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絵を描いて旅をするコミュの#5 いつか再び  writ byあゆみ

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海を臨む神殿跡を目指し、ガイドのトルコ人と12人の日本人は森の中を行く。
遺跡へと抜けるこの道は、かつては神殿への参道であった。
遠くまで広がる木漏れ日の下では、土産物屋やレストランが軒を連ねていて、
豊かな葉の茂りが天蓋代わりだ。
賑やかな雰囲気の向こうに、幾千年も変わることのない人の往来が見える。

緑の森を抜けると、青い空に青い海。
そして朽ちてはいても、白い神殿の柱はまぶしいばかりに輝いていた。
しかし私の心の中では、深い緑が光の反射を遮ろうとする。
描きたいと思った人が、今も木陰の下にたたずんでいるはずだったからだ。

どうしてもと、特別に個人行動の時間をもらう。
そして急いで来た道を戻ると、小さな段差に腰掛ける彼女を見つけた。
息を整えてから、こんにちはと声をかける。
お客だと思ったのか、彼女は土産物の方へ移ろうと体を返す。
その姿に私はあわてて、やっと慣れてきたお願いの文句を口にした。
私の言葉に頷いてはみたものの、彼女はそわそわと、
どうしたら良いかわからないと困ったような笑顔。
私はクロッキー帳を開いて、今まで描いた絵を見せた。
そして白いページを指した後、彼女の笑顔を指す。
次はあなたの番よ、と。

絵が進むと、隣の店から2人の店員らしき男女が様子を見にやってきた。
日本人で、学生で、絵を描いていて、旅をしているの。
繰り返したカタコトはだいぶ形になってきたようで、ここまで私が言うと
相手からは聞き取れない程の早さと量のトルコ語が返ってくる。
名前はなんて言うんだい?
苦笑いに気を使ってくれた男の人が、抜け落ちていた名前を聞いてくれた。

自分の名前を告げると、3人は腰を浮かせて顔を見合わせる。
そして興奮気味に渦巻く、嵐のような言葉たち。
びっくりしている私に、彼は再びゆっくりと声をかけてくれた。
3年前に同じ名前の人がここに来たんだよ。

3年前のその人は、いったいここで何をしていったのだろう。
きっとまた3年後に同じ名前の人がやってきて、何かを残していくに違いない。

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