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語部夢想〜語部夜行別館〜コミュの悠久の刹那

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私は圭一に突貫した。

私の渾身の力を込めた体当たりが…




圭一へと決まる。

だが重心を逸したか、二人はもつれ合うようにして倒れこむ。

その弾みによって、壊れるカメラ

カメラから青白い光の玉が幾つも飛び出す。

綺麗

倒れていることすら忘れて、ただそう思った。



そう思ったとき、懐が熱を持ち、輝き始めた。

あっつ!

手を懐に押し当てると、先ほどおばあちゃんがくれた練乳飴のビンが出てくる。

それを手に取り、ビンのふたを開ける

するとどうだろうか、

飴が眩き光の玉となり、今度はそれがビンから飛び出すと光の奔流となって圭一へと伸びていく。

その光は圭一を包み込むと、黒い腕が圭一から弾かれる様に飛び出す。

どくろは寄生主を失い、カヨへと迫る

呪いを返され、苦渋するかよ

右手で心臓の辺りを押さえる

瞳が徐々にヤギのそれに変わる。


ぐぅぅぅむ


雄たけびを上げると今度は十二枚の札を取り出し呪言を唱える。

その言葉に呼応しカヨの陰から現れたのは、十二匹を内包する一匹


あの形…鵺?

時にはキマイラや、スフィンクスなどとも呼ばれている

あの一匹からは、悪徳を感じる。

アナタから見れば、これはとても禍々しい害なすものかもしれない

でも、私から見ればとても猛々しき、頼れるもの、心の視点で如何様にも変われる、現存する神だってそうではないか

もしこれが、この世の神が嫌ったものを凝縮した者ならば、これはまさに悪魔

混沌とも呼べるのかしら。

その場所だけが、黒でくりぬかれたかのように漆黒であり、

混沌の牙からはよだれが、糸をひき

その場所と存在、つまりは空間を侵食して黒く覆う。

モノがすべて可視の光によって写る映像ならば

そのものは、間違いなく光を食っているのであろうよ



それを凝視するは、金色に輝く圭一

圭一は平手より光の玉を投げつけるが、ケモノによって阻まれる。

ケモノはその勢いにのって、二重、三重に圭一に攻撃を仕掛ける。

その圧倒的な威力に成すすべない圭一



「あれは」

吹き飛ばされた矢先、ふと光り輝くものを見つける。

それは、壊れたポラロイドカメラのレンズ

圭一はカメラの命といえるレンズをすばやく掴み取ると突貫を仕掛けるケモノ目掛けて投げつけた



GYAAAAAAAAASUUUUUUUU



もだえ苦しむケモノ

やがて、漆黒に包まれていた表面が厚い殻のようにボロっと砕け始める。

刹那、殻の中の何かが姿を消した。




がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁぁ

洞窟内に轟く咆哮

振り向くと、もだえ苦しむカヨの姿があった。

「ねぇ…さん…?」

荒々しく、肩で呼吸をするカヨ

そこには、着物のアチコチが引きちぎれ、まさに満身創痍の風貌

その中でもひときわ目立つのが、顔の左半分がドクロになっていることだった





「どういうこと?」

古来、生まれたものは暗いトンネルを抜け

明るく苦しい現世へと生まれ堕ちる

ならば、死の前に戻ろうとする亡者が逃げ込む先は

母体となる、そう女性

いまやカヨはその門だよ

様々な亡者がカヨに殺到し、その体内へと逃げ込む

灰色のかよ出現

生にも死にもいけない半端モノ

生からは追放され、死からは固く門を閉ざされ

煉獄を歩み、境界の上にのみ足をつくことを許される。

太極と対極との間に生まれた中庸ですらない何か

糸を紡ぎ、線を引くもの

自分の引いた線を絶ち切るもの

そうしてやがては、自分のやったことにしがらみを覚え

束縛されて、自分で自分をがんじがらめにする

あれは、そういったものだよ

圭一の顔は、瞳は涙をたたえていた

どういうこと?

昔、蛇を操作していくゲームをやったことはあるかい?

私は首をかしげた

十字キーで操作するんだけどね

アイテムをとるごとに、自分の体は長くなり

やがて、自分の体に激突するまで暴走を続け

クリアなんてなく

ただ、更なる高得点を目指してマップいっぱいになるまで走ることをやめない。

あれはね、それと同じなんだよ


よく、わからない

圭一は、ふと、表情を緩める

そうだね

ただ、問題は

かよの視線がコチラに向く

あれは、私たちをどうしようもなく憎いやつらと思い込み

私にとってあれは、絶対無二の双子の姉なんだ。


ぐ、ぐぐぐぐ


憎い、


「姉さん?」


憎い、口惜しい、辛い、痛い、悲しい、もういやだ、ヤメテヤメテヤメテ、


「ねぇさん」

近づこうとする圭一を手だけで制す

ダメ

カヨの唇だけがそう告げる

ふと、影が伸びケモノを形作ると、カヨの影を喰らい、ケモノがその位置に収まる


あは、


あはは、はは


ははははははははははひゃはははははひゃはははははやはははやはひゃ


突然の笑い声にカヨを見やると、12枚の札がカヨの周りを巡回し彼女を取り囲む。

その円は次第に大きくなり、奇怪な模様を象る

現れたのは、大きな朱塗りの門

「羅生門?」

その声に反応したか定かではないが、一瞬だけカヨは圭一の方を見やると妖艶に微笑み、その門に手を当てると一気に開放する

何をしたの?

「日本神話を知ってる?」

イザナギとイザナミの?

「そう、日本が天皇治世に入る事を謡ったこの国の神話」

それが?

「イザナギは死んだイザナミを取り戻すために黄泉に行った」

うん

「そして、イザナギは黄泉から命からがら逃げ帰って、死の国から侵略者がこないように門を作った」

まさか、それがあの・・・

「ま、私の想像だけどね」

カヨが狂乱のまま門をグイグイと開ける。

それにしたがって湧き出す亡者

生と死の境界をなくしてやる

「そんなことはさせない」
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=52102495&comm_id=3436893

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