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四月馬鹿。コミュの【二次創作BL】戦国BASARA、大谷吉継×石田三成。

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※沼地の蝶の足掻き。吉三。



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 2011.秋 戦国BASARA
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ごつり、どつり、
縁側の板の間を杖が突く音は日増しに鈍くなっていくように感じられた。
段々と歩調は重くなり、その度に病が蝕みゆく肢体に無理がかかってはいまいかと三成は不安を募らせる。それを日々間近で気取っていながら吉継は気付かぬふりで押し通す。もう碌々動かぬ肢体では歩くことも儘ならなくなるも時間の問題だった。
最後まで思い通りに行かぬ身体ならばと、まるで嘲りをぶつける様に酷使することに拘ってやろうというのが、生来からの偏屈なところだ。のらりくらりとしているようで妙に頑なな部分を持ち、他人ならず自分まで手玉にとって遊んでいるような。
三成は吉継を振り返りながらじっとりとその足元を見つめた。

「やれ三成、どうしやった。」
「…輿を用意させただろう。」

三成の言葉はいつもどこか足らない。なにを、なぜ、どうやって。それをすくい取るのが吉継の趣味だが、趣味らしい趣味とは言えない。なぜなら、三成の言葉をすくい取るとき常に彼が感じているのは“自分以外は解せぬだろう”という強烈な独占欲だからだ。
三成は生来、ぶっきら棒で唐突にしか言葉を吐かない。忌憚なくなどという生易しいものでない三成の苛烈な言は、豊臣軍下数多とはいえ受け入れ難いものらしく。

「(ヤレ、吾も悪趣味よ。困ったコマッタ)」

それでも我らが太閤殿やその軍師殿には受け入れられるを見る辺り、“ひと”には器があると知らざるを得ない。無論、吉継は自らの器が大きいなどと思い違いをするほど愚かではないが。
とにかく三成は“輿を用意したのになぜ乗ろうとしないのか”と問うていた。

「吉継…?」
「…そうよなァ、まだ落ち着いて飛ばすことがかなわぬのよ。主の用意しやった輿は大きいゆえ。」
「もっと小さいほうがよかったか?」
「いやイヤ。あれで調度よ。」
「ならばさっさと、使えるようになれ。私が用意させたとはいえ、もとは秀吉様のご厚意だからな。」
「あい、わかったワカッタ。」

三成も凡そ知ってはいるだろう。
吉継の幼いころよりの摩訶不思議な能力は、大抵のものを浮かすことが出来るのだ。あの程度の輿など造作もない。吉継自身も、足が萎えるほどに力が増していることに気づいていたし、既に輿での移動のほうが楽なくらいなのだ。
───ただ。

「三成、まちと寄れ。」
「吉継?」

既に顎の半ば…頬まで進んだ爛れの肌はじくりじくりと膿み腐り、三成の真白い肌に寄るには少し、躊躇われたが。

「(吾は、あと幾つも眠れば主と同じ目線で世を見ることも儘ならぬ。それが少し、惜しいのよ。)」


【目線】





[pixiv] http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=584402

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