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いまさら聞けないイスラムの話コミュの「サラフ派」の謎

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アル・ジャジーラのこの数日の放送から。

●あのワッハーブ派教団国家であるサウジアラビア王国が、内閣などの人事異動。今まで、所詮、「ちょっと善意のあるいいおじいさん」に過ぎないと思っていたアブドッラー国王の覚悟の片鱗が見えてちょっと感動。

内閣人事はどうでもいい。重要なのは次の2点。

1.最高ウラマー会議の人事

今までハンバル派にしか参加を許されなかった慣習を否定し、マーリク派、ハナフィー派、シャーフィイー派の法学者の参加を認めた。

2.教育省次官人事

女子教育担当の次官に、初めて女性を任命。大臣クラスへの女性の始めての登用。

2.は解説不要だと思うが、一言。女子教育は、宗教界から根強い反対があり、初代国王は女子教育を決定したときには軍隊で学校を警護させる必要があったくらい。で、初代国王は、宗教界への懐柔として、宗教界が独占する女子教育庁を、教育省から独立した組織として設立。女子教育庁自体は、9.11以降の改革の一環で、形式上は教育省に吸収されたが、内部の人事は相変わらず、宗教界の特権が与えられていた。ここに女性をトップに任命するのは、そうとう宗教界を押し切ったはず。

重要なのは1.

最高ウラマー会議は、ワッハーブ派教団国家体制の中核であり、ワッハーブ派の牙城として最高権威。ここに、ワッハーブ派ではない、「穏健な」イスラム法学者の参加を許可するってのは、今までのサウジの政治では考えられない。

しかし、一方で、これが可能なロジックもわかる。

この最高ウラマー会議の設立を定めた「法律」(性格には規則なんですけど、え?なんでか?あれですよあれ、「イスラム法以外には法律はない」からですね。憲法すら否定されており、憲法的なものとしてよく言及される「統治基本法」すら、法律ではなく規則に過ぎません。なぜか?簡単「コーラン以外に憲法はないから」です。)の解釈です。

この規則には「最高ウラマー会議は、サウジ人のサラフ派から任命される(外国人に関しては別途規定があり参加を否定されていないものの、前例はない。また、メンバーの大半がネジュド出身の筋金入りワッハーブ派)」との規定があります。

で、サウジ人やサウジ国家やワッハーブ派自身は決して自らを「ワッハーブ派」とは言いません。なぜかって?「そのような名称は、唯一正しい純正なイスラム教そのものであるサラフ派であるわれわれを貶める西洋やその犬である似非ムスリムにより陰謀だから」ですよ。

で、問題なのは「サラフ派」の定義。

サウジ人やサウジ国家やワッハーブ派は、サラフ派=ワッハーブ派としているわけ。

でも、エジプトでワッハーブ派とは思想系列が違う経緯で成立したムスリム同胞団などの政治的イスラム主義政治団体も、自らをサラフ派と規定します。

モロッコにいたっては、サラフ派と自称する運動のほとんどが、何らかの形でテロ活動を行っていたりする有様。

で、彼ら「本家」のサラフ派であるワッハーブ派は、世界秩序(=米国のヘゲモニー)に協力する政権に対するテロを行うようなサラフ派と、米国の最重要同盟国であるサウジの国教であるワッハーブ派を混同されることを極端に嫌い、私たち以外に「サラフ派」を名乗る連中は「似非サラフ派」であると非難し続けているわけです。

ということで、サラフ派っていったい誰のこと?っていう混乱があるわけです。

アブドッラー国王の今回のレトリックは、このサラフ派の定義のあいまいさを逆手にとって、ハンバル学派の一部であるワッハーブ派以外の、その他3大法学派であっても、「サラフ派」でありうるとしたわけです。(多分。人事異動は発表されたけど、最高ウラマー会議の規則の改正は発表されていませんから。)

まあ、ある意味、本丸を攻めたと評価します。

が、本丸に、無害な外部勢力を少数名引き入れることに成功したという程度でしょう。

同時に、注目したのは、勧善懲悪委員会(宗教警察)のトップが更迭されたこと。このトップは、私がサウジに島流しになったときからトップやっていたんで、きっと20年以上とかそれくらいトップやっていたはず。とはいえ、新しいトップがどんな人なのか知らないので、評価の仕様もないのですが、少なくとも、特定の宗教者の既得権益を固定化することをやめたとは理解できます。

これが、本当に人権侵害の問題のある勧善懲悪委員会の改革にまでつながるかどうか、もまた重要なポイント。

さらに、ハンバル法学派でなくとも、サラフ派を自称する連中は、疑いなく、反スーフィーで、反シーア派なはず。

スーフィーやシーア派との公式な融和にはまだまだ遠いのも事実、というか、ワッハーブ派が、スーフィーやシーア派をムスリムとして認めてしまったら、ワッハーブ派の正統性そのものがなくなるので、未来永劫ありえないと思いますけど。ありえるとしたら、サウード王家自身が、ワッハーブ派を国教として利用しなくなった場合だけですが、これもまたありえないシナリオ。

まあ、アブドッラー国王は、皇太子の時代から、「サウジの体制を変革しない範囲内で、できるだけみんなに優しくすること」を心がけてきた人でしたが、今までの融和政策は、単なるガス抜きと、意見表明をシーア派やスーフィー派や女性に認める程度だったのに比べ、今回の人事は、相当覚悟がある政策。

でもね、このいい人のおじいさんももう80歳超えてるし、皇太子のスルタンはどうしようもない腐敗したくずで、改革なんてどうでもよくて、ポケット膨らませる以外には興味ない人物なんで、このいいおじいさんが死んだら、なーんにも進まないし、後退する可能性すらありますので、まったく楽観的にはなれませんけど。まあ、ありうるとしたら、スルタンもこれまたよぼよぼじじいなんで、第3世代に国王が委譲されるときに、改革志向の王子が登場すれば、アブドッラーおじいさんの意図を受け継いでくれるでしょうね。

私が、ワッハーブ政体であるサウジアラビアを認めるようになるには、住民の宗派に応じた宗教上の自治を認めるようになる日を待たねばなりませんが、まあ、それはイスラエルが占領地から撤退して、すべてのムスリムやクリスチャンにエルサレムへのアクセスを保障する日がいつ来るんでしょうか?ってくらい同じ話。

●一方、非ワッハーブ派の「サラフ派」のイスラム法学者の代表ともいえる、ユーセフ・カルダーウィー師の発言に度肝を抜かれた。

このおじさんは、エジプト人で、結構まともにアズハルでイスラム法学者になったのに、要は、ムスリム同胞団支持なんで、エジプト政府に嫌われて、エジプトを捨てて、あちこち放浪していたところ、カタルの王族に利用価値を認められて、エジプト人なのにカタルでもっとも権威のあるイスラム法学者に落ち着いて、その説教台は、アル・ジャジーラ放送という「TV宣教師」。

彼の番組は「イスラム法と人生」。

正直、サウジを経験して以来、この番組を見ることが耐えられず、抗議の意味を込めて、毎晩、この番組になった瞬間に、湾岸の霊長類が好んでよく見る「ファッション・アラビア」という、どーしよーもない番組に切り替え、終わったころにアル・ジャジーラに戻していたのですが(あ、「ファッション・アラビア」はまったくポルノではなく、純粋な「ファッション」番組のはずなんですが、もう湾岸の霊長類にとっては、このこの上ないポルノ番組で、番組の製作会社もそれを十分承知で意図的に「アラビア」なんて使っています。何かというと、延々と、欧州のファッションショーと、ベイルートのナイトクラブを垂れ流すだけという本当に意味不明のけーはくな、「ベイルートならやれるー」と考え、金をためては休暇でベイルートに行って酒池肉林することを若い霊長類に妄想させるための、いかにも湾岸の退廃を象徴する番組です。)、今回は、もう、「ファッション・アラビア」に切り替えることが面倒だったし、いい加減、「シャリーア」アレルギーも軽減してきたんで、まあ、いいかと思い放置していたのです。

したっけ、びっくり。

このおじさん、あれでしょ、ムスリム同胞団のイデオローグでしょ?どうせ、スーフィーなんぞはカーフィルとはいわないけどさ、異端で、矯正すべき忌まわしいムスリムとか思ってるんでしょ?って思い込んでいたのがひっくり返りました。

さすが、元アズハル。

今回のテーマは、「知識(イルム)」でした。

あ、あれでしょ、コーランとハディースを一生懸命読んで、中世のイスラム法のすばらしさを確かめようって話でしょ、はいはい。って思って聞き流していたら、時々「ガイブ(hidden)」という言葉が耳に。

はにゃ?、サラフのおじさんが「ガイブ」を語ってると驚き、じっくり聞き始めたら、本当に眼からうろこ。イルムには、理性によるイルムと、ガイブによるイルムの2種類があり、ガイブによるイルムはマアリファである。って、俺たちスーフィーと同じこと言ってるよ!

論理的には私たちスーフィーとまったく同じことを言い出して、いくらシャリーアについて勉強しても、預言者様Sが体験した啓示の霊的な意味は、マアリファによってしか得られない。その両方が不可欠だって!

とはいえ、彼はやはり、サラフのおじさんなんで、じゃあ、マアリファを得るためにスーフィーのシェイフに師事しなさいねとまでは言えませんでしたが。どうやって、マアリファを得ろというのか?まあいいや、理論的にはスーフィーを否定しないならぜんぜん問題なし。

挙句には、イブン・ルシュドまで言及して、理性に基づく哲学的思考の重要性まで訴えて、要は、ムスリムは聖典コーランがあるからということを口実に、広く知識を身につけることを否定することは間違っており、積極的に近代の学問も学ぶことが、現代における正しい信仰である、とまで言い切ったのですよ。

はあ、このおじさん、昔からこう言い切っていたのかな?

俺が偏見を持って無知だったのか、彼自身がアル・カーイダやらワッハーブ派やらを体験して思考を深めたのか、いったいどっちなんでしょうか?

とはいえ、かれの近代的な学問の擁護にも限界があり、中世においては、イスラム教は、学問と宗教知を統合することに成功していたのに対し、西洋キリスト教世界は、学問と宗教知があい争っていたので、ムスリムのほうが進歩していたという歴史的事実のノスタルジーを紹介して終わり。

じゃ、今、それが逆転したのはなぜで、それをどうやって回復するの?って根本には立ち入らず。がんばって勉強しましょうねってことでしかないんですね。

中世のノスタルジーに浸っても仕方ないんですけどー。現代における処方箋を出すのが真の知識人の役割ですよ・・・

さて、もうひとつ

●仏人の天体学者の改修ムスリムのインタビュー。

これも、ああ、また例のやつね。サウジでたくさん会ったし、読み物も読んだし、この手の連中の話は腐るほど聞いたよ。

どうせあれでしょ?

ネズミ捕り布を頭にかぶって、ひげ伸ばして、短い服を着て、サンダル履いて徘徊するようになった人たちのことでしょ?

「欧米の世俗社会に病んで、キリスト教にも幻滅して、コーランによって救われた。サウジでもっともっと、本当のイスラム教を勉強したい(もしくは、勉強したから、帰国してワッハーブ派宣教にがんばってます)。マーシャーアッラー」でしょ?

と思ったらこれまた大違い。

最初は適当に、あーあ、知識人なのに、思想停止しちゃだめじゃーんとか思っていたのですが、聞き進めるにつれ、だんだんと、そのインテリさと、私自身が常々思っている信仰の根拠と重なる発言が多く、これは、と思ったのですよ。

蛇足ですが、これだけ世俗的科学が発達した現代で、なぜ信仰を持つ必要があるのかってロジックに説明すると、要は、どれだけ科学が発達して、生命の起源や宇宙の起源を説明しても、じゃあ、どうして、そんな有機化学物質から生命が発生して、しかもその単細胞の生命が、ここまで複雑な進化を遂げたの?とか、宇宙の起源はビッグバンだ、として、じゃあ、なんでビッグバンで宇宙が誕生したの?とか、もっと卑属なことを言えば、どうして、自分がこの時代でここでこの国に生まれたの?っていう疑問には、決して科学では説明がつかないからだと思っています。

それを堂々と述べていたんですよ。つまり、彼は、進化論もビッグバンも受け入れた上で、信仰以外によっては自分は研究を続けることすらできないと述べていたんです。

おおー、やっぱ、世の中同じこと考える信仰者がいるんだ、とちょっとうれしくなった瞬間、インタビューアーが重大な質問を。

「それでは、世俗的科学と、あなたの信仰に食い違いが生じたらどうするのですか?」

ここで回答がすんげーかっこいいの。

「その問題は、ムスリムたちが中世以来考えている古典ですね。イブン・ルシュドとガザーリーは違った答えを出しています。ガザーリーは、科学と信仰に矛盾が生じた場合、その科学の導き出した結論が間違っており、信仰を選んだ上で、科学が信仰に一致するまで探求すべきだとしました。イブン・ルシュドは、科学的な証明により、信仰と矛盾が生じた場合は、信仰の根拠となっている聖典の解釈を変えれば問題は解決されると述べました。私はどちらが正しいと結論できる立場にありません。しかし、科学者であり、かつ信仰者として思うことは、このようなギャップを否定する必要はないということです。このギャップを、科学によって信仰を変えたり、逆に信仰によって科学を変えたり、そういう2者択一を無理して目指すのではなく、むしろ、そのようなギャップがあるからこそ、科学も、信仰も、刺激を受けあって進歩すると考えています。」

すっげー。

で、その次に出てきたのは、イブン・ルシュドを引用した以上、当然なんですけど、彼は、科学的研究により宇宙を探りつつ、イブン・アラビーを読み、人間の霊的世界を探っているという解説。

ははー、もう完全に脱帽です。

こんな知識人になりたいと、心から思いました。

アーミン。

主よ、お導きください。

コメント(3)

いやー,すごい話ですね。流れが、難しい話で口出しできなくなる前に、感想かいておこーっと。

(要は、ムスリムは聖典コーランがあるからということを口実に、広く知識を身につけることを否定するこ と は間違っており、積極的に近代の学問も学ぶことが、現代における正しい信仰である、)

と、いうのは、もしかしたら、ワハービーの完全否定ではないですか?
あいつら、聖典コーランだけ勉強すればいいって、いませんか?

(いくらシャリーアについて勉強しても、預言者様Sが体験した啓示の霊的な意味は、マアリファによってしか得られない。その両方が不可欠だって)

まったく、その通りです。じゃ、どうやってそのマァリファを学ぶかって、ことですよね。
私は、今は、ラーイラッハ、イッラララー、ムハンマッドラッスルラーるんるんって、やってますが。

(仏人の天体学者の改修ムスリム。)

たぶん改宗ムスリムの間違いだとおもうのですが、
もしかしたら、アブドゥさんらしいウィットで、改めて、おさめると、いう意味でつかったのかも
しれませんが、なんか、いいですね。改修モスレム。

ほんと、この人いいです。
私のジキルの仲間にも、原子力に関する科学者もいますが、同時にイマームです。
決して科学と信仰は矛盾しませんよね、

私の考えとしては、日本の一般人にオカルトっぽくとられられている、イスラームも
そのことをキチンと説明するならば、そして、コーランやハディースを勉強するだけでなく
スーフィの考えも取り入れるならば、多くの日本人がムスレム、ムスリマになるのも
決して、夢物語ではないと、信じております。

アーミン。





改宗ムスリムの間違いです。

日本語って、漢字って難しいね・・・
>と、いうのは、もしかしたら、ワハービーの完全否定ではないですか?
あいつら、聖典コーランだけ勉強すればいいって、いませんか?

そのとおりですよ。

だから、彼らの信仰は、その宗教上・教義上の善悪判断はどーでもいいのですが、要するに「カーゴ・カルト」の一種だと指摘したしだいです。

別に教義上の正しさだけが、信仰だと思い込める人はそうすればいいのですが、問題はそんなカーゴ・カルトのやからが、オイルマネーと聖地占領により、ムスリムやイスラム世界の代表として振る舞い、それを無自覚に受け入れて洗脳されてしまう民度や教育レベルの低い同胞ムスリムが多すぎるってことなんです。

とはいえ、プライスレスのところで書きましたが、別にイスラム教はアラブ民族の宗教ではないんで、あの原始人のアラブ人が、どう腐敗しようが、テロリストになろうが、まったく関わる必要がないって割り切ってしまってもいいのですけど。

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