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【詩】を書く人。コミュの ☆お題【旅人】

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タイトルのとおりです♪

旅人について詩を書きましょ〜!

コメント(201)

私は今日も草枕
 道端に眠り 道端に生きる

立ち止まることはできぬ
 道はどこまでも続いている
戻ることはできぬ
 時は先へと流れている
待つことはできぬ
 私は誰かに待たれている
早寝などできぬ
 夜空に点在する瞳のきらめきが眩しい
安居はできぬ
 私はどの町人にも属さない

私は今日も草枕
 道端に眠り 道端に生きる
つよき旅人       浅野いにお「東京」を受けて




いつの間にか曇った空
どこまでものばせると
思った手の色を
強調します

ちっちゃい子供の時
まだ何も知らないとき
僕にはすべてがそろってた

目を閉じるなら
時を越えて
手を開くなら
空を飛んで

まだ何か知らないとき
でも少し目線は高く
なってて地面を見てました

いつからでしょう?
手の長さに[気付いたのは]
どこからでしょう?
空が陰り[体が冷えたのは]

いつの間にか曇った空
どこまでも伸びてると
信じた道の上
水たまりだけが見えます
忘れてしまった蒼穹
蒼がどんな色だか
もう覚えていません
夜もただ灰色だけです


朝だけは平等に
まだ雨が降っている時に
そんなに目が覚めてない時

僕らのとこに
やってきます[歩きなさいと]
そこで何かを
弱く華奢な[僕らは見るのかな?]

泣いてる僕も
笑っていた[ちっちゃい僕も]
畦道の中
空の橋を[見上げて笑います]
そしてちょっと ナミダを流します

あの頃思ってた未来が
今の僕とぴったりと
重なってないのは
過去のなか何処かに何か
僕が忘れてしまったから?
今はただただとても
さびしく空虚です
今のこの場所は夢だと
目を閉じて開いたときは
あの頃に戻れると
さびしい空虚にも何か
何かは詰まっているのだと
時々思います
[でも今は今でしかなく]
夢ではありませんでした

それでも僕は歩きます
空の橋を追いかけ
寂しさを隠して
地平線を目指してただ
ただ僕は歩いていきます

誰だってきっと旅人だね

時の流れに合わせて
つかめない心を探しに
一歩一歩進んでゆく

先が見えなくて
周りの状況が分からないから

不安との照らし合わせ

進んでるのか

はたまた迷ってるのか

自問自答しながら
果てなき旅を続ける

この世界に産み落とされた瞬間から魂が果てるまで…
[命一粒]

沢山の中のほんの一掬い
たったそれだけ欲しいがため
僕は命一粒掲げて
旅に出た

誰よりも一番に
誰よりも沢山

いつの間にか自分しか見えなくなった


目指してどれくらいたったんだろう?
前ばかり見てる僕


[それでも足りない]
何度口にしただろう
泣きじゃくってばかりの僕

振り向けば在るもの
涙拭けば見えるもの

きっとそれこそ大事なもの
まだまだ僕は歩くよ

手を振る存在知らずに
[頑張れ]って声知らずに


…いつか命一粒なくなって
初めて僕は
大きな一粒気付いて振り向ける

初めて僕は笑える

初めて僕は満たされる


きっとそれが

沢山の中の
ほんの一掬い
[ある旅人の独り言]

とある道の始まりの場所

頼りない光を放つ
小さな小さな一粒持って
旅人は戸惑う ──


どこまで続くんだろう

この長い
長い道のりは

行き着く場所はあるんだろうか

行き先は…


とても
とても
長くなるんだろう

何度日の光に焼かれて
何度夜の闇に溶けるのだろう

何度感情に振り回され
何度無情に息が詰まるだろう

それでもあてとない時間は本当は限られていて

僕も最後まで輝き続けることはないだろう

ただただ
歩を進める…


何かを見つけるため?

それが何かもわからないし
見つけられるのかすらわからないが


きっとそれは

得難いことなんだろう

誰に聞いたわけでもないけれど



それまで僕は
この道をひたすらに歩き続けるのか

希望を抱いて
絶望を連れて


もし見つけられたら立ち止まろう

そのまま永い眠りにつこう

きっとそれだけ大変な道のりだから

きっとそこで旅は終わり



長くなりそうだ
それでも価値はありそうだ


よし


行こう


── 旅人は歩き始めた
二度と止まない一歩を踏んだ

今は強く光輝く
命一粒掲げて

遠くにいきたい
ここじゃないどこかへ

だってここには
なにもないから

動かなければ
終わってしまう

歩まなければ
何も変わらない

未来を恐れたら
死がやってくる

遠くへいこう
ここは始まりの場所

過ぎた夢は全部置いて
新しい夢を渡り歩こう
道を歩くと
沢山の行き止まりに気付く
でも
道の無いところに
道を作るから
あの山の頂上にも、
あの海の果てにも、
見慣れた景色が広がっている。

どれだけ歩きまわっても、
どれだけ言葉を交わしても、
新しい世界が見つからない。

あれだけ好きだった旅も、
知りすぎてしまった今は、退屈な日常。

今はただ、シーツの隙間で、
小さな幸せを探す。
ただうとうとと、夢の世界へと旅立つ。
  「海鳴りの方角」
     
                             花咲 純子

白い鉄筋の薄錆びた色刻に

鐘音が空に響き鳴り続け

煙にまかれるガラス箱の中に外を見る

ぼんやりとした意識と

透明な泡の飽和する水を手にちつくし

よりかかる煙は時計の針に絡まり

薄ら灯りの周囲の空気に

迷いとまどう帰路の長さ

(誰か知りませんか 海鳴りの方角を)

人口物の中をすり抜ける 背中の影と共に

海はまだ光りを薄らに放っている

自分という一個体が何なのか

答えも無く時はゆらりと揺れる

飛び乗る誰もいない夕暮れの列車

砂漠の熱砂が追いかけてくる

海の鳴る音が響き渡る

鐘音の混合する心の焦りを覚え

やがて足音が遠くから聞こえてくるのだろう

気泡が消えてゆく 

意識の深海の底で

人の声が近づくにつれて海鳴りは共鳴し

何もかも傷つける瞳の剣は

自我の喪失と理解不可能の感情

ちぎれたパンを手に差し出され

人間の心に触れたと思えた 時の狭間で

砂漠の中の貝の砂の一粒を

拾った喜び 周囲のざわめく声

(嗚呼 笑顔に満ちて海鳴りの方角)

青き葉を摘む 

緑を育て汗ながし

土を手にかける人達の心が

夕暮れと海の灯りの上を 溶けながら流れてゆくのだ

青から薄い緑色に変わる瞬間の

人工物からの鐘音は残像と化し

何かに似た 何処かで聞いた

遠ざかる記憶の淵にくっきりと焼きつく

彩られた光りの 紅色の雲の砂が浮か
「stranger」

悲しいことが多いから
ここを抜けて 日向に出ようかと
思ったんです

雨を抜ければ 晴れ間も見えるのです
辛い事ばかりで凍えてしまって
暖かい場所を探して歩きました
暖炉で温もる人達を窓越しに見て
開かないドアをなんども通り過ぎました
世の中では 暗い道に一人きりで歩く者を
不審者と呼ぶのだそうです
通り過ぎる窓越しに 物欲しげに眺める者を
気味悪く 不審者と呼ぶのだそうです
そのとおりでしょう
ふらふらとこんな夜更けに家を出て
不審者と呼ばれて 当然です
だから もう 凍えて どうしようもないのです
凍えてしまって 笑顔もうまくつくれません
上手に言葉も綴れません
眠ってしまえば それで済むのでしょう
不審者がひとり いなくなって
街も安らぐのかもしれません

ここを抜ければ 日向がありますか
雨が過ぎれば 晴れ間も見えますか
日は過ぎれば夜が来ます
晴れ間もやがては曇ります
そのとおりでしょう
そうやって日々は年月へと繋がるのです

この足は止まりません
眠っても また目覚めます
雨は終わりません
止んでも また降るのです
日々は続きます
いつか 年月を重ね重ね
すっかり硬くなった足を投げ出して
何度目かの雨を通り過ぎるのでしょう
日向へと繋がる道を行きながら

サイクルストレンジャー

太陽が顔を出す前に起きて
張りつめた空気の中銀輪を回す
まだ深い眠りにつく街に別れを告げて
今日はどこまで走ろうか

新聞配達のバイクに挨拶して
街がようやく目覚めたころ
看板の明かりが空に溶けて
少しけだるい雰囲気のコンビニで一休み

缶コーヒーとカロリーメイト
ストレッチも忘れずに
ついでにバナナも食べておこう
こむら返りが怖いから

上り坂は苦手だけど
峠を制覇すると快感
けれど旅はまだ続くから
言い訳しながら自転車を押す

お昼すぎたら新しい街
今日の旅はここでおしまい
開いたばかりの銭湯行って
汗を流してさっぱりしよう

ご飯はしっかり二人前
食べ過ぎだって言われても
僕がエンジンなんだから
タンクは満タンにしなくちゃね

八時になったら寝る準備
小学生かと一人ツッコミ
ストレッチも忘れずに
明日はどこまで走ろうか

太陽が顔を出す前に起きて
張りつめた空気の中銀輪を回す
まだ深い眠りにつく街に別れを告げる
僕はサイクルストレンジャー
いつかの旅




いつかの夏
ぼくはひとり旅をした
ハイウェイに愛車を駆り、街を抜け
ワインディング・ロードへステアリングを切ると
ギアを落としひたむきに加速していった
ぼくはひとり海をみた
海は見果てぬ憬れ
生きているのがつらくなると必ずそこへ行った
いつかぼくは力尽き斃(たお)れるだろう
もうすでに若いと言える齢(とし)じゃないし
青年のように高らかに笑えなくなってしまった
大声で叫べない
いつかの夏
ぼくはひとり旅をした
ひとり旅をすればわかるものがあると思った
写真は一枚たりとも撮らなかった
そんなことはどうでもいい
ひとにとってほんとうに大切なのは
思い出の写真をたくさん撮ることじゃない
そんなことをしなくてもぼくには決して消えない記憶の風景がある
くっきりと脳裡にうかぶ風景
それらは写真よりも鮮明でけっして色あせない
いつかぼくは力尽き斃れるだろう
もう若いと言える齢じゃない
だが生まれてきたことを後悔するような
おろか者には
誓ってもいいがなりたくない
いつかの旅の夜ぼくは見た
山の端にうかぶくっきりとした月
ぼくの心にほっかりとあんなまんまろなお月さまがでた
そんな心の景を君は持っているか
脳裡にくっきりとうかぶ想い出の風景

20151115
Souichiro Itokawa
いつも一人旅
父もいるけど
母もいるけど
最後は一人旅

いつも一人旅
沢山の人に助けられて生まれた
沢山の人に助けられて育った
それでも最後は一人旅

ベッド数が足りない
介護員が足りない
寝たきりなら
生かさないで
あの世への
勇気の一人旅
〈2015 12/11〉

風に煽られ
蝶のように
舞う枯れ葉

それを風と一緒に
追いかけていたら

いつしか空が裾から
淡い黄昏に染まって

ひとり泣いていた

煌めく星もなく
神秘な虹もなく

ただ一陣の風と
空の果て眺めて

とめどなく泣いた

雨上がりの心は
涙が流れるもの。

西風なら潮の香り
東風なら山の息吹

こんな汚れた
心であっても

懐かしい匂い
忘れていない

濡れた苔の柔い緑
清きせせらぎの音

こんなささくれた
心になっていても

懐かしい情景
忘れていない

雨上がりの心は
涙が流れるもの

弱さや儚さじゃなく

少し戻りたくて
少し抱かれたくて
少し呼んで欲しくて

涙が流れるもの

泣いていい時…
泣けばいい時…
轟々と音を立てて頭上を通り過ぎる空と季節に追いつけなくて


まぶたを開けていた 遠くを眺めるように透かし見て
耳をふさぐ代わりに 口を閉じて仰ぎ見ていた
身体の内側を血流が 濃く熱く巡る
こめかみに痛みと脈動を感じる
鼓動が命を運び 鼓動が痛みを繋ぐ

降りかかる日々と 降り注ぐ日差しには
迫り来る朝日と 受け入れる明日には
どんな違いがあるのだろう
背中で風がはう 振り向きたくなるけれど
急かされ追い立てられるように足を踏み出す
轟々と音を立てて頭上を通り過ぎる空と季節に追いつけなくて
この糸はどこかに繋がっていると信じながら
恐れながら 疑いながら
たぐり たぐり 薄明の中で明日を 今を 紡いでいる
『ひとり』

日常から外れて
心弾む道を歩こう
風に背中押されて
日差しを肌で感じて
一期一会の道を歩こう
私には今しかない
昨日は消え失せ
明日は未知だから
今
目の前にある感動を
私だけのものに
それがひとり旅の
色褪せない魅力
心地よい
旅の魅力
私を旅人にする
空間の魔力
旅のみ空




街は薄曇り
雑踏のざわめきのなかを
君は歩む
欧州の一国
ラテン人が世界に誇る
ローマ帝国の一部だったことも
ゲルマン人が栄華を極めた
あのカール大帝の国
フランク王国の
領土だったこともある
君のいる銀幕の世界では
Nouvelle Vagueと言われる
一大ムーヴメントを巻き起こし
映画に革命をもたらした国、フランス
そのフランスの街の一角を
君は歩む
街は薄曇り
雑踏のざわめきは
どこか懐かしい下町情緒を漂わせ
一方、目抜き通りは
やはり欧州流行の最先端の国
どこか洗練された風情もある
そこを歩く君の目は
いつしかきらきらして
いつか少女だった
昔の君の瞳に戻っている
ぼくのいちばん好きな君は
いつもそんな表情をしている
君自身気づいていないかも知れないが
いまとても
とてもいい目をしているよ

(〈み空〉は空の美称)
20160125
糸川草一郎
この詩は、佐々木昭一郎の1981年作のTVドラマ「川の流れはバイオリンの音」を、見たまんま詩にしたものです。




川の流れはバイオリンの音




ヴァイオリンがこわれた
妹の大切な楽器
こわれたのは私の不注意のせいだった
直したかった
旅をしようと思った
ヴァイオリンのふるさと、クレモナ(Cremona)へ
私の名は栄子、ピアノの調律師。
調律の仕事をしながら旅をしようと決めた
クレモナにはポー川といううつくしい川がある
妹への葉書、川の日記
黙って居なくなってごめんね
こわれたヴァイオリンをどうしても直したかった
ポー川に沿って歩いたよ
川はイタリア語で、フューメ(fiume)。Fiume Po
クレモナの街を散策しているうちに、見えてきた時計塔
管理人さんがいた
あのヨーロッパ一という、教会の高い時計塔を特別に登らせてくれた
ありがとう。
500段もある階段を登っていったよ
クレモナの街をつつむポー川の霧
逢いたかった人がいる
アントーニオ、ヴァイオリン作りのマエストロ
アントーニオの工房を街の人に教えてもらった
彼は留守だった
街でルーカという少年に出逢った、10歳、妹と一つ違いだった
アントーニオの弟子の石井さんに見てもらった
石井さんが試演してくれたよ
ああ、だめだ。素人が聴いてもひどい音だとわかる
ヴァイオリンのトップを外して中を見せてくれた
ヴァイオリンは百年前に作られた偽物だったよ
いろんなレッテルが入っていて、結果クレモナ製であることが明らかになった
アントーニオに逢えた、85歳の名匠
奥さんに先立たれたばかりだった
彼の働く酒場で私も働かせてもらった
いきなりワインのグラスを割ってしまった
自分の不注意を恥じ、頭を下げた
弁償しようとしたら逆に諭されてしまったよ
「君はもう私たちの友だち。そんな水くさいことをしてはいけない」
お客さんは歌が好き
帰り際、ソニョドーロ(Sogni d’oro)と言われた
黄金の夢を。
蜜蜂の樹脂を買いに行った
ポー川のポプラの樹液を精製し、これでヴァイオリンのニスを作るの
アントーニオに教わった
彼から教わることはいっぱいあった
アントーニオが店を辞めることになった
仲間たちでお別れの会をした。私を抱えあげて踊る店のマスター。
アントーニオから小鳥の声を出せる螺子(ねじ)、言わば小さな〈楽器〉をもらった
バードコール
弟子のラファエロにヴァイオリンの魂柱を換えてもらった
魂柱、たましいの柱。
楽器の神秘性を思った。
ヴァイオリンを作りたい。
郊外へ出た、白い馬が牽く馬車に逢った
川に沿ってクローバーを探すひと
クレモナから来たと言ったらあっちへ行けと叱られた。何を怒っているんだろうな。
馬の尻尾はヴァイオリンの弓の原料
彼はアントーニオの喧嘩友だち、セニョール・ルイジだった
アントーニオはルイジの愛馬の尻尾を狙っているんだと言う
私がルイジのもとで働くと言ったら、許してくれた
美しい草原を馬車に揺られてゆく、彼とともに歌った。
パルチザンの歌
ポー川の水の匂いが漂ってくる
ルイジはひとり暮らし、アルプス生まれ。生粋のアルピーノだった
彼の遠い記憶、彼は私の祖父と同い年。
祖父はアムール川、ルイジはドン川で川の調べを聞いていた
祖父がシベリアに抑留されていた時、使っていたスプーンを彼に見せた
祖父の哀しみがスプーンを通じて伝わってくる
「美しい娘さん、あなたは何て素晴らしいひとだ」ルイジに求婚されてしまったよ
うれしかった
イタリアの男性はみな女性を讃えてくれる
アントーニオが引っ越すことになった。奥さんのふるさとヴェネツィアへ。
部屋を貸してくれた。家賃ひと月3000円。
彼のメッセージ、カーテンを開け、窓を磨きなさい。光を入れなさい。
工房は自由に使っていい。
ドナウで見つけた楓、樅の木、ポプラを工房に置いてゆきます。ヴァイオリンを作りなさい。
ストラディヴァリの時代の木は、もはやクレモナにはない。
樹も水も空気も変わってしまった。
ピストルを置いてゆきます。
音で自分を守りなさい。
折り入ってお願いが一つ、知人のピアノを調律してあげてください。
彼の紹介でオペラハウスへ、そこは建物自体が芸術品
ピアノを調律していて、東京のコンサート・ホールを思い出した
朝、市役所を訪ねた
ヴェネツィアから船で運ばれてきた名器がある
展示品、ストラディヴァリウスを毎朝7時、助役さんが5分間だけ弾いてくれる
400年前の音色、清らかな調べ
ダ・ヴィンチゆかりの街、クレモナ
ダ・ヴィンチは渦を絵に描きながら亡くなったと言う
ヴァイオリンのfホール、渦の重なり
それが川を意味することだと私は知った
ポー川の渦を見に行った
道すじはアントーニオに教えてもらった
途中、道をまちがえた
川を探した
アントーニオが言ってくれていた
私の甥、森の猟師マリオを探しなさい
――そうだ、マリオを探そう。
国境の近くを川に沿って歩いた
遠いヴァイオリンの調べ、あどけない妹を思った
脳裡に浮かぶのは妹の奏でる調べ
ジプシーに出逢った
ハンガリーのヴァイオリン、ドナウを知っている人たち
彼らのチェンバロを調律してあげた
初期のものらしく鍵盤もない。弦を叩いて音を出すの。
彼らはこのいにしえの楽器を演奏してくれたよ
チェンバロ、この楽器がのちのちピアノへと進化してゆく
小鳥がさえずるポー川
川を下る船頭さんの手引きでやっとマリオに出逢えた。小舟に乗せてくれたよ。
ポー川をゆったりと下った
マリオの唄う歌。カンツォーネ? ああ、トスカだよ。素晴らしい声。
仔山羊を摑まえた
イタリアと日本の鳴き声の違い
日本は〈メェ〉。イタリアは〈ベェ〉。
マリオの家で奥さんに逢った。奥さんは自分を囚われびとだなんて言う。
彼の友、ジャンニの写真が暖炉の上に飾ってあった。
大切な親友。狩りに行き夜の森で撃たれて死んだという。
マリオはボクサー、元ヨーロッパ・ヘビー級チャンピオン
酒場へ案内されたよ
マリオは自慢の声でグラスを割って見せてくれた
みんなで声を揃えて歌った
ふたたび川を旅した、川の虹
マリオが教えてくれた、アルコバレーノ(Arcobaleno)、虹
ポー川の虹
岸辺でマリオと別れた
途上、交通事故の現場を見た、雨のなかで一台の車が横転していた
ルーカ少年にまた逢った
雨に濡れた靴下をアイロンで乾かす、灼けた鋼の熱が水分を弾き飛ばす音
いい音。
イタリアの原始的なアイロン
大きなヨーロッパの地図を前にルーカと川の話をしたよ
アルプスを水源にポー川はアドリア海へ注ぐ。
ルーカ、ドナウの水はアルプスを出て東へ長い、長い旅をするのよ。
アルプス、ヨーロッパの水のふるさと。
翌日、街を歩いていると
気づかずに落としたパスポートを拾ってくれた人がいた
世間は狭いね、それは意外にもアントーニオの弟子、チェザリーだったよ
アントーニオの消息を聞いた。ひとり旅に出たという
彼の工房でヴァイオリンを削った
鑿(のみ)の使い方を教わったから
ルーカが教えに来てくれた、私の死亡記事が出ているって
あのときの交通事故だ。「22歳の女の子死す」
私がニュース記事の現場写真に映っていた
チェザリーが言った。「君はジョコンダに似ている。モナリザのように美しいよ」
ヴァイオリンのミニチュアを作った
蜜蜂の樹脂でつくったニスを塗った
ルイジにまた逢いに行ったよ
軒先で野宿していたら風邪を引くと彼は心配してくれた
暖炉の温もりのなかでいただくしぼりたてのミルク
「よく噛んで飲みなさい」貧しく豊かな飲みもの、井戸の水、ミルク、ワイン
その夜眠っていると、誰かの声がする。ジプシーの女占い師
夢だったのかも知れない
夢にあらわれた川、ドナウ川
ルイジが語ってくれた。ロシアでのおそろしい戦場の記憶、ドン川の嵐
小鳥のさえずりだけが救いだったという
語るうちに眠ってしまった、老いたルイジがいたわしかった
彼をそっと黒く暖かな上着でつつんであげた
お休みなさい、ルイジ
ピアノ調律の旅を続けた
冬になった。アントーニオの訃報を聞いた
彼はヴァイオリンの音の魔法を、その秘密を諭すように教えてくれたひと
彼がいつか言ってくれた言葉。
セニョール・アントーニオ。Sogni d’oro.(黄金の夢を)
駅で列車に乗った
ルーカが見送りに来てくれた「お別れじゃないよね」
春、ドナウ川に行きヴァイオリンの樹を探した
アントーニオの友だちをまた探しあてた
彼の死を伝えたよ
石畳の街を駈けてゆく
ドナウの岸辺を旅しながら、妹へつづる手紙
川へ響く音叉のAの音。川の日記。
不思議なことが一つ、赤ちゃんの産声はなぜどこの国でもAの音なんだろうね。
ドナウとポー、ふたつの川、そしてヴァイオリンのための一本の樹
ルイジの許へ戻り彼を探した、けれどどこにもいなかった。
セニョール・ルイジは死んでしまった。
彼の霊はアルプスへ帰っていった。アルピーノ・ルイジ。
教会の鐘を撞いてルイジを弔ったよ
教会のパイプオルガンの崇高なる調べ。
ルイジ、そしてアントーニオの召された天国のことが思われた。
あの時計塔をまた登った
塔の上の大時計
妹への手紙、川の日記
ニスが乾いたらヴァイオリンはきっと送るよ
川のせせらぎはいつも妙なる音楽となる
川の調べはほんとうにうつくしい
次はどの川を訪ねてみよう
妹へ。またお便りします。
私ね、つよく思っているの。
川、そして水の流れは永遠にも似て、終りがないのかも知れない、と。

20151014
【École de Paris 〜巴里の異邦人〜】

人生は
描いて飲んで騒いで語る
ただそれだけで充分さ
寒い夜に肌寄せあえる
相手などいればなおのこと

人生はつかの間の夢
巴里の灯もまた夢まぼろし
描いて飲んで流されて
あとはほろ酔い気分で土の下
冷たくなって眠るだけ
そこに戯れの
詩のひとつでも献じてもらえれば
もうなにもいうことはない

人生はつかの間の夢
巴里の灯もまた夢まぼろし
描いて飲んで騒いで語り
心すべきは
余すことなく演じきること


↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
良い風を待つ。

白いパラグライダーは準備万端だ。

旅立ちを許されたものだけが許される
武者震いをして風邪を待つ。

きた!

この風だ!

我らは今旅立つ。

黄色い平原を夢見て。



「蒲公英」


その旅人は

夢の光の中にいた


鮮やかに染まる

夕暮れを眺めながら


遠い空は

何も語らないのかもしれない


それでも やがて

その旅人は

この旅の意味を

いつか 知るのだろう


永遠とは 何なのだろうか







『度々旅人』

其れを旅と決めた時から
其の一歩は旅と成り得る
嫌々始めた旅
嬉々始めた旅
人其々の切っ掛け切り口
個々人の寄る辺又寄り道

此れを冒険と云うのなら
此の話は冒険と成り獲る
勇々進めた冒険
早々進めた冒険
此処人の吹っ掛け吹き口
皆其其の逸る辺又逸り道

又駆け又行く口
幾つもの旅 幾つもの冒険
度々旅人 度々詠われる道

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

嬉々→きき、其々・其々→それぞれ
寄る辺→よるべ、獲る→える、此処→ここ

『悠々なる挑戦の旅』

繰り返される平和と混沌の詩は
永遠に綴られ行く物語なのか

孤独を埋める為の愛を求む旅は
究極なる目的地へと歩み続けるのか

星は生まれ 命は活き
世界は詠い続ける

自然は為るが儘で在り続け
人間は成るが侭に進み続け

其の果ては 始まりの終局か
それとも始まりの再始動か
それとも真の景色と臨むか

世界は謳う
寂しさを。愛しさを。歓びを。

人間は創る
価値を、使命を、幸不幸を、
幻想を、不正を、…詩を。

其れはは無限への挑戦
最頂なる景色の間
人間は辿り着くのか

誰が問うた答を目指し
彼らは往くのか

遠くへ とおくへと
ーーーーー

為るが儘→なるがまま
誰が問うた答→だがとうたこたえ
名も知らぬ
遠き島より
流れ寄る
椰子の実ひとつ
いつしか
解され
針金に巻かれ
フライパンの焦げを
擦る日々
どの潮に
乗り違えたか
芽を出す明日は
とうに無く
名も忘れし
遠き島の
夕陽ばかりを
思う、

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