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The 執筆中。コミュのヒマワリと夏空とアイツ

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第1話「ドアを叩く音」

俺の名前はタツヤ、田神達哉。歳は23歳。訳あって今はフリーターやってます。
当たり前に今年も暑い夏がやって来て、また当たり前に去っていく、そんな風に思ってた。あの日あの時、ドアを叩く音を聞くまでわ…。




2009年7月タツヤのアパート。

バイトに遅刻しそうなタツヤは急いで準備をしていた。そんなタツヤの部屋のチャイムがなる。ピンポーン

タツヤ「こんな時に誰だよ!」
すぐにドアを開けずにいると、
ドンドン、ドンドン!
激しくドアを叩く音。

タツヤ「ちょっと何すか今出ますから」

ドンドン、ドンドン!

女の声「孝太いんだろ、出てこいよ!」
完全にブチキレた女の声に少し圧倒されつつ、
慌ててドアを開けるタツヤ。
タツヤ「ちょっとなんな…」
ドアを開けた瞬間、女は部屋に飛び込んできた!

目が会う二人…
一瞬?な表情を見せた女だったが、怒りはおさまらない様子。

女「あんた誰?孝太は?いるんでしょ?出しなよ、孝太ぁぁ!」

タツヤ「いや、こっちのセリフだし、あんたこそ誰だよ!孝太なんて知らねーし…」

目に涙をうかべる女「………」

タツヤ「あ、ごめん、言い過ぎた、その…」


次の瞬間、女は走って出ていってしまった…。




俺はあの時ひとつあいつに嘘をついた。


「孝太」


それは半年前に死んだ俺の兄貴…。



つづく

コメント(3)

第2話「心臓の音」


〜半年前〜

孝太は俺の二個上の兄貴で周りが羨むほど仲の良い兄弟だった。いや兄弟というよりはむしろ親友と言ってもいいかもしれない。


それくらい俺たちは仲が良く俺自身孝太のことが大好きだった。


そう、あの日も俺たちはは行きつけのバーで飲んでいた。
すると近くで飲んでいた若者グループの酔っ払い1人が俺に絡んできた。


「お二人さん仲良いね、もしかしてカップルなの?」

俺はめずらしくキレてしまいそいつのTシャツをつかんで兄貴が止めるのも無視して店の外へ連れ出し殴り合いになってしまった。


その時、孝太は胸を押さえ苦しみだした。俺はてっきりケンカをやめさせるための演技だと思っていた。でもそうじゃなかった、ケンカ相手すら心配するほどの苦しみ様に慌てて救急車を呼んだ…



それから3日後、孝太は死んだ。
原因は心臓発作でその時初めて孝太が心臓病を抱えていたことを知った。何でも知っている親友だと思っていたのに…


病院に運びこまれてから3日間孝太は生き、その間に全くいるとは知らなかった彼女の存在を知った。
しばらく海外にボランティア活動に行っていて半年後に帰って来ること、連絡が取れないこと、向日葵が好きで、名前は「葵」。 自分に何かあれば葵を頼むと…。




孝太は苦しむことなく息を引き取った、俺は孝太の胸に手を置いて孝太の心臓の音が消えていくのを聞いた…


「ドクン、ドクン、、ドクン、、、、ドクン、、、、、、」



そう孝太は俺のせいで死んだ。この半年間俺は自分を責め続けていた。「葵」という女性の事も何も出来ずにいた。



そんな時だった、玄関のドアを叩く音がしたのは…




つづく
第3話 「後悔と再会」


今思えばあれが葵さんだったんだろう。
あまりに突然の出来事に、それに無意識に孝太の彼女がこんなやつのはずがないなんて思ってしまったのかもしれない。
おまけに孝太なんて知らないなんて嘘まで…


俺は後悔していた。


それから数日後だった、また彼女が現れたのは…

今回はインターホン越しに

「こないだはごめんなさい。孝太くんの弟だよね?ちょっとでいいから話させてくれないかな」


どこかで兄貴の話を聞いてきた様子だった。

俺は彼女を部屋に入れ話をした。


彼女がやはり葵だとわかった。驚いたことに彼女は俺と同い年だった。

それから俺は孝太の死の真相を話した…



「…だから俺が悪いんだ、ホントにホントにゴメン!」



しばらく沈黙が続いた…


彼女からは意外な返事が返ってきた。

「あなたは悪くない、誰も悪くない、悪いのは私、彼のそばにいてあげられなかった私。
ただこれだけは言わせて、もう二度とケンカはしないで、暴力はやめて、無駄に傷つくような事はしないで、約束して」



「うん、わかった」
俺はすんなり約束した、守れなくなる約束とその時は知らずに…



彼女は突然言った。
「しばらくここにいていい?私行くとこないんだ。」


そんなのダメだろ、孝太に怒られるだろって想いとは裏腹に自分でも展開早っ!思うくらい彼女に惹かれる自分がいて、

「いいよ」




俺の心には孝太のあの言葉が残っていた。


「俺に何かあったら葵を頼む」






つづく
第4話


俺は彼女にどうしても聞きたかったことを聞いた。

「あの時どうしてあんなに怒っていたの」


彼女は恥ずかしそうに笑って答えた。

「あの時はゴメンね、ビックリしたでしょ。私らしくなかったな…
私、ちょうど1年くらい前にタイに行ったんだけど最初の数ヶ月は孝太と連絡とれてたのにある時から電話もメールも手紙さえも届かなくなったの」


俺は不思議だった。孝太も同じようなことを言っていたからだ。

「孝太も葵と連絡が取れないって言ってたよ」


「そうなんだ、おかしいな。
それで私いろんな心配しちゃって、他に女できたのかもとか、遠距離キツくなっちゃったとか、もしかして心臓発作でたおれちゃったんじゃないかとか、いろんな心配が重なって、それでこないだやっと帰ってこれて、あんな感じになっちゃって…」


「いや、いいんだ、話してくれてありがとう。
でも驚いたな、葵さんは孝太の心臓病知ってたんだ」


「うん、こうも言われてたの。
『俺に何かあったら達哉を頼む』
って」






つづく

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