、

(これから、どこに行けばいいんだろう…)

だった。
よく、死んだら花畑を通って川を渡ると聞いていたが、今自分はまだ、事故現場である街中にいる。
念の為周りを見回してみても、それらしい場所は見当たらない。
物語に出てくるような、死神もいない。

(困ったな…)

この世に未練なんてないから、早いとこ天国なりなんなりに逝きたいのだけど。

それとも。

(未練があるから、逝けないのかな…)

自分でも気付いていない、未練があるというのか。

(…なわけないか)

自殺未遂をなんどもしている自分だ。未練があるはずがない。

ということは。

(まだ生きているのか…)

下を見ると、身体が救急車に乗せられるところだった。

(とりあえず、ついていこう…)

実体のない身体は、簡単に救急車をすりぬけた。

処置をされる自分の身体を見下ろす。
魂はないはずなのに(自分がここにいるから)、肉体はまだ、生きているらしい。
かろうじて、だろうけど。

(そういえば、身体に戻れるのかな…)

普通なら、最初に思いつくだろう。

(試してみる価値はある…か)

ゆっくり、身体に重なるように、横たわる。

(あ…戻ってる…)

そう思った瞬間、意識がブラックアウトした。




(…ここは…)

目を覚ますと、川の畔に立っていた。

「これが、三途の川…?」

目の前を流れる川を見て、呟く。
聞いてたのと、ずいぶん違う。
花畑なんてないし、あたりは真っ暗だ。

(これを渡れば…)

死ねる。

そう思って、川に近付くと、反対の川岸に灯りが見えた。

「…?」

立ち止まって、目を凝らすと、どうやら人が立っているらしいことがわかった。

(あれは…)

「お母さん…?」

その人影は、小さい頃に逝ってしまった母に似ていた。
小さく呟いた声が届いたのか、その人影は優しく微笑んだ。

そして。

「おかえり」

そう言った。

(この声…)

確か、魂が抜けて目が覚める前にも聞いた。

「おかえり…?」

「そう。ここはまだ、あなたがくるには早すぎる。だから早く、おかえりなさい」

そういう意味か、と、小さく呟く。
母は、現世に帰れ、と言っているのだ。
だから、『お帰り』。

けれど私は、生きることに疲れていた。
だから、そのまま進もうとした。

「ダメ!来ては、ダメ。あなた、大切なことを忘れてるわ。後ろ…」

見て、と、指を差す母。
その声に従って後ろを見る。

すると―――

「…お義母さん…?」

泣いている、義母(ハハ)の姿が見えた。
母が亡くなってから、私を育ててくれた義母。

「あなたは独りじゃない。だから、ちゃんと戻って…」

それが、最後だった。

母の言葉も姿も突然消えて、私の意識はまたしてもブラックアウトした。




次に目を開けると、心配そうな義母の姿と、涙で濡れた瞳をした友人の姿があった。

「よかった…」
「ばか…心配したんだから…っ」

前半が義母、後半が友人の言葉である。
私が目を開けたのを確認すると、二人は泣き出した。
よく見ると、父も疲れた顔で座っている。
私と目が合うと、ほっとしたような顔をした。



あぁ、私は何をしていたんだろう。
こんなに大切にしてくれる両親も、友人もいるのに。
言われるまで気が付かないなんて。

(ありがとう…)

川岸で会った母に、お礼を言った。

そして。

(これからは、ちゃんと生きるよ)

大切な人たちを悲しませないために。

私は、精一杯生きることを誓った―――

コメント(2)

ギャグにするつもりが…あれ?何かシリアスチック?(笑)

ギャグが書きたいのに、今の精神状態がギャグ向きではないみたいです。

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